J.R.R.トーカイ  著 
星 根   浩 二  訳 



まえがき

 近年のダバダブームに乗り、ダバダ関係の書物は書店に1コーナーを設けるほどになりました。毎月たくさんのダバダ本が出る中で、どの本を、どう読むべきか分かりにくいというのは、初心者にとってダバダの敷居を高くする1つの要因となっています。
ダバダ入門書としては、例えばヘレン・クレッチマーの「ダバダの謎」などがあります。この本は1993年に発表され、翌年には日本語版も出版されたのでお読みになった方も多いでしょう。現在でもこの本をバイブルとするダバダ研究者も多く、初期ダバダ本としては比較的よくまとまっています。この本は、今となっては多少時代遅れの感はありますが、このような本を読むことでダバダの雰囲気は掴んでいただけるでしょう。
 では、その後は何を読めばいいのでしょう。
 これについては決め手となるような本はありません。ダバダの研究書は非常に多種多様で、文芸作品のようなものから、化学式満載の学術書まで無数のタイプがあります。これら全てがダバダ研究書としてひとまとめになって書店に並んでいれば、肌に合わないものや理解できないものがあるのは当然です。多くのダバダ本には文中に様々な含みが隠されています。本書は、これ等を解き明かす手がかりを、読者のみなさんに提示しています。
 本書は、これからダバダを本格的に学ぼうとする方々が、ダバダに関する事項を素早く参照できるように編纂されました。これまでに分かっているダバダ関係の主要な用語約200語を辞典形式でまとめました。
 ダバダを学ぶ上で行き詰まったとき、本書を紐解けば即座に必要な知識を得られるでしょう。あなたのダバダライフをより良いものとするためにお役立て下さい。



ア行  カ行  サ行  タ行  ナ行  ハ行  マ行  ヤ・ラ・ワ行  参考文献


ア行

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【アーザンティ詩集】(書名)1960年代にアメリカのサクラメント周辺で流布した詩集。作者不詳。この中に年をとった蛇ジアにいろいろ質問する、「蛇は語らず」という詩がある。作者がジアの書を読んでいたか、少なくとも知っていた事は明らかである。
【IDC】(団体)→ 国際ダバダ委員会
【赤土の会】(団体)ダバダについて研究する長野県の民間調査団体。昭和22年頃に出現した黒人牧師(「黒人牧師事件」参照)を追求すべく、昭和25年に組織された。優秀な調査員を多く有し、世界各国で様々な調査を広げ、近年では国際的な反ダバダ組織として成長しつつある。ただし外部に対しては閉鎖的。市会議員の飛騨有次が創設したが、現在は赤十字病院院長の萩岡栄が代表。
【悪夢の紡ぎ手】(神格)ドルバの別名。
【朝岡秀郎(あさおか・ひでろう)】(人名・1946〜)啓明大学名誉教授。著書「脱ダバダ論」の中でダバダを否定する。さらに日本初の反ダバダ組合「ADU」を設立し、国内のダバダ論者に強い圧力をかけている。1989年、「日本ダバダ会」会長である松田信義に「反脱ダバダ論」で猛反論を受ける。翌90年には過激派ダバダ論者に拉致されながら奇跡的な生還を遂げる。以降、ダバダ論者に対する弾圧をいっそう強化している。この抗争は現在でも続いている。
【アフガニー(アル・―)】(人名・1838〜97)アフガニスタン生まれのイスラム思想家。カーブルで神学と哲学を修めた後、カイロで謎のダバダに関与する秘密結社を組織、各国を歴訪するが、ことごとく追放の憂き目にあい、ついにイスタンブールで幽閉ののち死亡した。毒殺説もあるが、遺体は灰色の苔のような物で全身を覆われて発見された。
【アルハールガ草稿】→ ヤング草稿
【イースタン・スター】(団体)女性版フリーメーソンともいえる組織。1780年頃フランスで誕生したとされ、現在でも欧米各国で盛んに活動している。
【池田俊平(いけだ・しゅんぺい)】(人名・1955〜)石川県出身。19歳の時上京し、下町の印刷工場に勤める。印刷を依頼された本を校正していたところ、これが「ダバダの書」であることを知った。これを熟読してしまった彼は精神を害し、その後連続して19人の女性を殺して逮捕された。供述によれば彼は世界の行き先に絶望し、自暴自棄になっていたようである。
【イブン・バットゥータ】(人名・1304〜69)モロッコ生まれの大旅行家。アラブから中国、アフリカと旅をして「三大陸周遊記」を記した。この中で、東アジアの孤島にダバダを信奉する巨大王国があり、ダバダそのものを発動させる術を心得た神官がいたという記述がある。彼はこの国をニャフンと呼んでいる。
【医療法人ダバダ臓器サービス】(団体)ブラジルに本部を構える臓器バンク。具体的な関係は定かでないが、法人名にダバダを冠することから各方面の関心を買っている。脳を移植するという噂もまことしやかに囁かれている。
【イルミナティ】(団体)1776年にドイツで設立された秘密結社。世界統一政府設立を標榜する過激派。創立者のアダム・ヴァイスハウプトは後に一派を率いてフリーメーソンに入会、同組織を内部から支配したらしい。1785年にテロ計画が発覚して活動禁止処分となり、ヴァイスハウプトは国外追放、組織は表面上瓦解した。
【ヴァイスハウプト】(人名・1748〜1830)ドイツのインゴルシュタット大学法学部長。1776年5月1日、5人の仲間と秘密結社イルミナティを設立。後に一派を率いてフリーメーソンに入会、同組織を内部から支配したらしい。1785年にテロ計画が発覚してイルミナティは活動禁止処分となり、ヴァイスハウプトは国外追放された。彼はイルミナティ以外の、より強力な組織に従属していたという記録もあり、カナダのトロントにあるヴァイスハウプトの墓標には「ブムーゲの腕」と刻まれている。
【ヴェロダ病院】(地名)ポルトガルのリスボン郊外にある精神療養施設。オランダのランデンダイク病院から逃亡した英国人作家ジョン・リーが連れ込まれた病院。未だに電気ショック療法を施したり、奇妙な薬物の人体実験もしているという噂のある、悪名高い病院。ランデンダイク病院からジョンの担当医が来訪した日の夜、ジョンはこの病院を脱走した。
【ウェウェ=ル】(神格)ケルト神話に登場するダバダの一顕現。工芸の神コウル・クレウィーヒがヌァザ・アーケツラーヴの銀の義手の中指に設置した人の心の毒。その発するエネルギーは一瞬にして人を石に変える。
【宇佐美派(うさみは)】(団体)日本を中心に108の分派を誇る謎の組織。ダバダの秘技に通じ、アナグラムを用いた呪詛で人間の精神を凍結、破壊する。代表者の初代宇佐美雄二によれば、四天王、五車星、六聖拳などの幹部がいるらしいが、内部は中空で瓦解寸前とも囁かれる。つい最近、2千年の歴史を持つようにしたらしい。対抗組織として仲澤派、和好派、シロー派などがあるらしいが詳細は謎。
【梅野孔太郎(うめの・こうたろう)】(人名・1952〜92)大阪の中学教諭を務めるダバダ研究家。自説により南米の精神病院に送られたとされる田口寛重の行方を追い、単身リオデジャネイロに赴くが、現地で12歳の少年に銃殺される。晩年は赤土の会の会員でもあった。
【叡知の書】(書名)→ キタブ・エル・ヒクメット
【エーケルマーの福音書】(書名)フランス語版及びドイツ語版「ダバダの書」の中で訳注として何度か触れられている禁断の書物。ダバダの書の内容をキリスト教徒に理解させるべくイタリア人司祭の手により訳されたとされるが、17世紀末、世界各国で異端判決を受けて焚書され、筆者ならびにそれに関する記録も全て焼き払われた。現存が確認される一部の内容は難解というよりも支離滅裂。エール大学図書館他、4箇所で所蔵が確認されている。原本は紀元前後にローマ近辺で記されたとされているが、現存しない。
【ADU】(団体)→ 反ダバダ組合
【エクソシスターズ】(人名・1970〜91)アメリカで一世を風靡した双子の霊能者。姉のサンドラ・ミルマージは霊媒師、妹のバーバラ・ミルマージは除霊師として活躍。CDも出し、テレビのレギュラー番組も持っていた。1991年6月、番組終了直後に揃って楽屋から失踪した。遺体は1800キロ離れた山中で、失踪の4日前に発見されていた。失踪時間と発見時間が前後するものの、DNA鑑定の結果、本人達の遺体と確認された。
【エドワーズ(アーサー・―)】(人名・1830〜99)イギリスの宣教師、探検家。1892年にチベット山中の無人寺院にて、僧侶たちがひた隠していた「ジアの書」を発見、内容の一部を書き写してごく親しい友人に紹介した。それから7年後これを持ち帰ろうとしたところ、原因不明の熱病にかかり、探検隊と共に全滅した。記録によれば遺体は6時間で白骨化したともいわれる。
【黄金の曙(ゴールデンドーン)】(団体)イギリスの魔術結社。当時の知識階級により、古代の密議・神秘の古典を発掘し、正しく解読することを目的として、1888年設立された。1898年、アレイスタ・クローリーが入会するや黒魔術職を帯びて分裂、激しい内紛の後に瓦解した。
【オッペンハイマー(ジョン・ロバート・―)】(人名・1904〜67)アメリカの物理学者。ハーバード大卒。ロス=アラモスの原子爆弾研究所の所長として原爆を開発した。自叙伝には、これに際し黒革表紙のダバダの書を参考にしたと記されている。
【オルサー教会】(団体)アメリカ中西部を中心に点在するカトリック系の教会。しかしその実体はダバダ信仰に由来しているとする投書記事が1990年、ポートランド・オレゴニアン紙に掲載され、一部の関心を集めた。1992年、ニューオリンズ支部がガス爆発を起こし、死者・行方不明者を多く出した。信者の70%はアメリカ・インディアンである。本部はフェニックス。代表者はゴルスター・ブルーメイン。



