羽純るい Rui Hazumi

償いを受けるべきよ。死の、報復をね。
シェリル
『夜明けの天使たち』より
  

 


羽純るい
ミニプロフィール
初舞台 1992年(H4)『この恋は雲の涯まで』
星組に組配属
2000(H12)年2月『我が愛は山の彼方に』『グレートセンチュリー』で退団
愛称 にゃん

 

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にゃんちゃん、いい娘役さんになった。と、母心になってしまいます。
期待を決して裏切らない実力派になったのは、いつぐらいからでしょう。
にゃんちゃんの舞台には、安心という二文字がよく似合いました。

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2000年2月で退団していったにゃんちゃん。 涙、涙で見送らせて頂きました・・・(泣)。

バウ公演『ミーアモール〜燃える愛の翼〜』でヒロインデビュー。 そのときには誰?と思ってしまったのですが(失礼!) これがなければ、にゃんちゃんに肩入れすることはなったと思います。 残念ながらバウは観られなかったのですが、 観に行ったノルさん(稔幸)ファンの友人は、結構言いたい放題でした。 当時は写真で見てもぷくぷくしてますよね。 でもしばらくしてからの青年館公演。 問題のヒロイン“羽純るい”は、どんな舞台を見せてくれるのか。期待大でした。 そして見事私の期待に応えてくれたのです。 前回苦評だった友人も、すごく良くなってると手放して誉めていました。 ヒロインとして脚光を浴び、プレッシャーと期待の視線を自分のものとして にゃんちゃんは美しく舞台の上で輝けるようになったのでしょう。

新人公演『エリザベート』では、歌唱力・演技力を存分に発揮したのも記憶に新しいです。 ゾフィ皇太后 恐らく作品中最も威厳を必要とするこの役を、 私の期待通り、それ以上の出来映えでみせてくれました。

それから『二人だけが悪』のアリシア。 本役のあやちゃん(白城あやか)に風貌がよく似ているので、(まる。。。?) 見た目には「え、あやちゃん?」と思ってしまう所もありましたが、 にゃんちゃんアリシアは、表面はつっぱっているけれど、実は寂しがりでという風にみえました。 孤児達に歌いかけるシーンはにゃんちゃん自身の優しさがあふれ出ていました。

よく考えてみると新人公演のヒロインは、上記一作品のみ。 気がついてみると本公演でも欠かすことの出来ない、大事な戦力に成っていたのです。

本公演でかわいどころを演じたのは『ダルレークの恋』のリタ。 大人っぽい役の方がぴったりくるようなにゃんちゃんですが、 詐欺師に騙されるかわいい王女さまをその演技力で見せてくれました。 道ばたでマハラジアのおじいさま(夏美よう)にせがむおきゃんな姿も良かったのですが、 やっぱり一番好きだったのは、同じように男に騙された(と思いこんでいるだけ) 姉のカマラ姫(星奈優里)とお互いを慰めるように歌う、妹としての姿です。

お得意の演技力が光ったのは『WEST SIDE STORY』のアニタ。 「I have a love」をマリア(星奈)と歌うシーンはアニタの心の広さと暖かさに、 思わず聴いている自分がマリアになったような錯覚を覚え、涙を止めることが出来ませんでした。

そして最終公演『我が愛は山の彼方に』『グレートセンチュリー』。 ジェリメ王女は『ダルレーク』のリタと同じような、 身分故の自由奔放さを持っていました。 ヒロイン・万姫(星奈)に対して、ジェリメは嫌な女として描かれていますが、 にゃんちゃんのジェリメは“身分故に嫌な女”でした。 観ているこちらが「この人は王女さまだから、こんな風にしか愛せないんだ」と思ってしまうのです。 そして見方によっては「かわいそうな人」とも思えてきました。 にゃんちゃん贔屓故、でしょうか? ショーも踊る姿、歌う姿にやはり涙がでました。もうこれで観られないなんて! 決してダンスも上手とはいえません。けど表情が良いのです。 久しぶりにショーでオペラグラスを大活躍させてしまいました。 欲を言えばもっと歌う姿を観たかったなぁと思います。

歌うにゃんちゃん、といえば地方公演『ジュビレーション』のエトワール。 遠くまで観に行ったかいがありました。 残念ながら本公演でエトワールの姿は観られませんでしたし。 それから『ヘミングウェイ・レビュー』のオープニング。 スパニッシュ系のシーンで情熱的に歌っていた姿も印象的です。

やはりどうしても私個人的に最後に書きたかったのが、 青年館&バウ『夜明けの天使たち』2作。 素晴らしかった。シェリル。 2バージョンとも同じ役ですが、バウバージョンではより一層 シェリルの弱さ・強さ・哀しさを掘り下げ掘り出し、 素晴らしい舞台にしてくれました。 誰 対 誰で物語が進んでいくような作品でしたから、誰と接しているか、 誰について話しているか、その都度心の流れが手に取るようにみえました。 この作品で私にとってのにゃんちゃんの位置は 確立されてしまった、と言って過言ではないのです。

初ヒロインから始まり、ひとりの立派な娘役さんに成長していく姿を本当にじっくりと、 しかし残念なことにとても目まぐるしく魅せていただきました。 ありがとう、にゃんちゃん。 そして、お幸せに・・・

2000.1
追記2000.5

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