怪しい日記 西暦2005年2月
 
2月26日
 風邪を引きました。
 しかしバイク便の仕事が入っているのでヘロヘロになりながら出勤。
 激しい頭痛に耐えつつなんとか仕事を終わらせ、息抜きしようと本屋によってみたら……
 佐藤大輔「皇国の守護者」の新刊がでてるー!
 飯くいながら読んでたら頭痛が消えました。
 冒頭の大殺戮シーンで治ってしまう私の頭痛。変なの。
 
 さて、「だめてん」の更新をつづけてます。
 バナーつくっていただきました。水輝さん、ありがとう。
 だめてんバナー
2月21日
 今日はバイク便の仕事で山梨県までいきました。
 いやあ、中央道は高いところを走っているので寒くてかなわないです。
 3年前の3月に仕事で長野にいったんですよ。
 しばらく暖かかったので防寒を怠っていたんです。ズボン下とかはいてなかった気が。
 ところが中央道走ると寒くて寒くて。
 諏訪湖のあたりなんて標高800メートルくらいありますからね。単純計算で東京より5度寒い。
 しまいには雪までふってきちゃいまして。
 「長野県のバカヤロー、田中康夫のバカヤロー、っていうか自分がバカヤロー!」
 などと叫びたい気分でした。あの失敗は忘れられません。
 
 さて、新作「だめてん」を連載開始します。
 今日は原稿用紙10枚くらい。
2月20日
 私はかつて、貴子潤一郎「12月のベロニカ」の××トリックがぜんぜん分かりませんでした。
 たいがいの読者は途中で、「ああ、アレだな」と気づいたらしいんですが。
 私は、明かされてはじめて「そ、そうだったのかー!」と仰天しました。
 するとみんなに言われました。
 「……増田さん、ふだんどんな本読んでるの?
 「誰にも言わないほうがいいよ、恥ずかしいから」
 「増田さん、本読もうよ、絶対やばいって
 くやしかったので、ミステリを読みまくりました。
 私は生まれ変わった! どんなトリックでもチョチョイと推測するぜ!
 そして今日、田代裕彦「キリサキ」(富士見ミステリ文庫)を読みました。
 ……。
 やばい。
 最後のところで、なにがどうなってるのか全然わからなかった。
 どうしよう全然成長してないよ……
 
 新作なんですが、ネット公開のやり方をちょっと変えてみる事にします。
 いままでは全部まとめて、あるいはひとつの章くらいまとめてアップしていましたが、今回は毎日少しずつ、書いたぶんだけ載せます。
 すごい変なところで途切れることもあるかもしれません。
 もちろんすでに書いた文の文章が書き直されることもあります。
 ネットで公開するにはたぶんそっちのほうが向いている、スピードを生かさずに何がネットか、ということで。
 さっそく明日からはじめます。
 タイトルは「だめてん」。
2月17日
 水道を止められました。
 ……水道料金を払い忘れていたそうです。
 こまった。これでは便所が流せない。
 仕方ないので用を足したくなったら駅前のコンビニまで歩いていくことにしました。
 これで解決。(えー!?)

 スーパーダッシュ文庫編集部へ持ち込みにいってきました。
 思い立ったのが2月5日、さいわい土日が使えたのでいくつかあるネタのうちひとつをふくらませ、
 簡略シノプシス(800字程度)
 人物紹介
 全7話のストーリーダイジェスト(原稿用紙50枚くらい。ギャグの面白さを伝えるために会話シーンをたくさん書いてあるので「プロット」とはちょっと違います。)
 を作っていざ出撃。