カ行

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【渦煙石(かえんせき)】(その他)古代インダス文明などで用いられたとされる魔石で、ダバダの力を引き出す道具とされる。往々にして底の住人を呼び出すが、支配を維持できず破滅する者も多い。形状としては黒っぽい六角水晶の中で煙のような黒い渦が逆巻いている形が一般的である。
【ガジ(ニコラエ・―)】(人名・1930〜)ポーランドの考古学者。サッカレーの後を継いでブカレスト大学でナプチャント盲目録を解読中。その一方で地域のボーイスカウトを指導するなどの社会活動も盛ん。
【カッシラー協会】(団体)19世紀前半、ドイツの劇作家、アンゼルム・カッシラーが統合・発起したとされる魔術結社。メーソンの一派らしく、ダバダの謎を解き、その概念を国家の権力に組み入れようと画策した「ドマー理論」を打ち立てた。その後イギリスの「ベルクリス教団」の不可解な攻撃を受け瓦解したらしい。イタリアへ逃亡した残党の一部が「湖面寺院」を結成した。ヘーゲル、フォイエルバッハなどを輩出した。
【カビューラ】(神格)ダバダに通じる神格若しくはその体現の一で、古代の預言者として象徴され、真空の力をエントロピーに変換するとされる。古代メソポタミアでは人間が瞳孔然とした8つの器官で流れる時を計る事柄ともされる。そこを訪れる人間にとってカビューラの門の在処を示す。
【ガポン(ゲオルギー・アポロノヴィチ・―)】(人名・1870〜1906)ロシアの聖職者。きたるべき革命に備え、1903年にペテルブルク工場労働者組合を組織したとされるが、実は労働者層に広くダバダを信棒させる目論見を持っていた。これが露見しそうになるや、秘密警察と内通し、さらに軍隊を動員してデモ隊に対して発砲させ、労働者の命をダバダに捧げた(血の日曜日事件・1905年)。のちにフィンランドで社会革命党員を名のる人物によって銃殺される。
【上島清司(かみじま・せいじ)】(人名・1955〜89)青林学園大学の文化人類学の非常勤講師。旧友である佐田原唐志の消息を追って四国を調査中、漁村で奇怪な儀式を目撃したのち、「蛇婆堕妙本」を入手。これを随時出版する予定であったが放火、窃盗容疑で警察に捕えられ、獄中で謎の自殺。彼の死体を発見した看守は、排水口から蛇の様な何かが逃げ出す瞬間を目撃したという。遺体は家族に返還されなかった。
【仮面の踊り手】(神格)ドルバの別名。
【ガルッピ(ジョットー・―)】(人名・1903〜74)イタリアの作家。その著書、「となりのダバダ」により民衆の不安を煽り、「ダバダ狩り」起こすきっかけとなった人物。ただし、当の本人はダバダ擁護者であると公言していた。
【眼球石】(その他)世界各国のダバダに関係深い遺跡やダバダの発現と見られる事件の現場で何度も発見されている謎の石。人間の眼球に酷似した自然石であるとされるが、いかなる研究機関によっても分析された記録がない。一説によれば中国の狂金獣という組織が、合法・非合法に拘わらずあらゆる手段を用いて収集しているらしい。古文書によると、眼球石は99ないし108個存在するとされている。現在89個の発見が報告されている。
【北九州大学】(団体)ダバダに関する民間伝承を研究するチームがある。このチームの中心人物は丹代優教授である。彼らは四国での重点的調査ののち、1992年にボルネオの奥地に調査隊を派遣するが、1人を除いて消息が知れない。発見された1名も右腕と共に正気を失い、虎ノ門病院の隔離病棟に入院中。それ以降目立った活動はないが、現在丹代教授の甥が再調査を計画中。
【キタブ・エル・ヒクメット(叡知の書)】(書名)異端イスラム教ドルーズ派の聖典。開祖ハーキムが神託を受けて記した。占星術的象徴論と神の輪廻論を軸に、ダバダの本質を示唆する。
【ギシター】(神格)語源はアンタム語で3日月の欠けた部分を示す。デュナンはこれを虚偽に含まれる洞ろを暗喩するとしている。ヘブライの伝承では白衣の美しい老婆で、空気を踏台とする神格として現れ、人々の心に疑念を振り撒く。
【狂金獣】(団体)中国の秘密結社。あらゆる手段を用いて眼球石を収集している。組織の長として、喪服を着た中国人老紳士が目撃されているが、真偽のほどは定かではない。構成員は特殊な暗殺拳法の使い手である。
【ギロチン(ジョセフ・イグナス・―)】(人名・1738〜1814)フランスの医者、政治家で、フリーメーソンの幹部。ギロチン断頭台の発明者。ギロチンは死の苦痛を引き延ばさないための発明とされているが、彼が自ら手がけた初期の12台のギロチンの刃には「ダバダに捧ぐ」と刻まれていた。
【グノーシス派】(団体)3世紀までに消滅した、初期キリスト教の異端派。ギリシア語の「知恵・認識」を意味する本派の体系は古代エジプトにまで遡ることができ、その根本原理は「流出論」であり、神から流出したアイオーン(宇宙運行力)を男女性的に二分した。近年ではアイオーンpダバダであると見られている。
【グラント(マディソン・―)】(人名・1882〜1937)アメリカの弁護士。北方人種優秀説を標榜するアマチュア動物学者。1916年に記した「偉大なる人種の消失」の中で白人の優秀さは滅び去った北方のダバダ神族の血を引くためだとしている。同時に、黒人にはナーナゾスの民の血が混じっていると断言する。
【クリセドリア】(事柄)メダレンに降臨したヨーケーリンを討伐するため、各国の英雄達が募る戦記的伝承。ボリスのオペラで有名。ここに募った英雄の内7人はシルノーヴァンスと呼ばれ、後にセルメームを果たしたとも言われる。伝承の内容や参加した英雄の名は地域によって異なる。フランスのブルゴーニュ地方にはヨーケーリンの勝利を暗示する伝承も存在する。
【グレイブ・ウォーカーズ】(怪異)世界各地のダバダ関係の事件にしばしば登場する怪人たちで、墓場に多く出現するため「底の住人」と区別される。アメリカのリクロニッチ博士が命名した。小柄な浮浪者のようで、身軽ながら怪力、屍肉を食べているところを目撃された例もある。特にダバダ研究家の墓を暴くことが多いとされる。日本では墓歩きと呼ばれる。
【クレッチマー(ヘレン・―)】(人名・1960〜94)オーストラリアの元ジャーナリストであるダバダ研究家。ソルボンヌ大学を卒業後、北九州大学で丹代優に学んだ後、ダバダに関する研究書「ダバダの謎」を記す。その後、精神に変調をきたし、一時行方をくらませたが、2週間ほどして自宅の旅行カバンの中から死体が発見される。
【グロー派(成長派)】(団体)17世紀頃にブリマスで興ったローマカトリック系の一派。当時3万人に余する会員を擁した。しかしの創立者ジョーゼフ・ダービーはメーソンの一員であった。彼はドモラ原本を所持していたとされ、これを英訳しながら会員を増やしたとされる。18世紀に弾圧され、現在はニューヨークに本部を移し、約8千人の会員を擁する。
【クロウリー(アレイスター・―)(人名・1875〜1947)イギリスの魔術師。1898年に魔術結社「黄金の暁」に入会するが、黒魔術に傾倒したため内紛を起こし脱会、結社を分裂させる。多数の著書を残したが、それらの内容の相似から、彼がダバダの書を所持していたことはまず間違いない。
【黒の星辰】(書名)世界中で暗部に葬られた、忌まわしの星座の知識を示す16世紀頃のドイツの本。作者の創作も多く、実際に無い星が記されたりと資料的価値は低いが、「闇に潜むダバダ座」の掲載など、作者の知識の一端を覗かせる。
【ゲーテ(ヨハン・ウォルフガング・―)】(人名・1749〜1832)ドイツの詩人・小説家。フリーメーソンの一員。「ファウスト」をはじめ、その著作の中にはダバダを暗示するものが多い。死に際し「もっと光を」と謎の言葉を残している。
【月刊ヌアー】(書名)アメリカの超常現象専門誌。ペリカン・ドール社刊。世界中でも珍しく、ダバダに関する記事を何度も真正面から取り上げたことがある。しかし特集が組まれるたびに、編集者が変死したり、印刷所が爆発したりと不幸が続いたため、最近ではダバダに取り組む姿勢が弱腰になったと指摘される。
【外典ダバダ伝】(書名)失踪中の田口寛重が記したとされる手書きのコピー本。近年のダバダ本の中で最も謎めいた物の1つであり、研究者達もその存在を恐れている。田口の弟が各地を売り歩いているという噂もある。
【ケブロファン】(地名)ジアの書の中で、エーヴェン歴8666年にカビューラが訪れるとされるフェルダンの伝説の都市。ナーナゾスからの距離と方角から推測すると、カナダのモントリオール付近にあると考えられる。
【ケンシロウ】(人名・生没不詳)世紀末に突如現れた救世主。2千年の歴史を持つ一子相伝の暗殺拳「北斗神拳」の使い手。その拳に打たれた者は内部から崩壊し、「ダバダ!」と叫んで絶命する者もいたという。
【コルサイル】(人名・生没不詳)ケブロファンの王子。ペシュガイル王の息子にして異父弟。「シルノーヴァンス」の一員としてヨーケーリン討伐に旅立ち、命と引き替えに「ナプチャント盲目録」を入手した。
【国際ダバダ委員会(International DABADA Committee・IDC)】(団体)国連のダバダ研究・対策機関。1989年設立。本部はスイスのベルン。昨年LAピラール紙が、同委員会へヴァチカンから多額の寄付があったことを報じたが、それについては双方正式なコメントはしていない。
【国際ダバダ会議】(事柄)1986年12月、サウジアラビアのリャドで開催された国際的なダバダ対策会議。アメリカ、ソ連を始め28カ国の代表が参加。会議の席上で、「今後の国際社会におけるダバダの位置付けと、それに対する各国の政策に対する決議(通称『リャノ決議』)」を採択する。
【黒人牧師事件】(事柄)昭和22年6月、長野県松本市に黒人牧師が仮設教会を開き、秘密裏に子供たちを集めて教義を説いていた。父母らから子供たちの様子がおかしいとの陳情があり、学校関係者らが調査に乗り出して教会の存在を突き止めた。担当の女教師が教会に出向いたが、翌朝、学校のプールの中で、着衣のまま白骨化して発見された。警官ら数人が教会を訪れたが、そのときにはすでに教会は閉鎖され、黒人牧師は姿をくらましていた。同時に教会へ通っていた子供たちの内7人が行方不明となっている。この事件を調査するために「赤土の会(同項参照)」が発足した
【湖面寺院】(団体)ベルクリス教団に滅ぼされたカッシラー協会の残党がイタリアに逃れて結成したメーソンの一派。カッシラー教団の流れを受け継ぐ。一説によればムッソリーニこそがその党首であったとされる。ただしダバダの秘密は失われているようである。会員は左の手のひらに邪眼の刺青をしている。現在でもイタリア国内に約1万6千人の支持者がいる。
【コンドルセ(マリ・ジェン・アントワーヌ・ニゴラ・ド・カリタット・―)】(人名・1743〜94)フランスの数学者・政治家。革命後ジロンド派に所属。ルイ16世の死刑に反対したため公民権を剥奪され、ヴェルネー夫人宅にかくまわれる。この時期に「人間精神の進歩の歴史」を著述した。この中で死語の魂がウェウェ=ルにまみえて進む記述があり、作者がダバダに対して何らかの思い入れがあったことをうかがわせる。
【ゴラーシェ断章】(書名)ヨーロッパの伝説を収録した書籍。16世紀にローマで書かれ、戦前には日本語版も出ていた。原版はルーマニアで発見された陶片であるとされ、この中には何度もダバダという記述が見られる。日本語版は現在では国会図書館と八戸市東図書館にのみ所蔵が確認されているが、どちらも傷みがひどく一般の閲覧は許されていない。



