ぶみの観劇劇場  ぶみの観劇劇場  ぶみの観劇劇場  ぶみの観劇劇場  ぶみの観劇劇場

星組大劇場
ミュージカル・ロマン 黄金のファラオ
作・演出 中村暁
ファンタステック・ショー 美麗猫−ミラキャット−
作・演出 三木章雄

2000年6月

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 黄金のファラオ 

第一場 ぶみの期待‐観劇前のお話‐  星組・コスチューム。そう聞いただけで、期待は大。唯一の不安は演出家・中村A氏。

第二場 ぶみの感想‐観劇直後のお話‐  「・・・・・・・・・・・・?」
いや、別につまらなかったわけではないんだけど。席が1階B席だったせいか(真ん中だけど)いつもに比べて少し遠くて、引き込まれるところまでいかなかったの。『ER DOLODO』のような『砂漠の黒薔薇』のような『エクスカリバー』のような『WSS』のような『皇帝』のような。いろんなシーンが、これどこかで観たことのあるなぁという印象。いちいち突っ込みたくなってしまった。 

第三場 作品について語ったりする  上段で言いたい放題のぶみ。でも2度目に8列目で観たら、ひょっとしたらこれはいい作品かも、と思ってしまった。これは、同伴の友人M子も隣の席で思ったらしい。なんか観たことのある・・・と思うってことは、標準的宝塚作品だ、ということになる、のかも?
 幕開きは、さすがエジプトものだ!という豪華さで、観る側の心をとらえた。こういうオープニング、好き。作品全体にコーラスがふんだんに使われていて、これもエジプト、オリエントらしいなぁと思った。集団の美しさというのか。

第四場 美しきトップスター‐稔幸 エネンプセスV世・セティ‐  きめ細かい役作り。コスチュームにふさわしい大芝居。ノルさんのつくり出したファラオは、雄々しいオーラに包まれてました。
 もちろんセティの役作りも大好き。替え玉ファラオとしての行幸のシーン。銀橋での少し戸惑っているところから、物語が進むにつれ、徐々にファラオとしての思いが芽生えていく心理描写。さすがノルさん。そして、最後は真のファラオとして命を落とす。18場アビヌスの門でのいい顔を見ていると、セティは幸せだったんだなぁと、少し涙が出てきました。
 私の好きなシーンは、病に倒れたエネンプセスV世のかわりをそのまま勤めろと告げられ、一人、幕前に残るところ。「ファラオは一度姿を拝めれば天国へ行けると言われている。そのファラオにこの俺がなるのか」(うろ覚えなので違うかも)と言って皮肉っぽく笑うセティ。少し黒っぽい役作りに、どきっとしました。

第五場 美しき二番手‐絵麻緒ゆう セイタハト‐  さらさら黒髪の“無口で無愛想だが腕はたつ”といわれる傭兵のセイタハト。台詞が少ないからこそ、一つひとつの台詞にとても重みがあった。決めゼリフが多くてかっこよかった!!!「まず、礼を言うのが道理だろう」とか「俺の親父も兄貴も水担ぎだった」とか「あんたの為なら死ねる!」とか。面と向かって言われたらこっちが死んじゃうわ(←私はただのバカ)
 幕前〜銀橋のソロは、歌に切り替わる演出がなんだか不自然で(客席で口を開けて首をかしげてしまう感じですか?)ぶんちゃんの芝居と歌に説得力があったからこそ静視できたけど。これはぶんちゃんファンじゃなくても、きっと納得してくれると思う・・・。
 セティのノルさんと2人で銀橋で歌うシーンはすごく迫力があって、ノルさんとぶんちゃんのどっちを見たらいいのか、とっても迷いました。
 ラスト、セティを助けて死んでしまうシーンは、たくさん敵を倒した後に2人にヤリで刺されてしまって、かっこいいのか情けないのか・・・かっこいいよ。やっぱり。でも舞台で倒れていないで引っ込んでしまったのが少し心残り。ノルさんに掻き抱いてもらって死んでほしかった。このごろぶんちゃんよく死ぬよね。

