搭乗可能な航空機(日本側)

Last Updated 2000/09/12

零式艦上戦闘機 二一型
零式艦上戦闘機 二一型
トワイライト・エクスプレス社 「太平洋戦線 真珠湾攻撃」より

・A6M2 零式艦上戦闘機 二一型

いわずとしれた、日本が誇る戦闘機ですね。
この戦闘機の生い立ちついては特に説明する必要はないでしょう。

といってしまうと終わってしまうので、蛇足ながら説明すると...
零式艦上戦闘機は、当時の主力戦闘機だった九六式艦上戦闘機の後継として、三菱の堀越二郎氏を主任技師として開発が進められた戦闘機です。
九六式艦戦(これも堀越氏を中心に開発された)は当時としては高性能の部類に入る戦闘機でしたが、海軍はさらに高性能の艦戦の開発を要求しました。
この要求に基づいて試作されたのが十二試艦上戦闘機です。ただし、1号機ではエンジンは瑞星一三型(離昇出力780馬力)で、プロペラは2翅でした。
零式艦上戦闘機として正式採用された一一型ではエンジンは栄一二型(離昇出力940馬力)で、プロペラも3翅となっています。
この一一型に翼端を折り畳み式とするなどの手を加え、二一型が完成しました。
...とまあ、こんな具合でしょうか。手元にある資料を基に、ざっとまとめただけですが(^^;

この戦闘機の特徴はなんといっても低高度(15,000ft以下)での旋回性能の高さでしょう。
「巴戦で2、3回まわれば後ろをとれる」との話が零戦パイロットの坂井三郎氏の談話にあります。
もちろん、彼がずば抜けた技量の持ち主であることは間違いありませんが、零戦の特徴を如実に表していると思います。
この格闘戦能力の高さから、零戦は太平洋戦争序盤の空を支配しました。

ただし、1000馬力に満たない非力なエンジンでこの高性能を引き出すのと引き替えに、零戦には致命的な欠点がありました。
被弾に対して非常に弱く、あっという間に火だるまになってしまう...もちろん、被弾さえしなければなんの問題もないのですが。
序盤戦ではこの取引は妥当に見えました。
ライバルとなるF2F バッファローやF4F ワイルドキャットとの格闘戦で、後ろをとられることはまずありませんでしたから。

零式艦上戦闘機 五二型
零式艦上戦闘機 五二型
トワイライト・エクスプレス社 「太平洋戦線 ミッドウェー海戦」より

・A6M5 零式艦上戦闘機 五二型

太平洋戦争を通して、日本海軍航空隊の主力戦闘機は零戦でした。
五二型は太平洋戦争中盤から投入されましたが、エンジンを栄二一型(離昇出力1,130馬力)に換装するなどの性能向上にも関わらず、米軍機の重大な脅威ではありませんでした。
ベテランパイロットが不足していたこと、数の上で米軍に圧倒されていたことも大きな原因ですが、F6F ヘルキャットの登場とその用兵によって、零戦の格闘戦性能の高さを生かすことができなかったのです。

よく知られている戦術ですが、米軍機は常に2機で1機の零戦に対戦し、その優速と高々度性能を生かしたBnZ(一撃離脱)に徹しました。仮に零戦の反撃を受けても急降下で離脱することにより、零戦との格闘戦を避けるようになったのです。
こうなると、零戦の貧弱な防御は仇にしかなりません。

とはいえ、ひとたび格闘戦に持ち込みさえすれば、零戦も十分な脅威となり得るでしょう。

・N1K2-J 局地戦闘機「紫電」 二一型 ≪紫電改≫

局地戦闘機「紫電」一一型
局地戦闘機「紫電」一一型
トワイライト・エクスプレス社 「太平洋戦線 ミッドウェー海戦」より

注:CFS2に登場するのは二一型 通称≪紫電改≫

局地戦闘機の名称からもわかるとおり、「紫電」は迎撃を主任務とする戦闘機で、前線での制空権を確保することを目的とした零戦とは思想の異なる戦闘機です。
この「紫電」はユニークな経緯を経て開発されました。
この原型となったのは水上戦闘機「強風」で、水上機を陸上機に設計し直したという例は世界でもあまり例がないでしょう。
この「紫電」はエンジンに誉二一型(離昇出力2,000馬力)を採用し、防御も零戦より遙かに向上しているうえ、格闘戦も十分に可能な戦闘機でした。
ところが、水上機をにわか造りで設計変更した機体であったことが災いし、主脚が破損したりちゃんと動作しなかったりで、離着陸時に破損する機体が後を絶ちませんでした。
主翼が機体の底側ではなく途中についていたため、プロペラが接地するのを避けるのに主脚を長くしたことで、機体の安定性が損なわれたことが原因です。
このため、主翼を底翼にするなどの再設計を行ってできた機が二一型、通称「紫電改」です。

紫電改は間違いなく太平洋戦争後期の傑作戦闘機です。
ところが、後期に開発されたために工作精度が悪く、故障も多かったようです。
特に燃料の品質が劣悪だったこともあって、エンジン周りのトラブルが耐えなかったようです。
燃料の話をすると、試作段階で試験飛行に用いた燃料のオクタン価は92。実戦に至ってはもっと品質が落ちたようで、当時343空の源田司令が訓練用の燃料をよこせと送った電文にはオクタン価87の燃料を○○立よこすように催促した記録があるくらいです(現在の自動車用のレギュラーガソリンのオクタン価は89以上、ハイオクで96以上)。

それでも、数で圧倒する米軍を相手に互角に戦い得たのですから、この戦闘機の優秀さには疑問の余地はないでしょう。