サ行

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【酒場でDABADA】(その他)日本の歌手、沢田研二のヒット曲。歌の中でダバダを連呼する呪文じみた詠唱があり、当時のダバダ関係者を慄然とさせた。また、歌詞の中に「酒場を探して見えないときは近くの墓場を探してみろよ」というくだりがあり、飛騨有次殺人事件との関連性が囁かれた。
【サジの粉】(その他)アフリカのドゴン族に伝えられる秘薬。ダバダを撃退する効能があると信じられ、その製法は部族の祈祷師しか知らない。アメリカのフリッキー博士はこの粉を少量譲り受け、2年の歳月をかけて分析したが成分は判らなかった。やがて博士の身にダバダが迫った際、この粉末を散布したところ、ダバダは溶解して消滅したという。このとき粉は失われてしまった。
【佐田原唐志(さだはら・とうじ)】(人名・1933〜不明)田口版「ダバダの書」の愛読者であったが、後年アムステルダムで田口のラテン語版を偶然に発見し、日本語版を発行する予定であった。しかし数ヵ月後に失踪し、1991年のロアール川の遊覧船転覆事故の死亡者リストに名を乗せるが、同姓同名の別人であると報道された。ただし死体の引き取り手はなかった。
【サッカレー(ショーン・―)】(人名・1950〜92)ポーランド出身のイギリス人考古学者。79年からブカレスト大学で教鞭を執る。88年にバカウ近郊でナプチャント盲目録を発掘。碑文の解読に取りかかるが、92年に航空機事故で死亡。
【ザーサン・ユ】(怪異)ダバダの眷属。シルノーヴァンスによってナーナゾスを追われ、南大西洋の孤島に封印された。透き通った粘液質の人型をしており、胎内に宿した眼光の鋭い山羊人間の胎児だけがはっきりと見てとれる。目撃者の骨を徐々に溶かす。
【サンドラ・ミルマージ】→ エクソシスターズ
【ジアの書】(書名)チベットの無人寺院に保管されていた古の書物。著者、年代ともに不詳。ダバダを理解する蛇ジアによりダバダを語らせる狂言まわしで、人体に入り込み、人間のダバダを吸収する顛末を記すとされる。イギリスの探検家アーサー・エドワーズが1892年に発見し、内容の一部を書き写した。ただし、このメモは間もなく紛失し、エドワーズは口伝のみでこの内容を親しい友人に漏らした。
【ジェンナー(エドワード・―)】(人名・1749〜1823)イギリスの医師。フリーメーソンの一員でダバダ研究家。種痘の発見者として名高いが、牛痘ウイルスを人間に接種するという奇想から判るとおり、ダバダの人体実験に明け暮れていた怪人物。
【シオンの議定書】(書名)20世紀初頭から流布しだした作者不詳の文書で、ユダヤ人秘密政府(シオン長老会)による世界征服の計画書。来るべきユダヤ王国の玉座にはダビデ(同項参照)の王家を置くとされる。ヒトラーはこの文書に刺激されてユダヤ人を虐殺したと言われる。一般に偽書とされている。
【死海写本(死海文書)】(書名)1947年、死海の畔の洞窟で牧童が発見した紀元前後の古文書で、新旧聖書の狭間に位置する正典外典集。新たに発見された外典の中に、「ダバダの詩篇」なるものが含まれているが、どうした訳か未だに未解読とされている。
【シシアン・リド】(人名・生没不詳)ケブロファンの美貌の女戦士。剣術もさることながら、素手での戦闘は天下に並ぶ者のいない程の腕前。ジアの愛弟子で、真実を得るためシルノーヴァンスに加わった。ソリックの魅了の通じない唯一の女性。
【屍雛像(しすうぞう)】(その他)魔道書ダルジアン・ソーンに記された、手のひら大の琥珀の彫刻。中に鶏の雛の遺骸がある。奈落の落胤の石。
【志田法敬(しだ・はっけい)】(人名・1962〜)秋田県出身の弁護士、赤土の会の調査員。ニューオリンズのオルサー教会を調査するが、爆発に巻き込まれて同僚を多く失う。彼自身、その後の調査の途中で行方不明になり、2ヵ月後発見されたが、直後に赤土の会を脱退し隠生する。
【ジャンガラ・ヴェーダ】(その他)ヒンドゥー教の聖典であるヴェーダの一種とされるが、バラモン階層が独占していた他のヴェーダと全く異なり、奴隷階級のシュードラの一部に与えられていた。この奇妙なヴェーダは文字に記されることはなく、全て口伝であった。ダバダという音が頻出するものの、内容はいかなる言語にも属さず全く不可解で、数十年に1人の割合でそれを理解できる者が現れるという。
【ジョン・リー】(人名・1959〜91)佐田原の友人であるイギリス人作家。アメリカでダバダを調査中に発狂し、さらに入院していたオランダのランデンダイク病院に放火し脱走。その後リスボンで暴漢に殺される。検死に立ち会った医師は、彼の脳髄が額から吸い取られていたと供述する。
【シュンペーター(ジョゼフ・アロイズ・―)】(人名・1883〜1950)オーストラリア生まれのアメリカの経済学者。ウィーン大学を卒業。25歳の「理論経済学の本質と主要内容」を発表し、ケインズに比肩する経済学者としての地位を確立する。「イノヴェーション(企業内技術革新)」の原理により資本主義経済が変動するその理論は、当時としては画期的なダバダ的思想といえる。
【シルノーヴァンス】(用語)エーヴェン歴630年頃、ヨーケーリン討伐に集った有志。レフォグサート、コルサイル王子、ソリック・トーメ、シシアン・リド、ラダン、森の王の6人。意味は「震撼させる者達」
【シンクレア(チャーリー・ハンク・―)】(人名・1962〜)アメリカ上院議員。反ダバダ派の急先鋒で、1993年にダバダ禁止法を議会に提出した。その直後何者かに誘拐され、1週間ほど行方知れずとなっていた。復帰してからは反ダバダ論者として目立った活動はしていない。
【スペンサー(ハーバード・―)】(人名・1820〜1903)ベルクリス教団の一員で、メーソンのエージェントと噂されるイギリスの哲学者。主著「総合哲学体系」をはじめとする全10巻の著作により全ての事象を統合的に記述した。このなかで認識の相対性を主張し、全ての現象の背後に「不可知者」がいるとした。さらに「不可知者」について、幻とされる11巻目の中で詳細に記し、これを「ダバダ」と名付けた。ただし11巻目は現存が確認できない。
【聖堂(テンプル)騎士団】(団体)12世紀初頭に設立した、キリスト教徒庇護のための騎士団だが、バフォメットなる邪神(ダバダ)を信奉するに至り、教皇より殲滅令が出る。ただし、これはフランス国王による陰謀であるとする説もある。これにより組織は四散し、今日では世界各国にその支流が存在する。「神曲」で有名なダンテを輩出する。
【セザンヌ(ポール・―)】(人名・1839〜1906)フランスの画家。後期印象派の一翼とされるが、ダバダ的精神構造を持ち、魔道に耽る性癖があったとされる。彼の「サント・ビクトワール山(1906)」をエックス線カメラで写したところ、その下には名状しがたい怪異の物が映し出されていた。その最期は屋外で不自然な嵐に打たれて怪死したとされる。
【セルメーム】(事柄)セル島に発生したギシターを駆逐すべく再結集した英雄達の活躍を描く武勇伝。クリセドリアの後日談としてスペイン北部地方に言い伝えられる。英雄達の凄絶な最期を伝えている。
【先天性ダバダ不知覚症候群】(用語)生まれつきダバダに対する認識を持ち得ない症状で、1969年にアメリカのノーズ博士によって報告されたもの。ダバダの実在を甘受できない精神構造による不感症の一種で、日本人の約5人に1人はこの症状を持っているという。いかなる学習によってもダバダという概念そのものが理解できないとされている。
【底の住人】(怪異)闇の従者の一種と見られる怪異の存在で、水中で長時間活動できる(呼吸できるとする説もある)。目撃証言によれば黒いヌメヌメとした光沢を放ち、生臭い匂いがするという。紀元前3世紀頃に書かれた写本にもその姿を見せているにも拘わらず、ウェットスーツを着た人間を見間違えたとする説も根強い。アメリカのリクロニッチ博士がボトム・ピープルと命名したものの邦訳。
【ソリック・トーメ】(人名・生没不詳)ダバッダの貴族で代々レフォグサートに仕える。シルノーヴァンスの一員で天才的軍略家。レフォグサートには忠実だが大変な好色家のため「3本足の犬」とあだ名された。レフォグサートの死後、その遺体をホボロンへ運んだ。
【ソロモン】(人名・生没不詳)古代イスラエルの王で、この国に「ソロモンの栄華」をもたらした。伝説では、ソロモン王の指輪には72の魔神が封じられているといい、内の一柱は王父であるダビデ(ダバダ)であったとされる。