第六場 美しきトップ娘役‐星奈優里 王妃ネフェルティ‐  かわいかった。めちゃめちゃかわいかった。お衣裳もすごく素敵で、ヘアスタイルもよかったし、どれもよく似合ってました。ぶみのイチオシは、8場のピンクのドレスかな。
 その、ピンクのドレスのシーン。王妃なのに、壇上の席でおびえた猫みたいにおどおどしている姿がとても印象的。だからこそ、そのすぐ後で勇気を出して、ファラオに侍女エルディアのことをお願いする姿も、自分の気持ちがファラオ(替え玉だけどね)に届いたことに感謝する姿も、それから心を開いていく姿も、とても説得力があった。ユリちゃんはお姫様や高貴な身分の役が多くて、今度のネフェルティも“お嬢さん”の役だから、とっても心配したけど、いい意味、期待を裏切ってくれてすごく嬉しかった。
 死にそうなセティを掻き抱いて、自分も一緒に死ぬと言い出す。でもセティにエジプトを託される。ネフェルティは、セティを真のファラオとして冥界に旅立たせる。そして自分もお飾りの王妃ではなく、ファラオに代わってエジプトを治めることを誓う。立ち上がり、両手を挙げたその姿には王妃としてのオーラが見えました。シュチュエーションは似てるけど、『WSS』のマリアが舞台奥へ下がって行ったのと全く対照的で、狙ったのか、それともぶみの深読みか・・・?

第七場 メインキャスト‐と、なっている方々‐ いい人、悪い人、どちらでもない人。綺麗に分けられて、分かりやすい配役。   とっても悪い人大神官ネブヘル‐一樹千尋‐絵に描いた様な悪い人。でもこの人なしには物語が始まらない、進まない。大体誰に対しても威圧的に接している中で、皇太后とその侍女には、丁寧に得意の話術で交わしているところが、ネブヘルという人間の裏と表が見えて、厚みのある人物像がはっきり分かりました。絶命のシーンもさすがだね。  高慢なヌビア王タハルカ‐夏美よう‐登場シーンは2場面だけど、その存在感はさすが。エジプトの神殿の宴でも、異民族らしさが荒くれさと共に、よく伝わりました。あぁ、ハッチさんのいない星組なんて、考えられない・・・(嘆。)  もともとセティの持ち主だった商人ケナメン‐英真なおき‐。この時代の、少し身分が高くて、少しお金がある人って、みんなあんなに高慢なのね。第12場のネブヘルとの場面は“悪代官と越後屋の図”で、面白かった。「おぬしも悪よのぉ」ってね。  セティの唯一人の友達ナクトム‐久城彬‐戦って死んでしまう場面と、セティの回想の場面と、ラストのアビヌスの門の場面の3場面しか出てこなくて、役不足〜〜。あらすじを読んでいるだけだと、自分からセティの剣に向かっていく様子が、おぉ泣かせるねぇと思ったけど、舞台では一瞬の話で、えっ倒れて終わりなの?と多々不満。セティに掻き抱いて死んでほしかったよぉ。  物語中、多分一番いい人アハメス‐彩輝直‐。おっとりした雰囲気が神官らしくて良かった。神子のコーラスを従えて歌うシーンもなかなか聞かせてくれてよかった。けど、なにかが足りない…気がする…?  今回サヨナラのエムサ‐音羽椋‐。しっかりした黒い役というのは『夜明けの天使たち』のアレンと今回位かな? とてもよく似合ってました。セイタハトと戦うシーンで、ヤリの鞘を抜き捨てて振り回すところを見ていると、武蔵坊弁慶なんか似合いそうと思った。アビヌスSでは、今更ながら本当に綺麗なダンスをみせてくれてありがとう。もう見られないのよね。  ネフェルティの侍女エルディア‐妃里梨江‐。お姫様に従う(王妃だけど…)侍女、という役所のせいか、前回『我が愛〜』の楚春もきっとこんな風に演ってたんだなぁと、容易に想像出来てしまった。セイタハトにお花を渡したくてうろうろしてるところは、かわいいなぁと思えたけど。もっと違う色のミコちゃんが観てみたい…(先生に言ってるのか本人に言ってるのかは・・・) 