 「慎一はちょっとオタクなヘタレ少年。
 好きなあの子になかなか告白できない。
 やっと勇気をだして思いを告げようとしたら車にひかれてあの世行き。
 眼を覚ましたらそこは天国。
 こんなのいやだー! ぼくは生き返って告白するんだー! 
 『生き返りたいって? じゃあきみ天使やってみる? 見習い天使。不幸な人間を100人助けたら生き返らせてあげるよ』
 こうしてヘタレ主人公は見習い天使となって、ダメ人間を助けてまわることに。
 彼の助けるべきダメ人間たちは、いじめられっこの小学生、挫折しそうな作家志望者、もてない男、オタクになりたいお嬢様……
 彼をきびしく指導するのは先輩天使・軍人系ツッコミ女ミレイエル。愛称ミレイ。
 ミレイ『なに簡単だ、ダメ人間の背中を押せばいいんだ』
 慎一『ぼく自身がダメ人間なのにー!』
 はたして彼は無事に生き返れるのか!?」
 みたいな感じの話です。

 ついたてで仕切られた中で若い眼鏡の編集さん(残念ながら男性です)と対面。
 40分ほどお話しました。

 編集者「増田さんね。どんな活動をされてるんですか?」
 増田「おもにネットで小説を発表してます。あとは新人賞にも送ってます。電撃の2次選考を通るところまでは行ってます。あとはプリンセスソフトというゲーム会社のサイトでショートストーリーを書きました」
 編集者「電撃の2次? それはすごい」

 プリンセスソフトはあっさりスルー。ひどいよ。

 増田「これを見ていただきたいのですが」
 編集者「なるほど天使ね……最近天使ってやけに多いよね」

 またドクロちゃんとか言われるんですか!? 

 増田「とくに増えてますか?」
 編集者「うん。この作品は天使が出てくるほかの作品とくらべてどういうところが売りなの?」
 増田「まず、短編連作の形をとってるんです。テンポを早くして会話主体でギャグをあちこちに入れます。
 それから主人公のところに天使がくるんじゃなくて主人公のダメ少年が天使やらなきゃいけない、助ける相手よりダメな奴なのに頑張らなきゃいけない、当然うまくいかなく右往左往、そこにすかさず入る軍人天使ミレイエルのツッコミ、という面白さがあります」
 編集者「うーん、悪くないね。これは基本的に少年の成長の話なのかな? プロット読むと」
 増田「そうですね。ヘタレだった少年がいろいろがんばってるうちに意志力を身につけて、起承転結の転の部分で一度逃げ出すんだけどやる気を奮い起こして再起、どっかーんと解決して、いままでよりちょっぴり立派になりました!」
 編集者「すごくよくある話だね。この世で3番目くらいによくある話だ。いや、話のパターンなんてのはうまい人でもそうそうは思いつかないんだからよくある話なのはいいんだ。
 話のパターン以外にプラスアルファの部分があれば問題ないんだよ。で、ギャグなんだけど基本的にノリツッコミの連続なんだよね、これ読むと。
 ぼく的にはどこが面白いのかわからないけど、ギャグってのは感性の合う合わないだから笑う人もいるかもしれない。
 でもギャグの面白さだけで引っ張るのは外した時のリスクが大きすぎるんだ。これを一番書きたいというのは伝わってくるんだけど」
 
 なんか誤解があるようです。「書きたい」という気持ちが伝わったのはうれしいんですが。
 
 増田「いえ、一番書きたいわけじゃないんです。ギャグ書いてみたら比較的評判がいいので、うまくいった理由を検証するためにまた書いてみようという感じです。
 私が好きなものを全開にすると宇宙艦隊とドイツ軍が(中略)そこで兵器少女が人間の心を手に入れて(中略)あと眼鏡っ娘。軍隊はドイツ軍」
 編集者「それだよ。好きなもの書こうよ。『これが好きだ』っていう熱い部分は読者に伝わるんだよ。
 『こういうのが受けるんだな?』って計算で書いたのは『わるくないけど、うーん』で終わりだよ。
 増田さんが好きなものを書いてうまくいかないのは単に伝え方が悪いからであって、道はそこにしかないんだ