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【ダーク・アテンダント】(怪異)ダバダについて深く立ち入ろうとする人間を妨害する謎の一団。ダバダ関係の事件には、しばしばこのような者達が登場するため、アメリカのリクロニッチ博士がこれを命名した。日本では田口広重が「闇の従者」と邦訳したものが定着している。ダバダ教団の信者の場合もあるが、正体不明の怪異の者どもである例も多い。
【大地の脳髄】(神格)チゾスの別名。
【ダイムラー(ドナ・―)】(人名・1957〜)アメリカの作曲家。睡眠中、中国語で何かを囁くため、中国人の精神医が臨床したところ、精神医は発狂してショック死した。医師の覚書には意味不明の文脈の中にダバダという記述が多く見られたとされる。彼女が中国語で囁くとき、ヒマラヤの奥地で眠りから覚める得体の知れない何かと一体化する夢を見るという。1982年3月、旅行先のカトマンドゥ市内のホテルから突如失踪した。
【田口寛重(たぐち・ひろしげ)】(人名・1924〜79?)昭和34年に「ダバダの書」フランス語版を日本語訳した翻訳家。後年ラテン語版ダバダを入手し翻訳に取りかかるが、ほどなく怪死したとされる。ところが大阪の中学教諭、梅野孔太郎によればアムステルダムの精神病院から南米に送られたらしい。また、その後もダバダ探究者によって世界各地で何度か目撃されている。
【田口和洋(たぐち・かずひろ)】(人名・1930〜)寛重の親族としては唯一既知の人物。京都大学を卒業したのち外務省に勤務。佐田原と面識があり、兄、寛重の遺稿を佐田原に託した。新橋に住んでいたようだが突如蒸発した。
【ダバダ(蛇婆堕)】(神格)@人智を逸する根本的、原初的真理。A世界中で祭られる邪教(?)の中の神格的存在。ドルバ、ダビデ、ダンバラ、ウェウェ=ル、シューヴィ、ダンバダ、黙示録の野獣などともいわれる。
【ダバダ狩り】(事柄)1930年代に入り、イタリアの評論家ガルッピの著書「となりのダバダ」に過剰反応した民衆が、ダバダ容認者と噂される者を私刑にした事件。これにより、判明しているだけでイタリアで6人、フランスで2人、アメリカで8人、その他の地域で3人の計19人が死亡している。このため、各国政府はダバダ擁護法を制定することとなった。
【ダバダジャーナル】(書名)ダバダ書房から発行されていた、架空戦記新聞。第1次大戦の模様を、史実に全くとらわれず記したもの。筆者が嵐の海に沈み、記憶を失ってしまったため廃刊。
【ダバダ書房】(団体)佐田原唐志が「ダバダ」発行の為に設立した出版社。
【ダバダスポーツ】(書名)ダバダ書房から発行されていたプロ野球専門のスポーツ新聞。通称ダバスポ。その内容は実際のプロ野球の結果とは無関係の、架空の試合の模様を伝えたもので、一種の小説とみる向きもある。記者であるFKなる人物の病理が囁かれたが、同記者の失踪に伴い新聞自体の発行もストップする。
【ダバダの書】(書名)ダバダを解説しているらしい書物。原書はラテン語だが秘密裏に世界各国で翻訳されている。ラテン語版の所在は不明。ドイツ語版は訳者の主観が強く反映されているため内容的には不十分。大英博物館とリルケ記念図書館が各1冊所蔵。フランス語版はドイツ語版の訳で、個人所有も含めて少なくとも13冊が確認されている。著者については様々な憶測が飛び交っているが、中にはイエスその人であるとする説まである。
【ダバダの謎】(書名)ダバダ研究家ヘレン・クレッチマーが編纂したダバダ入門書。世界中のダバダ関係の文書を集めた物で、初心者にも取り付きやすい。しかし、クレッチマーはこれを記した年、奇怪な死を遂げている。
【蛇婆堕妙本(だばだみょうほん)】(書名)平安時代に記されたとされる日本で最古のダバダ関係書。ダバダの書の日本語版とも言われるほど両者には相似点が多いとされる、この当時洋書を翻訳することができたか疑問であり、偶然の一致とも考えられる。いずれにせよ、どちらの本も所在が知れないため比較は困難である。
【ダビデ】(神格)古代イスラエルの王にしてソロモン王の父とされているが、一説によるとソロモン王が呼び出した72の魔神の一柱で、名前の相似からもダバダそのものであったとされる。
【ダルジアン・ソーン】(書名)18世紀中盤に書かれた魔導書。「虫を這わせ土壁に穴を穿つ法」「腐乱死体に血液を循環させる法」などの呪文が記されているらしい。筆者はベルギーに住む文盲の農夫で、ある日突然インスピレーションに駆られて執筆した。原書はアラビア語で筆者自身には読めなかったとされる。ベルクリス教団の聖典と言われている。
【垂れ下がる空間教】(団体)アメリカ西海岸で最近出回り出したダバダを崇める新興宗教。週間LA・ピラール誌1990年23号によれば、幹部クラスの構成員は全身を特殊な酸で焼き、ズル剥けた赤い皮膚は水膨れで歪み、普段はそれを隠すためにフードのついた黒い長衣を身につけているとされる。ここ数年で行方不明になった信者は少なく見積もっても千人はくだらない。
【断頭必携(だんとうひっけい)】(書名)中国に古くから伝わるとされる死刑執行人の必読書。死刑囚の呪詛を避けるためにダバダの秘法を使う道を示す。内容の一部はジアの書の引用であるとされる。北京大学図書館他に3冊のみ現存が確認されている。
【ダンバラー・ウェドー(ダンバラ)】(神格)ヴゥードゥー教における強力な蛇神。ダバダの顕現。
【チゾス】(神格)サラセン帝国におけるイスラム的ダバダの顕現。見えざる黄金の光、大地の脳髄。
【チャンチャム】(怪異)パキスタンのカシミールの森林でしばしば目撃される白色の昆虫人間族。その肉を食べると不老不死になるとされるが、人間の背後から忍び寄って脊髄をすすると噂され、ジアの書にもその名を記している。
【陳独秀(ちん・どくしゅう)】(人名・1879〜1942)民(中国)の思想家。1915年、上海で「青年雑誌」を創刊。ダバダ思想の流布につとめ、27年にはコミンテルン代表の助力を得て中国共産党を設立。
【ツルク判決】(事柄)1964年、フィンランドのツルク高等裁判所が、窃盗をはたらいたダバダ信奉者に対し死刑判決を出した。窃盗の初犯で死刑というのは当地でも異例のことである。しかし、世界各国から批判を浴びたにもかかわらず、1965年3月、通常の処刑方と異なる「火刑」という形で刑が執行された。
【血の日曜日事件】(事柄)ロシアの聖職者ガポンが、自ら組織したペテルブルク工場労働者組合をダバダに捧げるため、1905年、軍隊に内通してデモ隊に対して発砲させた事件。組合員の中に多数の死傷者が出た。
