bar-yoshioka よしおか
吉岡秀晃というジャズピアニストがいる。
私がジャズのライブに通いだしたのは19の頃からだったが、シダー・ウオルトンやハンク・ジョーンズなど超一流のミュージシャン以外のライブには、いつも「クエスチョン」が残ったものだ。
特に私がためらったのは日本人のライブだった。まず、かなり知名度が高い。もうほんと雑誌なんかにはよく登場するし、日本を代表するジャズマンというふれこみで来静するからこちらの期待もかなり大きかったりする。イベントの主催もちゃんとしたところだ。
しかし・・・困ったことに、なにも気持ちよくないのだ。ものすごくうまいし、びっくりはする。しかし何も気持ちよくない。そんな日本人ジャズライブを19の頃からいったいいくつ経験したことだろう。眠くなる、あくびがでる。終わりの時間ばかり気になってしまう。そして、・・・ああ、これがジャズのライブなんだ・・・と半ば思いかけていた。そう、レコードの気持ちよさはレコードの中だけにあって、ライブっていうのはこう、疲れるものなんだ、と。
彼に出会うまでは、の話だった。
吉岡秀晃をしったのは隣町清水市のとあるライブハウスだった。よしえさん(後の当店ママ)に誘われてまあ行ってみるかと思い体験したその一日は間違いなくその後の私の人生を変えてしまった。
その音は・・・レコードでいつも聴いていた音だった。レッド・ガーランドのように小気味良くスイングし、バド・パウエルのように速く、そして感動的だった。今風でもなく、昔風でもない、それは本当にただのいい音だった。いつもレコードを聴くと感じる、あの何か体にしっくりくる気持ちよさを生で体験したのは、あの時が本当に初めてだったと思う。それが「グルーブ」だと気づくまでにはもう少し時間がかかるわけだが・・・。
その吉岡秀晃というアーティストを世界中で一番愛しているのがここのママのよしえさんだ。「カウント・ベーシーを愛している人は『ベーシー』って店つくるでしょう?デューク・エリントンを愛している人は『デューク』って店つくるでしょ?だから私は吉岡さんを愛してるから、『吉岡』って店つくるの。」というめちゃくちゃ説得力のある理由でこの「よしおか」をつくった。おいしいカクテルとフード、それはもちろんだが、いうまでもなくここは悪いがもうそんじょそこらじゃみつからないバリバリの「ジャズの店」だ。
まずはごらんあれ、JBLの4312Mが自作の真空管アンプでバリバリほえまくっている!プレーヤーはDENONのDP−1000もちろんアナログレコードだ!一見どおり美人ママがやっているスナックと思って入った向きはその店内に充満する圧倒的なスイングに翻弄されるだろう。スティット、コルトレーン、マイルス・・・そしてもちろん吉岡秀晃が華麗にスイングするオンパレードだ。うーっむ、これは最高なのだ。心地よいスイングに身をまかせながら、今日は少し色っぽい話でも楽しもうではないか!
bar よしおか
営業時間:18:00〜0:00
定休日:月曜日
TEL:054-254-6077
チャージ ¥700−