人の親切 
                      
                                             2009年4月 「真面目」なおやじ 


人間は色々なことで数多くの親切を感じ生きていますが、旅先で起こった2件の心に残る親切をここに記し
せめてものお礼をしておきたいと思います。

昨年、私は今凝っている富士山の写真を撮るため富士市の岩本山に行きました。
初めての所で、富士山を追いつつ富士市市内を歩きました。岩本山から見る富士山は絶景だと写真雑誌で読み、
その方角に歩きました。行けども。行けども岩本山は着きません。
また、一日中、富士山は雲の中でしたが、日も落ちつつある時、雲も切れ素晴らしい富士山が徐々に見えてきましたが、
土地感も無い私にはただ岩本山に向かい歩くのみ、疲れも出てきて「もう今日は駄目か」と戻る気持ちになった時です。
子連れの若い女性に岩本山の道を聞きました。彼女は「通常はバスが通っているのですが、もうバスはありません。
ここから1時間はかかると思います。」と言われ、岩本山に行くことをあきらめ駅に戻る決心で今度は駅に向かいました。
駅も遠く、疲れきった私はただ歩くだけ。。。
しばらくすると先ほどの女性が「これから岩本山の近くに友人を送っていくので乗って行きませんか。。」と
わざわざ車で追いかけてきて言うのです。疲れきった私は「地獄に仏とはこのことか。。」と思い乗せて頂きました。
坂道も多く、とても歩いて昇ることが出来なかったと、走りながら思いましたが、わざわざ追いかけて来て乗せてくれた
事に「人の親切」感じました。
私ならわざわざ車で追いかけ乗せて行くだろうか。。と考えるとなかなか出来ない事、道を教えるだけに留まったと
思います。
お陰で素晴らしい富士山が撮れたのですが、この事実に感動し今でもあの時の涙が出るほどの嬉しさ、人の親切の
温もりが心の中に残っています。
すさんだ世の中、人のことなんかかまっていられない世の中に一輪の花が心の中に咲きました。
そして、帰宅後、富士山に凝り追い過ぎたことの反省をしています。
ちなみに岩本山から駅まではバスも通っているようですが、私の歩いてきた道はバスの本数も少なく無くなって
いることが後から分かりました。

「送ってくれて有難う。。」私は生涯この親切を思っていようと思います。

今年、桜の時期に富士宮の大石寺に行きました。富士山と桜の写真は素晴らしく、満足の行く写真になりました。
富士宮、大石寺間はバスが通っていますが、本数が少なく3時間も間隔があります。
桜を撮り、降りたバス停に戻りそれが分かりました。仕方なく2時間ほど待つ覚悟をして、遅い昼ごはんを求めに
スーパーに行き、ついでに他の路線が無いか聞きました。
でも他の路線のところまでは2時間ほど歩く距離だと言われ「待つしか無いか」とバス停に戻りつつ歩いていました。
その時です。買い物をしていた女性が頻繁にバスが走っているところまで乗せて行ってくれると言われ、乗せて頂き、
難なく帰宅することが出来ました。
見知らぬおじさんを女性一人で運転する車に乗せてくれたのです。
しかも買い物をしていて小耳にはさんだだけで乗せてくれるなんて、通常は出来ないことだと思います。
これも忘れられない「人の親切」でした。

女性とは道々富士山の話になり、旦那様が赤富士の絵を描くことが趣味で、私が富士山に凝る事も理解されて、嬉しかった
ことが心に残っています。
また、お嬢さんが若くして亡くなり、その寂しさから旦那様が絵を描くようになったことを告げられましたが、その気持ちも
私には分かる気がしました。
車で30分位のおしゃべりでしたが、人は色々な境遇を抱え生きているのだ。と思いました。

村のお祭りの日です。
近所の高校生、しかも悪ガキ(四人)と日頃言われている子供たちが、セントバーナードのような大きな犬が迷っていると
当時、お祭りの役をやっていた私に言いにきました。大きな犬が人に危害でも加えると大変なことになるし、可哀想でもありましたので、
とりあえず状況を言いに近所の交番へ行きました。その間、1時間くらい彼らが犬の番をしていて安全性を確保してくれていました。
お巡りさんは「警察では犬を扱いません保健所に届け取りに来てもらって下さい」。と言うので今度は電話帳で保健所を
調べ連絡しましたが、保健所では、夜間なので明日取りに行くと言うことで、仕方なく家で朝になるまで置いておきましたが、
彼らは夜遅くまで、犬の周りにたむろしており帰ろうとはしません。
私の家に置いておくので安心して帰るように言ったのですが、携帯で色々ところに電話し飼い主を探していたようです。
「保健所に行けば殺されるかも分からない。可哀想。。」と心配していたようです。
次の日も朝早く彼らが来て「飼い主みつからなったよ」と言いに来ていました。
やがて保健所の人が引き取りに来てくれて連れて行きました。後で聴いた話ですが隣町の飼い主が保健所に届け
無事に帰ったようです。
それにしても悪ガキと言う言われる彼らも、犬を心配した親切、頭の下がる思いがしました。
日本の将来もまんざらでは無いかも分かりません。


すさみ過ぎた世の中だからこそ、人の親切が身にしみる体験でした。