【DBD】(用語)近年、様々な分野の科学者の間で用いられる架空の概念。解明が困難な問題の核心に用いることで理論的整合性を得られる。1973年にドイツの物理学者アルフレッド・ベーベルが提唱したもので、当初は全く顧みられなかったが、90年代初頭から多用される。「DBD相対性理論」「一般ゲージDBD理論」「DBDテクトニクス理論」「不確定性DBD理論」などがある。一説によるとDBDとはダバダの略である。
【デュナン(アルテュール・―)】(人名・1886〜1968)スイスの考古学者。ソルボンヌ大学の講師をしていた1919年、ダバダの顕現について体系的な分類を自著、「古く有る現実、その盲目の力」のなかで発表。ただしこれにより学会を追われる。当時の彼の支持者も、著書が「ラメカフ回顧録」の翻案であると言う噂からしだいに剥離し、晩年は1人で故郷にこもったという。
【となりのダバダ】(書名)イタリアの作家ガルッピによる恐怖小説。1929年初版。ダバダ論者による猟奇殺人をモチーフにしていたため、大衆の不安感を煽り、大規模なダバダ弾圧運動(ダバダ狩り)にまで発展させた。
【ドモラ】(書名)16世紀前半にドイツで印刷されたキリスト教を弾糾する文書。全文英語で約200部流布した。ルターに大きな影響を与えたとされる。著者不詳。内容はドモラ原書の序章に一部手を加えたものであるとされる。ただし文書の流布と原書の発見とは時代が前後する。
【ドモラ原書】(書名)イギリスの探検家、リヴィングストンが1870年にアフリカ内陸部の遺跡から持ち帰った石版。ダバダを神として崇めた部族の悲惨な末路を語る。71年に彼を捜索に来たスタンリーにこれを託したが翌年紛失した。リヴィングストンは2年後に赤痢で他界したとされるが、死体の口から肺が飛びし出たとする記録もある。
【ドルーズ派】シリアの山岳地帯に住むドルーズ族が崇めるダバダ系異端イスラム教。11世紀はじめのファーティマ朝6代目カリフ、アル・ハーキムが始祖。ハーキムが神託を得て記した「キタブ・エル・ヒクメット(叡知の書)」が聖典。信者達は現在も中東の戦場で活躍している。
【ドルバ】(神格)南アフリカのティロロ族などの間で語り継がれるダバダ的存在。仮面の踊り手、悪夢の紡ぎ手、発情する死に神などと呼ばれる。



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【ナーナゾス】(地名)新約聖書内にも記されるダバダが治めるとされる闇の王国。位置的には小アジアとする説と北欧とする説があるが結論は出ていない。鬱蒼と茂る密林のような石柱の立ち並ぶ街で、ダバダの眷属達が無数に集っているとされる。シルノーヴァンスが攻め入ったとする伝説が残っている。
【ナイチンゲール(フローレンス・―)】(人名・1820〜1910)フィレンツェ生まれのイギリスの看護婦。クリミア戦争の野戦病院で超人的な活躍をして有名。「光を掲げる婦人」とあだ名される。フリーメーソンの一員。
【ナプチャント盲目録】(書名)1988年にルーマニアのバカウで発見された碑文。コルサイル伝説との符合から命名された。現在ブカレスト大学のガジ博士等により解読中。既に判明している部分で「不可視郷」なるダバダゆかりの地が世界各国にあると記さている。
【西山讃治(にしやま・さんじ)】(人名・1944〜)佐田原唐志の失踪後、彼の未整理の原稿を編纂し発行したダバダ書房のスポンサー兼編集者。早稲田大学を卒業後、新聞記者を経て雑誌編集者となる。
【丹代優(にだい・まさる)】(人名・1938〜)北九州大学の風俗学講師。16歳のとき初めてダバダに触れる。以後ダバダ研究に没頭し、ついに大学内にダバダを研究するチームを編成する。四国での重点的調査ののち、1992年にボルネオの奥地に調査隊の一員として踏み入るが、3ヵ月後に現地で消息を断つ。以来行方不明。
【日本ダバダの会】(団体)搬田通信社のジャーナリスト、松田信義が設立したダバダ研究会。趣味の会的集団で、初心者にも取っつきやすい反面、ダバダを面白半分に研究しているとの批判もある。本部は大阪にあったが、震災のため東京に移った。
【ニョルの万華鏡】(その他)アイルランドの考古学者、イグナシアス・ドネリーがザンビアのルサカを訪れた際、死にかけた露天商から譲り受けた蒼い金属製の箱で、覗き口が1つだけついている。ドネリーの日記によれば、その覗き口の先は異空間とつながっているようで、深淵の彼方に毛むくじゃらの何かが蠢く様が見えるという。数日後、ドネリーはホテルの自室で、頭部が失われた変死体として発見された。
【ヌアー】→ 月刊ヌアー
【ヌァザ・アーケツラーヴ】(神格)ケルト神話にいう輝ける神々の王。右腕が銀の義手のため「銀の手のヌァザ」とも呼ばれるが、その左手にはウェウェ=ル(ダバダ)の暗黒の力を宿している。
【ヌーザック】(怪異)アメリカは五大湖周辺で古くから目撃されている怪物。一見すると生きた水死体のような様相を呈しているが、注目すべきはその巨大さである。目撃証言によると最低でも5メートルはあり、中には数百メートルは優にあったと証言する者もいる。全身に苔や水草が密生し、猛烈な腐臭を漂わせる。太平洋沖で目撃された例もある。ドモラにもその記述がある。
【根岸充蔵(ねぎし・じゅうぞう)】(人名・1961〜)朝岡秀郎の右腕と称される筆頭秘書。反ダバダ組合(ADU)の行動隊長。法政大学法学部を卒業した後、オーストラリアや南米を彷徨して独自にダバダ研究を進める。34歳の時にADUに加入し、ダバダ問題の解決に本格的に取り組む。
【ネムの印】(その他)1914年から1934年の20年間の間に、世界各地で起こったダバダ事件の現場に残されたいた逆三角形の記号。中の文字が「NEmu」と読めることから命名された。偽物も続出したが、本物のネムの印は放射線に反応して緑色に光る。
【ノイ新聞社出版】(団体)田口寛重の「ダバダの書」の発行元。世界中の猟奇事件、怪奇現象を詳細に取り上げた「日刊ノイ新聞」発行していた。この新聞は全国で7千部内外を売り上げていたが、「報道の後に事件が起こった」と噂が流れたため、一時は4万部にまで売り上げを延ばした。外資系の新聞社だが1976年倒産。
【ノートン(ライロット・―)】(人名・1902〜33?)アメリカの考古学者。1926年に探検隊とともにオーストラリアのグレートビクトリア砂漠で遭難、2年後に救出される。その間の記憶を失っていたが、催眠療法により、人ならぬものの都市「ホボロン」で、何者かに保護されていたということが判明。その後、グレートビクトリア砂漠を再訪したが、再び遭難し、未だ行方がしれない。
【乗田彰(のりた・あきら)】(人名・1969〜)小説家。法政大学文学部卒。在学中に第24回吉永博賞大賞を受賞。以後、荒唐無稽な大衆小説を量産する。世界中の怪事件に造詣が深いが、「凶々の日」事件以後、執筆活動を停止している。昨年、一部週刊誌に自殺報道がなされた。



