旧ソ連/ロシヤの宇宙開発関連の記録 映像を 扱っているVideo Cosmos社より、旧ソ連/ロシヤのロケットの映像を収録したビデオ「STARTS OF RUSSIAN LAUNCH VEHICLES」が発売されており、このビデオにはN1の打上映像も収録されています。
このたびこのビデオを入手しましたので、紹介したいと思います。
・パッケージ
パッケージはこんな感じです。 かなりチープです。 |
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中身。 これまたチープな作りです。 開けた直後に驚いた事が一つ。なんと爪がついたままでした。すぐに折ったのは言うまでもありません。 ラベルは汎用ラベルにインクジェットプリンタで印字しただけ。よく見ると使用したプリンタのノズルが目詰まりを起こしているらしく、一部ライン抜けがあります。 |
・収録内容
時間は約35分。簡単なオープニングとエンディングがあるだけで、後はすべてロケットの打上とその準備の映像ばかりです。
ロケットの種類毎に簡単な説明の字幕(英文)が入りますが、ナレーションは一切ありません。搬送中など打上準備の映像にはBGM(すべて同じ音楽です)が使用されますが、打上その物の映像にはBGMは入らず、実際の打上時の音が収録されています。
収録されているロケットは、収録順に次の通りです。
・R7系(スプートニク、ウォストーク、ウォスホート、モルニヤ、ソユース、
プログレス、ソユースST)・プロトン
・N1
・エネルギヤ/ブラン
・コスモス
・サイクロン
・ゼニット
・スタート
旧ソ連/ロシヤの宇宙開発に使用された、ほとんどの打ち上げロケットが収録されていますが、
ロコットとアンガラは未収録です。
残念ながらLKやLOKの試験機の打上映像は収録されていません。
TV等で紹介される'60年代頃までの記録フィルムにはよく白黒の物が使用されますが、このビデオに収録されているのはすべてカラーです。古くはスプートニクからISSコアモジュール等最近の打上まで、収録されている映像には45年近い幅があり、残っているフィルムの質もまたかなりの幅があります。当然古い物ほど退色が進んでいたり表面の傷も多く、最近の物(特にソ連崩壊以後)の物は見違えるほど鮮明です。
続いて当HPの趣旨に則り、肝心のN1について、画面のキャプチャ映像を交えて紹介します。
著作権とHP容量の問題もあるので、静止画のみ、サイズも小さめにしました。
組立棟より搬出されるN1。幅約20mの2組の線路を跨ぐ巨大な搬送車台が使用されます。 フィルムの退色がかなり進んでいるらしく、色がかなり薄くなっています。 |
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カメラは2組の線路の間より、迫ってくるN1を下から捉えます。 この後 搬送車台はカメラの上を通過し、真下より輸送中のN1を下から捕らえた映像に続きます。 意外に凝ったアングルの絵も多く、それだけ周囲の期待も強かったのでしょうか? この機体は5Lの様ですから、その期待も大きく裏切られる事になるのですが・・・。 どちらにせよ、後の日陰者扱いからは想像できない映像が残されていたものです。 |
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一見こちらに向かってきそうな雰囲気ですが、実際は逆に遠ざかっていく所です。 発車台に据える為、地上では底面が進行方向に向けられます。 |
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据え付けられようとしているN1を発射台の底から捉えた映像。 発射台の裏側を見る事ができる映像です。 妙な遊び心があるというか、単なる記録フィルムとは思えない構図です。 |
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発射台の一部です。 機体を発射台に固定する為の装置と思われます。 外周のエンジンの内側の部分がこれと噛み合うようです。 |
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搬送車台から起こされ、発射台に据えられるN1。 | |
発射台に据えられる直前です。 エンジンの周辺のディテールがよく分かります。 搬送〜発射への据え付けは5Lと思われる機体の映像ですが、史上最大規模の失敗となった5Lの打上映像は残念ながら収録されていません。 |
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打上映像は7Lのものだけですが、複数のカメラから捉えられた物が収録されています。 さすがに離床推力の世界記録保持機体だけあってエネルギヤをもしのぐ迫力です。 |
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こちらは別のカメラからの映像です。フィルム表面の傷がかなり激しいようです。 他にも、打上の瞬間をもっと近くから捉えた映像、打上支援塔に据えられたカメラから捉えた物などがありますが、爆発する場面までは収録されていません。
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その他のロケットの映像もほぼ同じような構成ですが、発射台への搬送の映像が無い物もあります。
・総評
35分という時間に無理やり詰め込んだ感もあり、もう少しじっくり見たいという気もしますが、収録されている映像、特にN1に関する物はこれまでTVで放送された物とはまた別の物であり、何よりカラーである事、これまであまり見る事のできなかった発射台の細部が分かるものも多く、内容については満足のいく物でした。また、虚飾を廃した構成も私にとって好感が持てる物でした。
画質については、元のフィルムの状態に左右される部分もありますが、お世辞にも良いとは言えません。あまり良い機材を使っていないのでしょうか。ただ、送料込みで$22という価格や他に代わりになる物が無い事を考えると、やむを得ない所でしょうか。
一部字幕が邪魔に感じる所もあり、画質の点からもそろそろVTRではなくDVDになってくれればとも思います。
欲を言えば、N1の記録フィルムだけを集めてこのくらいの長さのビデオにしてくれれば・・・。機種ごとのシリーズにしても買う人は買うのではないでしょうか?
・購入について
ここまで読まれて、このビデオに興味を持たれた方もおられると思います。
購入するには、Video CosmosのHPのSPACE STOREより注文のメールを送信すると、代金を銀行口座へ振り込むか、小切手を郵送するようにといった内容のメールが届きます。当然の事ながらメールのやり取りは英文でやる必要があります。
私の場合は料金の支払いには郵便局の海外送金サービス(口座あて送金)を使用しました。
料金は送料込みで$22、送金手数料(\700)を含めると、為替にもよりますが\3,000程度掛かると思います。
商品が届くまでは少々時間が掛かり、届いたのは送金手続きから17日後でした。その間入金の確認のメールも届かず、少々不安になりました。電信払い込みにすればもっと早かったのでしょうが、その為には\1,000余分に郵便局に払う必要があります。
カード決済が使えれば手続きがかなり楽になるのですが・・・。
なお、Video CosmosのHPでは、このビデオの収録映像の一部をサンプルとして公開しています。ただし、見る事ができるのはWindowsに限られるようです。