 よく耳にする創作論です。リビドー主義とでもいいましょうか。
 
 増田「なるほど。好きなものは入れてみました。今回はツッコミ役のミレイが軍人みたいな奴なので」
 編集者「うーん。まあそれは好きなものだから面白さが出るかもしれないね。でもこのプロットを読んでるとストーリーそのものは紙芝居的だね。もう少しギャグ以外の面白さが欲しい。ところで7話もあるってどういうこと?」
 増田「1話あたり4、50枚で計算してます。過去に書いたギャグ作品が1話あたり4、50枚だったからです」
 編集者「それじゃ小話だよ! それだけの長さで毎回ゲストキャラだしてギャグ入れて起承転結いれるのはよほどの腕が必要だよ。
 もっと話数を減らしてキャラを掘り下げてみようよ。たとえばミレイだけど、なんで彼女は軍人軍人してるのか、なんで降格されたのか、などの過去をエピソードとして入れてみる。
 そして人間的に弱い部分を入れて、(中略)主人公との関係をこんなふうに……(中略)」
 増田「なるほど」
 編集者「『ゼロの使い魔』みたいな感じで
 増田「い、犬はワンですか!?」

 具体的な作品名、それも他社の作品を出してくるとは思いませんでした。カッコイイ編集さん!

 編集者「とにかく言えることは、7話は多すぎる。4話くらいにしてそのぶんキャラとドラマをもっと掘り下げるのがいい。
 あとミレイをとにかく魅力的に。この話はミレイの話だから。ミレイをどれだけ魅力的に描けるかってのがキモだから」
 増田「わかりました。その線で練り直してみます。
 あとお尋ねしたいことがあるんですが……主人公がオタクだったりすると、会話の中にガンダムがどうしたとかジョジョがどうしたとか作品の実名を出したり、台詞を引用したり、そういう表現が必要になると思うんですよ。パロディとか。
 これって著作権上問題あるんでしょうか?」
 編集者「いや、ぜんぜん問題ないと思うよ。まずそれで訴えられることはない。どうしてもまずいならガ○ダムにすればいい」
 増田「わかりました。今日はありがとうございました」
 編集者「がんばってください。いいと思いますよ。この話」

 こんな感じでした。
 神保町みやげに早売りの電撃hpをゲット。
 お、電撃hp短編賞の最終選考に「メガネ」が残ってる!
 このタイトルで出した作者の人は神。ぜひ賞をとって欲しい。
 スーパーダッシュの新人賞にも「Glasses×Grasses」という作品が応募されていたようですが、残念ながら最終選考のひとつ手前で落ちてしまいました。
 遠い場所で戦っているメガネの同志たち。がんばれ。
2月14日
 うーん、「ちゆ12歳」が復活しました。これはもう復活でしょう。
 半分死んだような状態が何年も続いたのに、更新ペースが戻っただけで4万hit/日になるとは。たいしたもんです。
 ちゆ12歳によって一番恩恵を受けたものは何かというと、やっぱりガオレンジャーですよね。
 単体で見ると「ただの作りが粗い戦隊物」だけど、ちゆのツッコミを読みながら見ると、まさに抱腹絶倒。100倍楽しい。
 ガオレンジャーは4年も前の作品なんだなあ。エヴァにいたってはもう10年前。つい最近のアニメだと思っていたリヴァイアスが6年前。
 新番組がはじまるたびに「私は年寄りになった」と痛感させられます。 
 
 今日はバレンタインデー。
 今年の成果はチョコ2個。
 私にとってはとても貴重なものなので拝んでから食べました。
 
 某「はい、これ義理チョコ」
 増田「うおおおおお! これもらっていいの!? 冗談とかネタとかドッキリカメラとかじゃなくて!? たべてもいいの!? 本当にぼくなんかが!? あとで取り消しても駄目だからね!?」
 某「どうぞ」
 増田「ばんざーい! お父さんお母さん、増田淳はやりました!
 某「……ごめんなさい」
 増田「え? なんで謝るの」
 某「なんていうか……増田さんの人生に対して……
 
 小説の話。  近いうちにWEB掲載をまたやると思います。
 雰囲気的には「天才! 松戸才子まーち」と似てる話です。
 あれの評判が比較的よかった理由を考えてるうちに話がうかんだんですよ。
2月7日
 ごめんなさい。どうしても秋森淳というペンネームになじめないので本名の増田淳にもどります。
 混乱させてすいません。