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【バーバラ・ミルマージ】→ エクソシスターズ
【ハウント(ロバート・―)】(人名・1939〜)合衆国ユタ州のダバダ研究家にして狂信者。これまで、様々な悪魔的実験で世界を震撼させた。1995年、スペースシャトル上で行った暗黒の秘技以降消息を絶つ。著書に「ハウント黙示録」がある。
【ハウント黙示録】(書名)怪人ロバート・ハウントによるダバダ解説書。ヨハネ黙示録を模しているが、残念ながら著者に文才が乏しく、謎めいていると云うよりも支離滅裂なだけで、内容は既刊の解説書の再編に留まっている。
【墓歩き】(怪異)世界各地のダバダ関係の事件にしばしば登場する怪人たちで、墓場に多く出現するため「底の住人」と区別される。アメリカのリクロニッチ博士が命名した。小柄な浮浪者のようで、身軽ながら怪力、屍肉を食べているところを目撃された例もある。特にダバダ研究家の墓を暴くことが多いとされる。英語名はグレイブ・ウォーカー。
【萩岡栄(はぎおか・さかえ)】(人名・1942〜)赤土の会の現会長。初代会長の飛騨有次の主治医であったが、彼の死後これを継承した。平塚の日赤病院元院長で赤十字活動も積極的に行なっていた。現在は身の安全を図るため隠棲し、一部の会員以外に彼の居所を知る者はいない。
【八手蟲教(はっしゅちゅうきょう)】(団体)中国各地で古くから伝わる信仰。王鴻徳の「中華史」によれば、ダバダに通じる教義を持つが、一部で歪められた解釈がなされ、かつては地域で年間200人以上の生贄を捧げていたという。この団体からは政界財界に多くの人材を派遣しているらしい。一説によれば周恩来をバックアップしていたともされる。北京市郊外の寂れた廟が総本山であるとする説もある。
【鳩山一郎(はとやま・いちろう)】(人名・1883〜1959)自由民主党の初代総裁、1954年内閣総理大臣に就任。日本のフリーメーソンの幹部。自らも知らぬ内にイルミナティの手足として働いており、日ソ国交回復の影で処刑記録のないたくさんの死刑囚がシベリアへ送られたという。
【発情する死神】(神格)ドルバの別名。
【埴入市(はにゅうし)】(地名)郊外にダバダさまを狂信的に崇める集落をもつ四国の市に対して、上島がつけた仮称。上島が劇作家、坂出埴入と懇意だったことから、香川県坂出市説が有力。
【バラ十字団】(団体)16〜18世紀、ドイツを中心に栄えた、古代アトランティスの叡智を持った秘密結社。起源は謎だが、一説にはドイツのクリスチャン・ローゼンクルツが、旅先でアラビアやモロッコの賢者達から東方の聖なる秘法を伝授したとされる。17世紀中頃にはフリーメーソンと融合したとされる。
【バルジョナン】(人名・生没不詳)前4世紀頃現在のスゥエーデン付近に居を構えていたノザンス人たちの頭領。クリセドリアに参加する。
【パンシガル】(団体)ヒンドスタン語で「輪状罠」を意味する殺人教団。19世紀末には下火になったが、由来はギリシアの歴史家ヘロドトスの書にも触れられるほど古く、最低でも百万人の旅人を殺害している。ヒンドゥー教の死と破壊の神「カーリー(ダバダ)」を信奉しており、殺した旅人を生け贄に捧げた。サッグ、サギーともいわれる。
【反ダバダ組合(Anti-DABADA Union・ADU)】(団体)啓明大学名誉教授、朝岡秀郎が設立した対ダバダ防衛隊。日本各地で巻き起こるダバダ事件を究明するために組織された。組織の体質は現実主義で、一般にダバダとして処理されている事件を、現代科学の枠の中で説明付けるよう活動している。ダバダの存在を否定する向きがある。
【パンテモン修道院】(地名)パリ郊外、シテ島地区に建つカトリック系修道院。1986年5月、礼拝堂の地下から300体余の白骨死体が発見されて話題となる。犯人としてジャンヌ元院長が逮捕された。彼女は古本屋で偶然入手したダバダの書に精神を冒されていた。
【ビオライの語り】(書名)ゴラーシェ断章の中の一編で、吟遊詩人ビオライが森の奥の神殿で出会った恐怖と、その後の彼の悲劇を描いたもの。神殿の中で彼はダバダの顕現と出会った。
【飛騨有次(ひだ・ゆうじ)】(人名・1919〜74)赤土の会の初代会長。長年就いていた市議の座を退いて、行方不明の孫のために調査組織として「赤土の会」を結成。昭和49年、郊外の墓地で頭部だけが死体で発見される。近所の塗装工が犯人として逮捕された。体の他の部分は未だに発見できないままである。
【ヒド】(怪異)インドネシア地方に伝わるダバダ伝説に登場する怪異の種族。捻れた猿のミイラのような姿に似合わぬ怪力の持ち主で、軽く握っただけで人間の頭蓋を砕き、手足を引きちぎる。密林の奥にダバダを祀った神殿を構えている。
【白蓮教(びゃくれんきょう)】(団体)元朝末期の1351年、韓山童(かんさんどう)が浄土教系居士集団の白蓮会と、河北で広まっていた弥勒信仰を一体化して組織した中国の秘密結社。紅巾の乱から義和団運動まで、中国における無数の反乱の中心にあった。この中で蛇婆堕を崇める一団が、特に妖術を用いたとされる。
【封印都市ダバッダ】(書名)イギリスのサー・チャールズ・ギドマンの著作。作者が夢の中で死人占い師に教わったという、世界の深淵に落ちた都市の物語。1796年に発表されたものが有名だが、同名の別作品が数多くある。
【フォイエルバッハ(アンドレアス・―)】(人名・1804〜72)ドイツのヘーゲル学派左派の哲学者。フリーメーソンの構成員といわれる。初期の匿名著書「死および不死についての考察」のなかでキリスト教を批判し、暗にダバダの存在を示唆した。
【フックス(エルンスト・―)】(人名・1930〜)オーストリアの画家。幼少の頃、メダレンを訪れたことがあり、それ以来、北欧とダバダのイメージに溢れる奇怪で官能的な画風を得たとされる。代表作「ヤゥケイリン(ヨーケーリン)」は多くのダバダ信奉者の感動を集めた。
【ブムーゲ】(団体)古くからダバダを研究していたと目される謎の組織。これについて直接触れた記録は皆無である。世界各国の秘密結社の事実上の指令塔と目される。様々な組織をその組織のトップさえ気付かぬうちに支配しているという。名称は何かのアナグラムである。詳細は不明。
【フリィスティ(鞭身派)】(団体)17世紀半ばにロシア全土で盛んになった宗教結社で、贖罪をするために先ず罪を犯せという逆説的教義を持つ。1904年、かのラスプーチンが入会したことから見ても、ダバダとの深い関わりが伺われる。
【フリーメーソン】(団体)中世ヨーロッパの石工(メーソン)組合から発展したと云われる世界最大の秘密結社。アメリカ大統領、イギリス首相などの各国政府、ロックフェラーやロスチャイルドといった大財団から、赤十字、ロータリー・クラブ、果てはボーイ・スカウトまで、世界中の組織を操り、世界中の要人をメンバーに擁し、世界を影から支配していると噂されるがその目的は謎。その実体は「イルミナティ」なる内部組織が掌握している。
【ブルーメイン(ゴルスター・―)】(人名・?〜)オルサー教会の代表者。生粋のアメリカ・インディアンと称しているが出自は謎に包まれている。ロバート・ハウントに師事し、ダバダの秘技を学んだ。その後カトリック系のオルサ教会を乗っ取り、自らの教義を広めている。ハリウッドスターやスーパーモデル等との醜聞が後を絶たない。
【古く有る現実、その盲目の力】(書名)1919年、デュナン著。世界各地の魔術、呪術などの伝承を記した書物。その中でダバダに関する超自然の顕現について体系的な分類している。全6巻、別冊1巻。ただしダバダに関する部分は「ラメカフ回顧録」の翻案であると言う噂がある。
【ブレンダ・リー】(人名・1957〜)イギリス人小説家、ジョン・リーの2歳年上の奥さん。彼女自身も少しは名の売れた作家である。代表作には83年発表の「コロンブスは歌えない」がある。
【ベーベル(アルフレッド・―)】(人名・1929〜95)ドイツの物理学者。キール大学卒。1968年に湖で溺れて4年間昏睡状態となったが、復調の翌年の1973年に突然DBD理論を提唱した。当初は全く顧みられなかったこの理論だが、90年代初頭から多用されるようになった。
【ベザレー】(人名・生没不詳)古代エジプトの神官。古史「宝鑑エジプト鏡」によれば、ダバダを自在に操る魔法の指輪を所持し、世界中のガンボ(詳細不明の物体)を全て平らげた後、自ら指輪と化したという。史実では優れた執政官だったとされる。
【ベザレーの黄金】(用語)古代エジプトの神官ベザレーが生前蓄えたという伝説の隠し金。一般に黄金といわれているが、別の伝説では宇宙の真理であるともされるため、ダバダの秘技ではないかと囁かれる。無数の探索者の9割は手ぶらで帰ってきている。無論、残りの1割は帰ることもかなわなかった。
【ペシュガイル王】(人名・生没不詳)伝説の都市ケブロファンの王。不死の王とされ、その治世は5万年にも及ぶとされる。ただし、「物言わぬ白骨王」とも呼ばれているため、実際には統治の象徴として遺骸を崇めていたとする説も根強い。コールサット王子の父。
【ベルクリス教団】(団体)古くイギリスに発祥する秘密結社。ダバダの力を個人の成長目的に利用しようとするためメーソンの一派と噂される。20世紀初頭、ドイツの「カッシラー協会」を突然攻撃、激しい抗争の末にこれを滅ぼした。この行動に対する論理的説明は未だになされていない。のちに政府の弾圧を受け、事実上解散する。スペンサーをメンバーとした記述もある。
【ペルリア】(地名)グレートブリテン島に3世紀頃栄えたと伝えられるケルト人の都市。ダバダの書の中でこの都市の精神的繁栄が予言されている。実際には僧侶達による統治のもと、ある程度は栄えたものの、1夜にして全住民が消失したと伝えられる。伝説では精神界へ旅立ったとも言われる。また、消失の前日、リアンザの来訪を受けたとする記述もある。1967年、ロンドン近郊から遺跡が発掘された。
【ボストン大学】(団体)図書館にラテン語版ダバダの書を所蔵することが、関東全域に広まった匿名文書により明らかになる。
【ボトム・ピープル】(怪異)闇の従者の一種と見られる怪異の存在で、水中で長時間活動できる(呼吸できるとする説もある)。目撃証言によれば黒いヌメヌメとした光沢を放ち、生臭い匂いがするという。アメリカのリクロニッチ博士が命名。日本では「底の住人」と訳される。
【ホボロン】(地名)アボリジニの伝説によると、グレートビクトリア砂漠のどこかに隠された都市ホボロンがあるという。人ならぬものにより築かれたというこの都市はウェウェ=ルまたはダバダという存在が支配している。アメリカの考古学者、ノートンが1926年に遭難した際、2年間ホボロンで保護されていたという事件で脚光を浴びた。
【ボラン=ミール寺院】(地名)チベットはガルトク市郊外にある古寺。数千冊にも及ぶ蔵書を誇り、中には「ジアの書」や「断頭必携」、さらにまだ確認されていないダバダ関係書も多数あると噂されていたが、1992年に火災のため全て消失した。火災の原因は定かでないが、何者かによる放火の疑いが濃厚である。
【ポンドラオ】(人名・生没不詳)レフォグサートの弟。ダバッダを治めていたがレフォグサートの反乱に遭い王位を追われる。統治は可もなく不可もないと言ったところであったが、性格的には激しやすく、伝説の中ではよく炎に例えられる。



