3  TEXT  BY  ぴかちゅう樣
    その次の日は、その前の日よりも、もっとずっとあたたかな日になりました。
どこからか、気持ちよさそうな、小鳥の歌声も、聞こえてきます。
  森をさんぽする、うさぎさんの足どりも、ずっとかるくなりました。
  きのうの小川をすぎて、どんどんいくと、今度は小さな丘に出ました。
  丘の上は、森の中よりも、ずっとたくさん、お陽さまの光があたります。
  そのあたたかい陽のおかげで、森の中よりも、うんと早く春の色に変わっていました。
「すごいや。ここはもう、ぜーんぶ春なんだ。」
  一面、緑の草でいっぱいです。風がふくと、春色のじゅうたんは、いっせいに、そよそよとゆれました。
  うさぎさんは、すっかりうれしくなって、丘の上をはねまわりました。
  そのうちに、うさぎさんは、丘に広がる、春の色が、緑色のものばっかりじゃないことに、気がつきました。
そうして、とってもすてきなことを、思いつきました。
「今度こそ、りすさんも、目をさますぞ。」
  りすさんのおどろく顔を思いうかべて、うさぎさんは、くすくすっと笑いました。
  それからしばらくして、うさぎさんは、りすさんの家の前にやってきました。一度、深呼吸をすると、
うさぎさんは、ドアをノックしました。

   とんとんとん  春ですよ

  あいかわらず、とびらの向こうは、しんとしています。

   とんとんとん  春ですよ
   丘はすっかり  春の色

  しばらくすると、ゆっくりととびらがひらき、まだ半分ねむっているような、りすさんが顔を出しました。

    いえいえ今も  冬の色
    ほんとの春は  まだまだ まだまだ

  またまた、とびらをしめてしまいそうな、りすさんの手を、うさぎさんは、そっと止めました。
  そうして、りすさんの首に、手にもっていたものを、ふわりとかけました。
「はい、りすさんに、春のプレゼントだよ。」
  それは、春色の首かざりでした。あたたかい春の光をいっぱいあびた、たんぽぽの花の、
首かざりだったんです。
  次に、うさぎさんが大きく手をふると、それをあいずに、たくさんのもんしろちょうが、
りすさんのまわりに、まいおりてきたんです。
  まっ白なはねと、黄色の花びらに、陽が当たってあたりは、ぱっと明るくなりました。
「おはよう、りすさん。」
「おはよう。おねぼうのりすさんを、起こしにきたよ。」
  ひらひらと、ちょうちょうたちは、春のダンズをおどりました。
ちょうちょうといっしょに、うさぎさんも、ぴょんぴょんと、春のダンスをおどりました。
「おはよう、りすさん。もう春だよ。」
  それを見る、りすさんの目が、だんだんかがやきはじめました。
  ようやく、りすさんも春がきたことに気がつきました。
  りすさんは、うさぎさんの方を向くと、はずかしそうにいいました。
「おはよう、うさぎさん。本当に春がきたんだね。」
「そうだよ。森の中だって、すぐに春満開だよ。」
  うさぎさんは、満足いっぱいにうなずきました。
「丘の上には、もう、れんげや菜の花も、いっぱいさいてるよ。今から見にいこうよ。」
  うさぎさんがいうと、
「うん。いこう。」
  りすさんも、元気よくうなずきました。
「みんなにも、春がきたよって、教えてあげようよ。」

  おはよう    みなさん春ですよ
  まいにち    ステキが生まれてる
  楽しい春が  やってきた

  春風が、ふたりの間を、ふわりと通りすぎました。
  うさぎさんとりすさんは、手をつなぐと、春の丘へと、仲良くならんで、かけだしていきました。

                                      おしまい


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