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雪組大劇場
宝塚幕末ロマン 猛き黄金の国−士魂商才!岩崎彌太郎の青春−
脚本・演出 石田昌也
レビュー・ロマネスク
 パッサージュ−硝子の空の記憶−
作・演出 荻田浩一

2001年2〜4月

猛き黄金の国はこちら

東京公演ちっちゃな観劇劇場 その1 その2

 パッサージュ 
第一場 ぶみの期待‐観劇前のお話‐  ロマンチックな荻田先生の、ショー初作品。お芝居も、どこか幻想的で素敵だから、ショーになるときっとロマンチック度も増すことでしょう。

第二場 ぶみの感想‐観劇直後のお話‐  「うわ〜 素敵だった〜!」
 なんてなんてなんて!オーソドックスであり、新しくもあり、上品で、美しく、息を呑み、陶酔し・・・めまぐるしいばかりの55分。やられた!

第三場 場面を追っかける
 序 硝子のきらめきの様な音から始まり、続く音楽は、舞台の天使と少女が紡ぎだしているよう。♪天使の夢をみたわ と歌う少女のまひるん(紺野)もかわいくて目が離せないけど、セリ上なので、まるで宙で踊るかのような天使のコムちゃん(朝海)も美しすぎて見逃せない。そして、白いマントの詩人のイシちゃん(轟)がセリ上がり、銀橋を行く。その美しさは硝子細工の人形のよう。イシちゃんの歌に影ソロでデュエットとなる麻夏せれなちゃんの歌声も、つやがあってきれい。オープニングの時点で、硝子回廊の魔法に引きずり込まれます。
 第1区 水晶回廊T−グラン・パレ− 前場の余韻を残しつつ、華やかなレビューの幕が開く。ミラーボールが廻り、黒エンビの男役さんが花道〜銀橋にずらっと並ぶ。そして本舞台へと流れる様に場面が展開していき、4/4拍子の“パッサージュ”から3/4拍子の“硝子の空の記憶”に曲がかわる中、盆が廻る。娘役さんが並び、ぐんちゃん(月影)が歌う中、本舞台に残ったイシちゃんに娘役さんが戯れるように絡む。曲はぐんちゃんからぶんちゃん(絵麻緒)に歌い継がれ、共に踊り、曲の終わりへ。男役さんの少人数口から大人数へのダンス。そしてランナップが終わる頃、すっかり客席は醒めない目をみている気分になってます。 
 第2区 玻璃への招待状 イシちゃんが一人、ケーン片手に銀橋を行きます。歌はシャンソン(だと思う)。でも元気のいいアレンジ。シンバルの音が気持ちを高ぶらせてくれます。
 第3区 玻璃の街角・黄昏 恋に破れたパリジェンヌ・ぐんちゃんが、アンニュイにカフェを訪れる。バリのカフェでは、いつもと同じ光景が広がる。人の数だけ人生がある、って感じでしょうか。恋人に逃げられて一人になった若者・ワタルさん(湖月)とぐんちゃんが“恋した・ふり”。多分一瞬視線が合って、何かを感じたくらいのはず。でも、パッサージュにあるカフェでは、誰もが幻想の時を持っているのでしょう。二人は触れ合うこともなく、踊る。そして現実へ。やはりもの寂しげに、パリジェンヌはカフェを後にする。
 第4区 玻璃の街角・夜 アンニュイな青年・ぶんちゃんが、夜の女に翻弄される。誘われて、突き放されて、サーカス小屋にたどり着く。青年に片翼の少女が歌いかける。サーカスの人々は、挑むようだけど、みな無表情。幻想度が高まり、少女は闇に吸い込まれ、青年は地獄に落ちていく。
 第5区 玻璃の街角・地獄 人の心に潜む、密かな欲望に、地獄の王は語りかけるのでしょうか。少女を手に入れようとした青年を、地獄の王・イシちゃんが、堕天使のコムちゃんといずるん(天勢)を使って翻弄する。青年は少女と婚礼を挙げてるつもりだけど、少女・まひるんの微笑みは、天使ではなく悪魔の微笑に見える。少女も地獄の王の僕、だったのかなぁ。
 第6区 水晶回廊U−グラン・ブールヴァール− 前場、地獄の王の下ろした幕前でのレビューの始まり。まだ、なんだか客席はサーカスで見た魔法にかかっているみたい。かしげちゃん(貴城)のソロ、そしてエイトシャルマンを引き連れたワタルさんが銀橋をいく。幕の振り落としで、舞台は本格的にレビューシーン。ぷんちゃん〜ぐんちゃん〜成瀬さん&コムちゃん、そしてかしげちゃん・ハマコちゃん(未来)・しいちゃん(立樹)と、スターの洪水。3組のデュエットの後、トップスターイシちゃんが歌い、男役さんたちの情熱のシーンに。そして中詰らしく、ラインナップでしめくくり。
 第7区 硝子の空の記憶 無機質な、感情の押し殺されたシーン。男の、思い出。つかの間の夢のような物語が舞台に現れる。それは、結ばれなかった恋人であり、遠い思い出の少女であり。外部の先生の振りも目新しくて、音楽もかわっていました。
 第8区 水晶回廊V−グラン・バル− 一転、フィナーレと呼ぶにふさわしい、華やかなレビューへ。スター目白押し、歌も充実で、その勢いは今の雪組、そのものでした。銀橋にふわっと座った娘役さんたち。大階段にずらっと並んだ男役さんたち。本領発揮のシンガー。みんな輝いていました。トップコンビのデュエットダンスは、短かったけど、ムード満点。間髪あけないエトワールの登場、歌い出し。そしてそれにあわせて少し踊っての終わり方は、とても新鮮。大階段のパレードも、変則的で、目新しい。パレードが終わり、幕が閉じても、夢を見られる“パッサージュ”の魔法は、しばらく解けることはないでしょう。