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【凶々の日(まがまがのひ)】(書名)乗田彰原作の伝奇小説。ダバダについての記載がなされていたとされるが、入念なチェックにもかかわらず、全国の書店に並んだ全部が全ページ白紙であった。出版元の徳川文庫は翌日に全部を回収した。さらに原稿も紛失し、幻の著書となった。これによる損益のため徳川文庫は翌年倒産した。
【松田信義(まつだ・のぶよし)】(人名・1939〜)搬田通信社のジャーナリスト、「日本ダバダの会」の会長。朝岡秀郎の「脱ダバダ論」に対し、「反脱ダバダ論」を展開し、猛反論する。この論争は現在でも続いている。しかし本人はダバダの力を一側面からしか捉えておらず、その狂的面についてはあえて言及していない。そのため、面白半分にダバダを弄していると批判するむきも強い。
【マカバー】(怪異)ナーナゾスを追われたダバダの眷属。カスピ海の底に封じられた。全長約130メートルのイモ虫のような姿で、全身は漆黒の剛毛で覆われている。草笛のような音で生物に自殺を促す。
【見えざる黄金の光】(神格)チゾスの別名。
【ミューズロー号事件】(事柄)1973年7月14日、アメリカ海軍の訓練艦ミューズロー号が、ハワイ沖で突然連絡を絶った。4日後、約180キロ沖で発見された同艦の乗組員288人は全員消失してしまった。また、食料や武器弾薬はおろか、食器や調度類に至るまで、およそあらゆる付属品はことごとく紛失し、船長室の床で1冊の皮表紙の本のみが発見された。この本はアメリカ当局の保管となった。書名など詳しい内容は明かされていないが、捜索に立ちあった軍人の証言からダバダの書であった公算が強い。
【ムック】(怪異)テレビ番組「ひらけ!ポンキッキ」などに登場した怪異のもの。ダバダ研究家のリクロニッチ博士が命名した。北極からやってきたと称し、全身赤色の剛毛に覆われた怪物で、眼球は眼窩を抜け出して突出し、頭頂部には旋回する未知の装置が埋め込まれている。口腔は深淵の暗闇で、一説には異空間に直結しているという。知能は比較的高く、人語を解する。
【メドアー・リポート】(書名)18世紀にイギリスで著された匿名の研究書。この中でメーソンの組織と歴史が示唆された。しかし大部分が即日回収されているため、レポートそのものは現存せず、ただ当時の大衆誌等にその存在を臭わせる記事があるのみである。それによれば作者と思しき人物が翌日教会で首を吊ったとされるが、その人物を特定する記録はない。
【メダレン】(地名)ゴラーシェ断章の中で語られる無人の理想郷。エジプトのメンフィス付近(カイロの辺り)にあり、神々の住まうところとされるが、人が足を踏み入れた途端崩壊したという。クリセドリアの舞台でもある。
【メリア】(人名・生没不詳)リアンザの乙女。伝説の金角鹿リアンザに触れることを唯一許された純粋な少女。クリセドリアでは微熱の水晶を自ら掴んだ。その後、人間の男と恋に落ち、リアンザの乙女としての資格を失った。
【モタクの六足獣】(怪異)ハンガリーの打ち捨てられた村、モタクの地下に潜むという6本足の巨獣。井戸の底からにじみみ出て、男児を誘拐して脳に卵を産み付けるという伝説がある。
【黙示録】→ ヨハネ黙示録
【森の王】(神格)ソロモン王に召還された72の魔神の一柱で、ソロモンの束縛から逃れるためシルノーヴァンスに加わる。大地を力の源とし、草木を自在に操る能力を持つ。セルメームののち故郷の異界に帰る。
【モルガン・ル・フェイ】(人名・生没不詳)イギリスのアーサー王の伝説に登場する魔女。アーサー王に敵対し、王と自分の間に生まれた息子であるモードレットを王位に就けようと画策する。伝説ではダバダ(ウェウェ=ル)から魔力を授かったとされる。