第八場 その、また脇の方々‐数名の役不足の方、含む‐  美しい皇太后メリエト‐朋舞花‐おお!エジプトの皇太后だ、というオーラに満ちていました。息子のファラオを操っているだけあって、宮殿での宴の最中、ファラオ(セティなんだけど)の手をさすっているところは、いやらしくてよかったわぁ。  宰相アンテフ‐にしき愛‐芝居の大ラスで、皇后の言葉に「はぁーーーっ!」と答えたあの台詞。すごくよかった。あの一言で、あの場面、いや、芝居全部がすごく引き締まった。  大神官に斬りかかる、正義の男カーメス‐大洋あゆ夢‐たった一場面で、もったいない〜。  医師デロス‐高央りお‐もたった一場面の登場。あーもったいない。ファラオの容態の口封じに殺されてしまうけど、毒を盛られているのが分かっている杯を飲み干す芝居は最高!  今はしがない物売りのラダック‐司祐輝‐心にもっている物は大ちゃん(大洋)と同じ。でも敵に斬りつけるのではなく、淡々と自分の気持ちを語るのが、司くんの芸風に合っていました。  アラザの使者シャヌーン‐朝澄けい‐も、重税に苦しみ、ファラオに斬りかかる。一場面だけど、印象に残りました。  いい役者さんばかりなのに、なんだかとっても役不足でもったいないなぁ・・・

第九場 娘役えりすぐり‐だらだらゆきます‐ (ぶみはめちゃめちゃ娘役好き) なんといっても、今回の掘り出し“者”は陽色萌千琴ひめか。歌える人だとは聞いていたけど、ここまですごいと思わなかった!歌姫そんちゃん(秋園美緒)がベルリン公演で不在の星組に新たな歌姫候補が登場。うれしいね。 ヌビアの舞姫S万里柚美は野性的で綺麗だった。ダンサーゆずみさん、健在です。もう一つの役・エルイムは、悪い人の仲間なんだなぁと観ていてわかったけど、そこしか出てこないので、ゆずみさんのあの役は…?… 皇太后の侍女彰乃早紀・しのぶ紫・朝峰ひかりは、とりまきと言う方が適しているかも。みなさんベテランだし、すごく迫力あった。 原美笛・亜づさ真鈴はエルディアの侍女仲間。セイタハトとエルディアを冷やかすところがかわいい。物語の中で、ふと笑いがおこるような、清涼剤的な場面を受け持っていて、とても印象に残った。

第十場 助演賞に輝くのは   とにかく、脇を固める役者陣が充実している星組。本当に選ぶのが大変ですが、今回は、宰相アンテフのにしき愛さんに贈りたいと思います。理由は上記の通り!とにかく、あのたった一個の台詞に鳥肌がたったので。お芝居をぎゅっとしめたのは、あの台詞だと、私は信じて疑いません。

第十一場 ぶみ・辛口‐聞き流してやって‐  演出家中村A氏。私には、彼は上手いのか下手なのかわからない。作品が、当たってるのか、はずれてるのか、うーん。わからないなりにも一つだけ言いたいのは、もっと役者をいかして使ってほしいってこと。

第十二場 ぶみの心残り  思い残すことはありません!と言い切りたいところだけど、私の愛した星組のこの姿は二度と拝めない。東京でも配役が代わるだろうし、次に大劇場へ来ても、もうみんないないし・・・ハッチさん、ぶんちゃん、おとちゃん、朝宮くん(朝宮真由←今回はベルリン組でいなかったけどさ)・・・(涙) あ、さえちゃんもいないのね。
 作品、には心残りは、ありません(キッパリッ)。

第十三場 そしてリピート 定番のいいお話だったなぁとは、思います。でも何度観ても、という物でないような。ぶんちゃんの「あんたの為なら死ねる!」は、私を何度も劇場へ通わせるネタではあるけれど、うーん、ラストまで耐えるのかぁ。 

第十四場 編集後記 “歌劇誌”の座談会を全く読まずに観てしまったこの公演。しかもこれを書き上げた後、読むという、へなちょこな手順を踏んでしまった。そうしたら座談会で“悪代官と桔梗屋”の話が出ていた・・・私は桔梗屋じゃなくって越後屋だけど。パクリじゃないのよ。許して。  

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