第四場 色が、キレイ!  舞台にあふれるばかりの色。浅い色から深い色まで、とりどりに使い、本当にキレイでした。幕開きは天使・少女・詩人と白い衣裳。緩やかな光に浮かび上がるよう。一転黒エンビの男役さんが並び、盆が廻ると本舞台には、セリをふんだんに使い、アーチの様に並ぶかわいい衣裳の娘役さん。シルクハットにベールがついていて、ドレスはミモレ丈のロマンチックチュチュのよう。白にあわせた色は、黄色〜オレンジ〜ピンク〜紫とグラデーションになり、舞台全体がロマンチック。グラデーションの頂点・紫×白はトップ娘役のぐんちゃん。そして黒エンビのぶんちゃんとデュエット。そのあとは黒エンビの男役さんの少人数〜群舞へ。娘役さんも加わってのラインナップ。と、華やかなオープニング。
 その後もパリの街角の現実世界と幻想世界では色のトーンが微妙に違うし、第7場からの中詰は、ビビットカラーをふんだんに。金色のかしげちゃん〜赤×紫のワタルさん・紫のエイトシャルマン〜一面ピンクの本舞台、中央に銀スパンエンビにピンクのシャツのぶんちゃん〜銀のマーメイドドレスのぐんちゃん(軽い金色のおかっぱ髪もキレイ)〜銀×ショッキングピンクの色合。バックの電飾はいろんな色使いだけど、決して華美にはならず、ゲートの形が奥行き間を引き立てていてキレイ。(ルミナリエみたい!)
 一転、無彩色の世界。ここのカップルの衣裳は、ベージュ〜くすんだオレンジ。途中くすんだ水色の天使、浅い茶色の少女、白い光が舞台に現れ、つかの間夢に包まれる。そしてまた無彩色の世界へ。
 ラストのレビューシーンは、中詰のビビットカラーとまた違うけれど、華やか。男役さんは白エンビにベストが薄いグレー。銀橋にはオープニングのふわふわドレスの娘役さん。反対に、本舞台のタンゴのカップルの娘役さんは、すっきりしたシルエットの、薄い茶色のドレープのきいた長袖のドレス。大階段に並ぶ白エンビの男役さんの中央には、明るい紺色のドレスのぐんちゃん。そのあと登場するイシちゃんも同じ色のエンビ。紺色の衣裳のデュエットダンスは、決して長くはないけれど、レビューシーンを締めくくるにふさわしい。フィナーレも水色を基調に、舞台中央のトップコンビは紫。
 レビューでも、色の洪水ではなく、すべてに淡い色ではなく、甘すぎないロマンチックさ。その色たちがとても心地よかったです。ショーは特に、衣裳・照明・セットが重要。(もちろん音楽・ダンス・出演者も大事ですけどね)それを、こんなに“いいショー”で思い知れるって、幸せ、だな。  

