いつもは、時間とお金をたんまりかけて、わざわざ観に行く宝塚歌劇。それが自分の街にやって来るんだから、この上ないお得。 勿論、普段公演に比べて、セットもちゃっちい・出演者も選抜・オケが録音・大階段がない、などとマイナス点は多いけど、それも自分の街で、 あの宝塚をやるんだから、そんなことは問題ではない。今では名前も“地方公演”から“全国ツアー”に代わったけれど、地方在住のぶみにとっても、 やっぱり“地方公演”の方が、親しみやすい気がしますが。
ぶみにとっては“幻のショー”『ジャンクション24』を引っ提げての花組公演。なぜ“幻のショー”なのか。それは、友人R嬢とYOさんに、なつめさん(大浦みずき)のさよなら公演に置いてけぼりを喰わされたからで(そのお話はまた後日。お恨みしております)。 さて、チケットをどうやってとろう、と考えている私たちにTVからいいネタが!この公演、トヨタが協賛していて、そのTVCM曰く、
今、静岡トヨペットで新車ご契約の方に、宝塚歌劇花組静岡公演のご招待券をペアでプレゼント!!
・・・そんなこと無理なことくらい、いくら私たちでも分かるわよっ。というわけで、チケットとりは振り出しに。 しかし、チケットの女神さまは私たちにほほえんで下さった!その女神さまは、ぶみ家のお向かい在住、Sさんの奥様! どうやっておばさまが、ぶみが宝塚ファンということを知ったかは、もう記憶にないんだけど、おばさまは、どないなお知り合いかは存じませぬが、 とにかくお知り合いからチケットをゲットしてきて下さった。感謝感謝。しかもそのチケット2階の1列目だった。
今でこそ、1階席に普通に座っていられるけれど、当時のぶみは“観れるだけでも感謝しよう”をモットーに観劇をしていた人なので、 2階とはいえ、一番前。それはもう大変なことでした。だって自分の前には頭がないんだから(下にたくさんあるけど…)。
さて、4月になり短大生となったぶみ御一行様。「制服で観に来たかったよね〜」などと、高校時代を振り返りつつ、 静岡市民文化会館中ホール(この次の公演から大ホールになったんだけど)の2階席へ。 このホール、我が母校も文化祭で使用しており、ぶみは出演者として5回(ハンドベル振ったり、お琴弾いたりしてました)裏方として1回(文化祭実行委員でした)楽屋をねぐらとしていたことがあり、 その楽屋に今、美しきジェンヌさま達が滞在してらっしゃると思うだけで、なんだか自分の家に招いているみたいな、あほな錯覚を起こしていました。
思えばこの地方公演が一番楽しかった。“幻のショー”を生で観れたという満足感と、自分の街でやっているという喜びで、胸が一杯でした。 実質お芝居もショーも初めて観る作品だったし、とっても満足しました。『小さな花がひらいた』は、話題のみはるちゃん(森奈みはる)のあっちゃんがやっぱり印象的でした。本当に4歳の子供にしか見えなかった。脱帽です。 舞台写真では大きさはそのまま映ってしまうので、大きな子供ですが、生あっちゃんは仕草やしゃべり方でただの4歳児でした。「あたい、あっちゃん。火事でお家が焼けちゃったの」という出だしの名文句は、しばらくマイブームでした。 『ジャンクション24』はオープニングから大興奮で、はしゃぎすぎて2階席から落っこちそうでした。 すごく覚えてるのは、スポットライトが大きいのが2個しかなくて、メリさん(宝樹芽里)が白いコートでかっこよく3番目に出てきてるのに、スポットがなかったこと。 暗い駅のホームが舞台だから、そこに白いコートでトップ・2番手・3番手と順番にスポットに照らされるのがかっこよかったのに。 特にぶみはメリさんファン。ということで、わかっていればマイライトを用意した、かも。(当時はマイライトという言葉はなかったが…) でもメリさん、暗闇の中で踊っていても、あなたはかっこよかった。
ごく当たり前だが、出待ちもした。生徒さんがぞろぞろ出てくるのに、フラッシュだけで拍手もおこらないし、「お疲れさまでした」の声もかからない。 思わずぶみは大声で「お疲れさまでしたぁー!」といってしまった。今から考えると、怖いもの知らずだ。 それから走って滞在先のホテルまで行って、お出迎え(というのか…?)もしてしまった。地元のお友達もできたし、とっても楽しい一日でした。たしか、朝のお見送りも行ったような、行かなかったような・・・
あれから何度も、いろんな組がいろんな作品で静岡にやってきてるけど、やっぱり思い出多いのは、この“初めての地方公演”。なんか、若かったなぁ、なんて遠い目になったりして。
2000.5.14.