 こないだ新宿の喫茶店で6時間ほど説教されました。
 脚色するとこんな感じ。

 某「次はどんなの書くの?」
 増田「それはですね! 主人公が未来にタイムスリップしたらそこには美少女ロボット帝国があって! そして主人公は眼鏡の科学者ロボットにつかまって研究対象になるのですが、やがて愛が芽生えて(中略)そこで教会軍の執行部隊が(中略)ボクっ娘とクール系の美少女軍人姉妹が(中略)世界創生の秘密が(中略)タイムパラドックスの(中略)主人公の魂の成長が(以下えんえんと続く)」
 某「すっげー。熱いー。 冲方丁かと思ったー。増田先生さいこー。(棒読み)」
 増田「いや、思わないでくださいよ」
 某「うわ! にやついてるよ! 真に受けてるよこの人! すっげー脳内大物! でたよ増田マジック!」
 増田「……」
 
 某「読者楽しませる計算が嫌だったら、純文学行けば? 純文は読者とか考えなくていいよー。自我が強くて陶酔するひとにピッタリだよー。芥川賞狙おうよー。『増田が芥川賞!』てなことになったら地球がひっくり返ったような大騒ぎになるよ!」
 増田「ポールシフトですか(笑)」
 某「そう。人力ポールシフト。ゆけゆけ芥川賞。もう心の中の怨念をぶちまける感じで。世界の中心で吐くほど憎い! みたいな」
 増田「なにいってんのかよくわかりません」
 某「あとネタ的に何を書かせるのが面白いかなー」
 増田「ネタですか!」
 某「ネタですよ人生は。とくにあなたの人生は
 増田「つうかとれんでしょう文学の賞なんて」
 某「いや、明日地球が爆発する確率よりは高い」
 増田「なんですかその励まし方」
 某「まあライトノベルの定義だってあいまいだし何が文学なのかもよくわかんねーけど」
 増田「読者層が違うのでは。読者にはサラリーマンとおばさんとオタクがいるわけで」
 某「三種類しかないのかよ! 増田先生には世界はそう見えてるんだ! 小説の冒頭に『この世にはサラリーマンとおばさんとオタクしかいない』って書いてあったら俺買うよ。なにこの感性! なに間違ったこと堂々と書いてんの! 芸術だ!」

 某「ところで、きみにとってライトノベルって何?」
 増田「私の定義でいいんですか? 同意は得られなくていい? それなら簡単です。SFがパワーアップしたものがライトノベルです。私はSFが好きなんですが、ちなみにこの場合SFとは私の魂の故郷である緑色のソノラマ文庫のことなんですが、『私にとって面白いSF』をどんどん追求すると、それは世間で言われるところのライトノベルになります。ライトノベルとはSFが進化してもっと面白くなったものです。おわり」
 某「……そんな変な定義はじめてきいた……つうかSFファン大激怒? おもしれー。じゃあ銀河帝国の興亡が進化するとブギーポップになると?」
 増田「なりません!(笑)」

 説教ではなく「いじられてた」って感じかも。
2月5日
 企画2本を送った後、新宿で飲み会。
 飲み会の後、喫茶店AYAで徹夜のトーク。
 ひとかけらの勇気を与えられました。
 「SFの向こう側にあるのがライトノベルなんですよ!」
 とか口走ったような気が。
 いや本音ですよ。自然に口から出た言葉です。
 
 ペンネームを「秋森淳(あきもりじゅん)」に変えることにします。
 「増田って名前モノカキに見えねー」「増の一文字がやべー」「増田って八百屋みたい」「天ぷらソバいっちょー」
 ううんそうかも。今ならまだ変えられる! って感じです。
 
 あと、いろいろ思いついたので次のスーパーダッシュ持ち込みに挑戦してみようと思います。
 2月17日か。
2月1日
 デジカメとPDAをなくしました。
 買ってから一月たってないのに。
 もう、自分が情けなくてしかたないです。
 呪われてんのかって感じです。


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