Hitomi Tsukikage STAGE HISTORY |
演出/岡田敬二 |
1993年10月3日〜17日/宝塚バウホール 10月23日〜30日/日本青年館 11月11日〜13日/愛知厚生年金会館 |
ぐんちゃんの役/第一話アダムとイヴの日記 イヴ/第三話パッショネラ 乗客・ビアンカ |
残念ながら、本当に本当に残念ながら観られなかった公演です。たくさん歌ったし、とってもかわいかったと 友人からさんざん聞かされました。CDを聴くだけでそれはよーく分かります。ミキさん(真矢みき)主演の3話オムニバス形式のミュージカル。ぐんちゃんの役どころは、 第1話 『アダムとイブの日記』のイヴ。アダムのミキさん、ヘビのリカさん(紫吹淳)と、ぐんちゃんの 3人のみの登場人物。そのうちヘビは中詰めで登場するだけなので、ミキさんとがっぷり組んでの芝居運びでした。
前半、エデンの園でのイヴは、おきゃんでとにかくよくしゃべり、アダムもたじたじ。神様から命を与えられ 2人はエデンの園でヒトとして生き始め、何もないところからスタートし、何も知らないハズなのにイヴだけが どんどん何でも思いつく。アダムはそれがおもしろくない。でもお互い、初めて知る恋心に少しドキドキしながら 時が過ぎていく。本当に残念なことに、舞台で2人がどんな風に息づいていたのか、観損なった私には 想像するしかないのですが。始めの方のシーンはCDで聴いているだけで、表情豊かに歌い笑う、 ぐんちゃんの姿が目に浮かびます。元気のない時には大きな声で一緒に歌うと、なんだかパワーをもらえるようです。
中詰めイヴはヘビに出会います。歴代のヘビは名ダンサーが演じていますが、今回のリカさんもそう。 イヴと一緒に踊ったかどうか…は、分からないのですが、ともかくイヴは物知りのヘビさんにそそのかされて、 禁断の木の実のリンゴを食べてしまいます。そして、アダムにも食べさせてしまいます。知らないとはいえ、 神様にいけないと言われていたことをしてしまうわけです。聖書の中のお話でも、女の浅知恵で、男も騙されて エデンの園を出なければならなくなった、みたいに描かれていてイヴが悪い人みたいですけど、ぐんちゃんのイヴは 何事も無邪気に…。2人でエデンを追われる時も、不安がるイヴをアダムが優しくなだめていきます。
そしてエデンを出た2人は“夫婦”として生活し始めます。おきゃんだったイヴもすっかり落ち着いてしまいます。 子供が産まれた後に歌う「子守歌」は、4分の3拍子のとてもゆったりとした美しい曲で、しっとりと歌い上げます。 息子アベルとカインが喧嘩をし、そして同時に二人の息子を失い哀しむイヴ。そして、もうこの世界に自分の 大切なものはアダムしかいないと改めて思うのです。アダムを思い歌う「どうして彼が好きなのかしら」これも前記の 「子守唄」と同じ様なスローナンバーですが、より一層歌詞の意味の深い曲です。愛に理由などいらないと、 一言一言かみしめるように歌うぐんちゃん。その歌は“アダムを愛して本当によかった”というように聞こえます。
ラスト、アダムが一人であられてイヴの死を告げます。そして「花に水をやらなければ」と言います。 エデンにいた頃には「花なんて大っ嫌いだ」と言っていたのにもかかわらず。そしてその台詞は私の 涙腺のツボなのです。聴いているだけで泣けるんだから、観ていたらきっとすごかったでしょう。
考えることは“愛って。”ですよね。いい作品でした。ぐんちゃん自身も「好きだった役」で 必ずあがるこのイヴ。ファンの中でもあげる人がたくさんいるみたいですし。私ももちろん好きです。 でも、やっぱり、何で観なかったんだろう…と、思ってしまうのです。
1999.6.