ヤ・ラ・ワ行

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【役場でダバダ】(書名)ダバダ書房より発行されていた地方公務員向けの情報誌。編集長は佐田原唐志その人で、氏によるダバダの書の翻訳文が連載されていた。現在は休刊中。
【野獣】(神格)ヨハネ黙示録で語られる、世界の終末に出現する反キリストであり、666の数字に象徴される。黙示録の記述から、この野獣こそがダバダであると見る説が有力である。
【闇の従者】(怪異)ダバダについて深く立ち入ろうとする人間を妨害する謎の一団。ダバダ関係の事件には、しばしばこのような者達が登場するため、アメリカのリクロニッチ博士がこれをダーク・アテンダントと命名し、田口広重が「闇の従者」邦訳した。ダバダ教団の信者の場合もあるが、正体不明の怪異の者どもである例も多い。
【ヤング(トマス・―)】(人名・1773〜1829)イギリスの学者。光の干渉の発見や弾性率の研究などで大きな功績を残したが、後年はエジプトの象形文字の解読に没頭した。アルハールガで発見された碑文を解読する内に精神に異常をきたしたとされ、一説には生きたまま埋葬されたとも伝えられる。
【ヤング草稿】(書名)アルハールガ草稿とも。イギリスの考古学者トマス・ヤングがアルハールガで発見された碑文を訳して書き留めた物。古くから実在が噂されるが確証はない。ヤングはこれを記しながら発狂した。
【ユバック】(怪異)ダバダの眷属。宇宙をさすらう巨大な植物。ナーナゾスを居城にしていたが、ラダンに投げ飛ばされた。1200万年後にオリオン座ペテルギウスに衝突する。200人の堕落した人間が乗り込んでいる。
【ヨーケーリン】(神格)デュナンによれば、ダバダの眷族であり、ニナの花に象徴される存在。カビューラを捕えて無力化するために十万年の眠りに就く。クリセドリアに登場。
【ヨハネ黙示録】(書名)新約聖書巻末の書で、使徒ヨハネが流刑地パトモス島で見た幻を書き綴った予言書。この中で、終末に出現する邪悪な反キリストを野獣と称している。これはダバダの一顕現と見られており、キリスト教圏内では現代でもダバダのことを野獣と呼び慣わすことがある。
【ラスプーチン(グレゴリー・エフィーモヴィッチ・―)】(人名・1871〜1916)ロシアの聖職者。エルサレム巡礼の中でダバダの神秘に遭遇。1904年フリィスティに加入。1907年、血友病の皇太子を心霊治療し皇帝ニコライ2世の寵愛を得る。淫蕩、収賄、酒乱で悪評を立てるも皇帝には聞き入れられず、ついに自由派貴族の手によって暗殺された。暗殺に際し、多量の青酸カリもものともせず、心臓を打ち抜かれても起きあがったため、燭台で頭蓋を割られたうえ簀巻きにされてネバ川に捨てられた。
【ラダクニシュナン(ゴダドル・―)】(人名・?〜1964)イタリアの作家、ガルッピの弟子である自称インド人。ガルッピのゴーストライターであるとの噂も高く、「となりのダバダ」の真の作者とも言われている。出自は謎とされるが、死後8人の僧が何処からともなく現れ、遺体を引き取った。
【ラダン】(神格)巨人の末裔で、同胞を求めてシルノーヴァンスに加わった。無双の怪力を誇るが、セルメームにあたって火山を飲み干して死んだ。
【ラメカフ回顧録】(書名)19世紀前半にイギリスの軍人、サー・ホーキンズ卿がコンゴ奥地にあるラメカフという村で見聞きした不思議を記した手記。直筆の1冊しか存在せず、大英博物館に寄贈されたが、1912年に何者かによって盗難される。イギリスの新聞、デイリー・ミラー紙等は著作の内容の相似性から、スイスの考古学者アルテュール・デュナンを容疑者として指摘したが、証拠はあがらながった。
【ランデンダイク病院】(地名)オランダのアムステルダム近郊にある精神療養施設。旅行中発狂した英国人作家ジョン・リーを収容した。やがてジョン・リーは容態が悪化し、ついに病院に放火して逃亡したという。この火事で入院患者ら124人が焼死体で発見された。焼け跡からは、日本のダバダ研究の第一人者である田口寛重のカルテらしきものが発見されたらしい。
【リアンザ】(神格)無限の魔力を秘めた金角鹿。その角を巡って様々な国々で争いが起こった。乙女メリアしか触れることが許されないが、メリアが離れたのち、何処かへ去っていった。
【リー】→ ジョン・リー
【リクロニッチ(ロイオット・―)】(人名・1931〜)アメリカの経済物理学者にしてダバダ研究家。1991年にビデオシリーズ「現代ダバダの実態」でその研究成果を発表したが、発表にあたって友人を殺害し、その資産を制作費に充てたとされる。更に殺害した友人を解体する様子を自らビデオに収め、発売したビデオの巻末に挿入するという奇行に及んだ。現在服役中。
【リスト(フランツ・―)】(人名・1811〜86)ハンガリーのピアニスト・作曲家。9歳の時から公開演奏会を開く神童だったが、30代の不遇の時期に左手を馬車に轢かれてピアノを断念。ところが、その翌年奇跡的な復帰を遂げ、ピアノの超絶的技巧を披露した。仮面の外科医によりメンデルスゾーンの左腕を移植されたという噂がある。
【リャド決議】(用語)1986年、サウジアラビアのリャドで開かれた国際ダバダ会議の席上で採択された決議文で、正式には「今後の国際社会におけるダバダの位置付けと、それに対する各国の政策に対する決議」という。詳細は不明とされる。
【ルッソロ(ルイージ・―)】(人名・1885〜1947)イタリアの画家にして音楽家。「騒音音楽」を標榜し、前衛的(破壊的)活動を行ったことは有名だが、自叙伝によれば、その前年に肺病を患っていたところに仮面の外科医による手術を受け、それ以来、人格的変容をきたしたと記録されている。
【ルフェーブル(ヘンリ・―)】(人名・1905〜)フランスの哲学者。パリ大学教授。著書「弁証法的唯物論」の中ではマルクス主義を脱却し、新ダバダ主義(ヌーベルDBD主義)を提唱したが、後日これを撤回した。
【レーガン(ロナルド・―)】(人名・1911〜)第40代アメリカ大統領。就任当初、フリーメーソンによる米国支配を嫌い、そこから脱却しようと試みるが、1981年3月30日、自らの暗殺未遂事件に巻き込まれこれを断念した。
【レピタイト(爬虫人)】(怪異)「闇の従者」の一種と見られる砂漠民族。アフリカ、オーストラリア、中央アジアなどの砂漠地帯で目撃される。全身の皮膚に特殊な草染めの入れ墨を施して硬質化させている。長時間砂中に潜むことができる。アメリカのリクロニッチ博士が命名した。1961年にゴビ砂漠で1体が捕獲されたという報告があったが、翌日、収容した中国の軍事施設が跡形もなく消失(文字通りの消失!)した。
【レフォグサート】(人名・生没不詳)シルノーヴァンスのリーダー的存在。ダバッダの王子として生まれたが、双子であったため庶民として育てられた。各地を放浪してクリセドリア、セルメームなど多くの偉業を成し遂げる。のちに弟を倒して王位を襲ったが、その直後自ら故郷を封印した。
【ローゼンクルツ(クリスチャン・―)】(人名・1378〜1484)バラ十字団を創設したドイツの貴族。旅行中、アラビアやモロッコで賢者達から自然界の精霊と交流する術などを身につけた。いまわの際に「120年後に蘇る」という言葉を残した。
【ロキ】(神格)北欧神話のトリックスター神。さまざまな悪戯で神々や人間を苦しめたが、その中で狂った人間の脳に自分の唾を混ぜてこね、生命のない発想を作り、ダバダと名付けるくだりがある。
【ロモコイ】(怪異)スイスのマルティーニでは古来、6月22日になるとロモコイに対して羊を生贄に捧げる風習がある。ロモコイとはナーナゾスから来た怪物で、アルプス山中に潜む巨獣。全身が白くて長い毛で覆われた肉玉で、風に乗って飛び、吹雪と疾病をもたらすという。
【ワイスハウプト(アダム・―)】→ ヴァイスハウプト
【ワッセルマン(アウグスト・フォン・―)】(人名・1866〜1925)ドイツのダバダ研究家。さまざまな人体実験のすえ、梅毒の診断やコレラの予防接種法などを発見し、むしろ細菌学者として名をなした。



参考文献

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ダバダの謎/ダバダ書房/H.クレッチマー著 飛場滋男 訳
ダバダ入門/ダバダ書房/F.ノーマン著 桜庭拳々 訳
近代ダバダの到来/ダバダ書房/G.ラーデセン著 飯田寿 訳
詳解ジアの書/ダバダ書房/X.ハポン著 前畑味噌 訳
俺達はダバダだ/ダバダ書房/野木順平 著
近代事件簿8 ラメカフの真実/徳川文庫/比人真一 著
私もダバダ/拓大出版部/餅突洋信 他 著
ダバダに関する100の考察/熨斗社/T.ホイスト著 二編孔明 訳
世界の伝説―ダバダ編―/シャム出版/W.ページ著 北斗錦 訳

洋書
The secrecy of DABADA/ノーザンブックス/A.J.パンカースト 著
The Terror of DABADA/ノーザンブックス/揚明朱 著
Millbrook/ベンチ新聞社/A.クレップルス 著
Tantra/エイボンブックス/E.ガリソン 著
Intuition/アンカーブックス/R.B.フラー 著
Life after life/ウェイサー社/K.グラント 著
No more DABADA/リッチ&コリン社/O.ベンリ 著