ディプロ・タイタン新聞 AC401年 氷の月(12月)下旬 通巻0034号
新聞 NO.34
|
命令内容(赤字は不履行)(青字は消滅)
ケリスリオン軍
王軍 ゾルダンの塔 移動 ダークウッドの森
陸軍 月岩山地 移動 ヤズトロモの塔
陸軍 ポートブラックサンド 援護 陸軍 異教平原 移動 ナマズ川
陸軍 カアド 援護 海軍 西の海(北部) 援護 陸軍 ポートブラックサンド 援護 陸軍 異教平原 移動 ナマズ川
陸軍 ストーンブリッジ 援護 王軍 ゾルダンの塔 移動 ダークウッドの森
陸軍 火吹山 移動 月岩山地
海軍 西の海(北部) 援護 陸軍 ポートブラックサンド 援護 陸軍 異教平原 移動 ナマズ川
陸軍 マイアウォーター 援護 陸軍 異教平原 移動 ナマズ川
陸軍 異教平原 移動 ナマズ川
マルボルダス軍
王軍 火山島 移動 西の海(北部)
海軍 西の海(南部) 援護 陸軍 ナマズ川 移動 オイスターベイ
陸軍 ナマズ川 移動 オイスターベイ
バルサス軍
陸軍 チャリス 移動 クモの森
陸軍 ヨーレの森 移動 逆風平原
陸軍 ダークウッドの森 待機
陸軍 シャザール 待機
王軍 シルバートン 待機
陸軍 南部平原 待機
陸軍 ギザ岩山 待機 |
闇の世紀の幕開け(The Opening of the Dark Century)
ついに、《闇の祖》ヴィライデル・ケリスリオン王は、ダークウッドの森の地下都市ティランデュイル・ケルサスに帰還した。闇エルフの聖域を汚したバルサス軍の混沌の下僕たちは、その罪により一匹残らず虐殺され、死体は魔術の炎によって浄化された。宮殿に棲みついていたガンジーは、アル・アンワール・ゲリサンの加護を受けたメネル皇子の手で熟れた檸檬のごとく握り潰され、その呪われた魂を飲み干された。
《永遠の技師》ガロク・ヴァロクロクセンロクの狂気の発明、恐るべき《ジアルガノート》はさらなる改造を受け、異教平原にて新造された機動城塞《アーハロゲンフォート》とともにナマズ川領域に進撃した。マルボルダス配下の蛇人カアスの軍は熱狂的法悦に襲われ、次々と自ら《ジアルガノート》の進路に身を投げ出し、恍惚のうちに葡萄の粒のごとく踏み潰されていった。
この邪悪と混沌の時代に善の勢力の灯明を唯一もたらしていたヤズトロモの塔も、闇エルフの手に落ちてしまった。からくも逃げ出したヤズトロモの姿が目撃されているが、その腕には美しいエルフの幼子が抱かれており、その産着からは神々しい光がもれていたという。
ケリスリオン王はエイユー・リンデール・ケリスリオンの露台より闇エルフの民に語りかけ、アランシアの覇者となったことを宣言した。これが後に「闇の世紀の幕開け」と歴史書に記録される演説である。
王は最後に《失われた苦悶の櫃》ミュアリエル・シャーレンを掲げ、驚くべきことに魔王子マイユールへの讃歌を高らかに謳いあげた。魔王子の名に不吉さを感じ取った一部の民はざわめいたが、闇の淵から心を覗かれているような感覚に襲われ、すぐに静まった。《闇の祖》のうしろでは、あの奇怪な人オークの道化モモスがおぞましい笑みを浮かべていた。
魔櫃の力はいよいよ本格的に解放され、闇エルフの支配する北部だけでなく、南部までもが暗雲に覆われ、アランシアは闇に包まれていった。《ブレシンの破滅》、すなわち太陽はその存在を忘れられ、蒼白きティリエルが世界の《静かなる守護者》となる時代が始まったのである。
裏切者の黒エルフ、ミスレグ・グレイソーンは王の前から姿を消し、独りクモの森を旅していた。陽気に口笛など吹いてみたりもする。彼は、弟子として仕えていたこともある老魔術師に、ひそかに命を助けておいた《希望の光》を預けたことで、またひとつ使命を果たし終えたところなのだ。邪悪と混沌の勢力が相争う時代は終わった。大いなる闇がアランシアを支配したのだ。そして、その闇に対抗できる光の胤は、善に仕える老人の手でこれから育てられることになっている。闇の世紀が少しばかり続いたところで、この世が滅びるわけでもない。いずれは平衡を取り戻す、それが定めというものだ。
森の小径を辿っていくミスレグは、その姿をみるみるうちに変えていく。黒エルフの着るみすぼらしい服は、すべすべした奇妙なデザインのローブとなっていた。その何ともおかしな顔をした男は鼻歌を口ずさみはじめた。
目の前に 正々堂々立っている
見抜かれてしまえば どろんと消えている
一言で打ち負かされるが 王様も わたしにゃ頭を悩ませる
リズムよく ちょいと謳って おしまいは シャレた言葉で飾ってみせる
わたしはいったい誰でしょう
クモの森から、豆型の巨大な飛行船が浮上した。
いまや呪われて暗くなった陰鬱な空へと昇っていく。
《策略の神》ロガーンに仕える従者の嗤いが谺した。
――《闇の祖》年代記より、魔界の書記官セプタングエース
|
|
|
|
|