「ゆきうさぎ」
 

  ある冬の朝、まーくんが目をさますと、お庭は雪でまっ白になっていました。
「わあ、すごいや。」
  まーくんは、いそいでくつをはくと、お庭にとびだしました。

  きゅ  きゅ

  まーくんがあるくたびに、雪はふしぎな音をたてます。
まーくんは、くすくすわらいながら、雪をふみしめました。
  今日はようちえんはお休みです。でも、こんなにいっぱい、雪がつもったんですもの。
まーくんは、だれかといっしょにあそびたくて、たまらなくなりました。
 
  きゅ きゅ

  どこかで、雪をふむ小さな音がしました。
「だれかいるのかな?」
  まーくんは、きょろきょろと、あたりをみわたしました。
  でも、まっ白な雪のお庭には、まーくんのほかには、
だあれも見えません。
  まーくんは、首をかしげました。

  きゅ きゅ

  また音がしました。
  まーくんは、もう一度、あたりをみわたしました。そして
今度は、にっこりと笑いました。
「うさぎさんだ。」
  そう。お庭にある、まーくんの背とおなじくらいの高さの木のねもとに、
雪のようにまっ白な、小さなうさぎがいたんです。
  うさぎは、その木になっている赤い実を、のびあがるようにして、ながめていました。
うさぎが足をふんばるたびに、
雪がきゅ、きゅと小さな音をたてました。
「こんにちは、うさぎさん。」
  まーくんの声に、うさぎも白い耳をぴんとたてて、いいました。
「やあ、こんにちは。いい雪の日だねえ。」
「ねえ、うさぎさん。何をしているの?」
  まーくんがきくと、うさぎは、木になっている赤い実をゆびさしました。
「あの赤い実を見ていたんだ。あの実だったら、
きっとりっぱな雪ウサギの目になるだろうなあって思ったんだ。」
「雪ウサギ?」
「そうだよ。」
  うさぎはうなずきました。
「ねえ、よかったら、あのステキな赤い実を二つ、ぼくにくれないかな?
こんないい雪の日なんだもの。ぼく、雪うさぎをつくりたくなっちゃったんだ。」
「うん、いいよ。」
「わあ、ありがとう。」
  まーくんのへんじに、うさぎはうれしそうに、ぴょんぴょんとはねました。
「ぼくも雪だるまをつくろうかなあ。」
「うん。いっしょにつくろうよ。」
  まーくんがいうと、うさぎはますますうれしそうに、とびはねました。

  きゅ きゅ

  うさぎの足もとで、また雪が音をたてました。
 
    こんもり雪山  ぽんぽんぽん
    うさぎのせなかを  ぽんぽんぽん
    白いおみみも   くっつけぽんぽん
    赤い実つけたら  ほら雪ウサギ

    小さな雪だま  ころころころ
    雪のじめんで  ころころころ
    すぐに大だま  ごろごろごろ
    それをかさねて  ほら雪だるま

  口から、ほっほっと白いいきをはきながら、まーくんは大きな雪のたまをころがしました。
  お外はとてもさむいのに、まーくんのほっぺたは、なんだかほかほかしています。
  よいしょとかけごえをかけて、大きな雪のたまを、二つかさねました。
そうして、赤い実のかわりに、庭にあった丸い黒い石で、目をつけました。
「できた。」
  よこをみると、うさぎが赤い実で、雪ウサギの目をつけているところでした。
まっ白な雪の上にのせた、二つの赤い実は、本当にうさぎそっくりです。
  まーくんは、ちょっぴりうらやましいな、と思いました、
「あ、そうだ。」
  まーくんは、ぽんと手をたたくと、いそいでおうちに入りました。
  とってもすてきなことを、思いついたんです。
  そうして、またお庭にもどってくると、だいどころから持ってきたものを二つ、
雪だるまの顔に、きゅきゅとつけたしました。
  それを見て、うさぎがいいました。
「わあ、赤いほっぺただ。まーくん雪だるまだ。」
  まーくんが持ってきたのは、赤くて大きな二つのりんごでした。
  まっ白な雪だるまのほおは、その赤いりんごの実で、
まーくんのまっかなほっぺたに、そっくりになったんです。
「赤い実、いっしょだね。」
「うん、おそろいだね。」
  まーくんとうさぎは、顔を見合わせると、にっこりとわらいました。
「ねえ、こんどはソリあそびをしようよ。」
「うん、どっちがはやいか、きょうそうしよう。」

  きゅきゅ  きゅきゅ

  ふたりの足もとで、雪が楽しそうに、音をたてました。
  ふたりの雪あそびは、まだまだ続きそうです。
  お庭では、雪ウサギと雪だるまが、仲良くならんで、
ふたりをみまもっていました。
 

おしまい


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