第五場 ぶみのツボ−大ツボ・小ツボ−
イシちゃんが銀橋で歌う“パッサージュ”の♪パッサージュ光を〜の男役さんの振り。左手はエンビのに手をかけ、右手は右前に伸びるように押し出す(分かってください…)。小ツボ。
ぐんちゃんの歌う“硝子の空の記憶”の娘役さんたち、♪パッサージュ×4の振り、右手はらい〜左手はらい〜真ん中集めて〜押し出しの、両手押し出しが可愛すぎ。小ツボ。
男役さんたちの群舞の途中、中央ゼリからセリ上がる、レアちゃん(蘭香)・いずるん・けいちゃん(音月)。下級生ながら豪華トリオのセリ上がり。大ツボ。
第2場Dラストラインナップの時に、上手から二人で出て来るぐんちゃんとぶんちゃん。微笑み会う二人。大ツボ。
カフェのギャルソン・みつこちゃん(すがた)。今回は、明るく爽やかなキャラなのね。黒いオールバックの髪が素敵。そうか、桐野さんもへーかも自毛なのね。小ツボ。
カフェの1シーン。オーバーアクションで言い争いをしている、失業者夫婦(悠なお希&春あゆか)。目が離せません。小ツボ。
幻想〜元のカフェに変わるとき、舞台奥、街頭の下で幻想(女)から歌手にかわるまりあ(千咲)。上着をくるっと脱がせてもらうと、ピンクのワンピースのすそが広がり、かわい〜。大ツボ。
カフェでひと時の幻想をみた女・ぐんちゃん。少しやるせなさそうに花道へ。何かに追い詰められているような青年・ぶんちゃんと鉢合わせ。お互い何かを一瞬思い、でもすれ違う。大ツボ。そんな一瞬のシーンを胸キュンで見つめるアホ客ぶみ・・・
銀橋を行く青年・ぶんちゃんを、悲しげな瞳で見つめる本舞台のしなちゃん(山科)。昔の恋人の姿をみているのかなぁ。大ツボ。
サーカス団長のケイさん(萬)。独眼のまなざしがダンディー。小ツボ。
地獄の王・イシちゃんが歌ってる姿。指揮をしているような、調子をとってる様な、あの手が好き。小ツボ。
少女のまひるんと踊ってるつもりで、実は堕天使のいずるんと踊っている青年のぶんちゃん。無性別のいずるんと、迷える青年ぶんちゃんのカップルは、鼻血物。二人まとめてお持ち帰りしたい。大ツボ。
第7場A下手花道に登場するピエロの女の子達。無表情だが、めちゃかわいい。大ツボ。
第8場歌いながら銀橋をいくぶんちゃん。曲のテンポがかわり、銀橋中央で止まりポーズ。本舞台中央にはぐんちゃん。席番60番台で観ると、私の視線の先に、ぶんちゃん、その向こうにぐんちゃん、と大変美しい構図に胸キュン。大ツボ。
第9場闇に浮かぶ一組のカップル。死にゆく女、そして男。まゆみさん(五峰)とちー坊(天希)のダンスは、それだけで物語の奥行きを感じる。すごいなぁ。二人の眉間のしわがまたなんともいえない。小ツボ。
儚く踊るトップコンビ。向かい合い、お互いに、挙げた手の下をくぐる振りが好き。小ツボ。
舞台には、出会っては別れる幾つものカップル。そのバックに流れるギターの音と、カゲコーラス。雪組の誇るシンガーコンビ、圭子さん(美穂)&はまこちゃん(未来)。この二人の歌、ずっと聴いていたい・・・大ツボ。
極楽鳥のワタルさん。確かにあの細くて長い足はツボ。でも本舞台で、くるくる踊るレアちゃんを見つけてしまったその日から・・・私のツボはレアちゃんに移動しました。ワタルさん、ごめん。
かわいすぎる淑女をはべらせて銀橋で歌うコムちゃん(朝海)。その淑女達がかわいすぎる。コムちゃんが観れない!やわらかく暖かい微笑を浮かべていたまひるん・まりあ・よっこんさん・はなこさん・けいこさん・みささん・・・うわ〜全員書きたい〜。大ツボっ。
みんな、ラストに向かって、どんどん歌声が大きくなる。ハマコちゃんの歌で、うぉ〜と思い、もうボリュームアップは終わるだろうと思ったら大間違い。その後にはハイパワーで押しまくる、トップスター轟氏の歌が待っていた。聞いていて体に響きます、あの歌声。さすがだ、大ツボ。
待っていました!初エトワールの圭子さん。あなたのその歌声は、いつ、どんな時でも、わたしにとっては大ツボです。
そのエトワールの歌いだし。ポーズをとっていたトップコンビが動き出す。座っていたぐんちゃんが、イシちゃんの体を這わせるように手をあげる。その手、小ツボ。
パレードの曲が4分の3拍子。初日あいてまもなくは、戸惑っていた客席も、うんパンパンの3拍子で手拍子する。客席の私も手拍子する。その、いつもに増した舞台と客席の一体感、小ツボ。充実感、大ツボ。

第六場 ぶみの手帳より−哀しみのパッサージュ−
パッサージュ・・・ノスタルジック・・・
 「過去的未来感覚」19世紀という「時代」がそのまま封じ込められている。21世紀の今になり、それは、過去の物、になっても、当時の夢がみられるところ。でもそれは、夢のかけら、でしかない。
 専科制度で、ぶん&ワタルがぐんちゃんのいる雪組に出ている。でも、この公演が終われば二人はいなくなる。三人が共にいた時代。私の青春でした。その時代が、この『パッサージュ』でよみがえる。けれどそれは、この公演かぎりの夢。ぶん&ぐんが並んで歌ったところは
   ♪硝子の街に踊る陰を見た それは遠い日の幻 いつかの恋
そう、「遠い日の幻」でした。哀しいけれど、それが本当。今でもこの二人が並んだら、例えようのない光が生まれると信じていた私。でも、ぐんちゃんが今、並んで最も輝くのはイシちゃんだって、思い知らされた。分かったよ。もう・・・ありがたくもあり、また哀しくもある。
   『パッサージュ』は過ぎし日々のなごり。
   『パッサージュ』は硝子の夢。
けれど、あの硝子の屋根の下では、夢もまた現実。だから永遠に歌っていてほしい。パッサージュ・・・

第七場 そしてリピート  何度も観た。ばかがつくほど観た。観ても観ても見飽きない。やっぱり魔法にかかっているのかなぁ。ずっとこの公演、続けていてほしい。終わらないでほしい。終わらないかぎり、私は通い続ける。どこへでも行く。きっと、そんな魔法にかかった人、私だけではないはず・・・

第八場 パリを追いかけ−博多座への思い−  夢中になって書いているうち、大劇場公演、終わってしまいました。感動に打ち震え、(ぶんちゃんの)休演に打ち拉がれているうちに、東京公演も終わってしまいました。でも、まだ博多座が残っています。この『パッサージュ』、20世紀の残した名作『凱旋門』と共に、真夏の博多でよみがえります。 どちらも舞台はフランスはパリ。“パリ”を漢字にすると“巴里”と書くのが普通で、『凱旋門』でもこちらの漢字が使われてます。バリに限らず、そもそも外国の地名を漢字にしちゃうこと自体、とてもロマンチックだと思うのです。明治大正時代の日本人ってロマンチストだったんですね。それに、漢字にすることで、親しみも沸いてくるから、私も日本人だなぁと思うのです。 さらに、荻田先生は、この『パッサージュ』で“玻璃”という漢字を使ってます。プログラムをじっくり読んで気づいたのですが。なんと、おしゃれな。この作品の雰囲気がとても出てると思います。荻田先生の作品への思いのかけらを見つけた気分です。 『凱旋門』と『パッサージュ』。麗しのパリ2部作が、博多座でよみがえる。その感動だけで、今、自分は生きている気がするのですが、それもまた、しあわせです。今はしばらく、このまま夢をみさせていてください・・・

2001.3.末から書き始め
気がつけば
2001.7.13.

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