Hitomi Tsukikage
STAGE HISTORY
  
  
  

  浪漫歌劇  カサノヴァ・夢のかたみ

作・演出/小池修一郎
1994年12月1日〜26日/東京宝塚劇場
ぐんちゃんの役/マリー王妃
新人公演/ジャンヌ(本役/白城あやか)
   星組のぐんちゃん お披露目の公演でした。東京から加わったので、大変だったことと思います。

   本公演も新人公演も大劇場で同期のユリちゃん(星奈優里)の演じていたところに入りました。

 本公演のマリー王妃。フランスへ嫁いで来たもののなかなか宮廷にも国王陛下にも馴染まない 孤独な王妃でした。以前『ドニエプルの赤い罌粟』の時にも"ポーランド女"と言われたことのある ぐんちゃんですが国王ルイ14世のノルさん(稔幸)の台詞に「ポーランドの女はかたくなだ」と いうのがあり、妙にはまっている感じがしました。

 新人公演のジャンヌ。最初の登場シーンはボッコロの祭り。カサノヴァがバイオリンを弾いている ところへ、プリマのルクレツィアにかわって客席で立ち上がり歌い出すのですが、歌い出しは少し緊張気味 でした。(私もなぜか客席でものすごく緊張していて、歌がア〜♪というところから歌詞のところに なった辺りで、歌い出しが成功したことに泣いてました)とても丁寧に歌っていました。"星組にやって きました月影です。星組ファンの皆様よろしくお願いします"とお披露目のシーンを作ってもらったような 気がしました。その続きのワタルさん(湖月わたる)との銀橋でのやりとりはジャンヌの可愛らしさが にじみ出ていました。ジャコモと引き剥がされてしまう時の「バラは、バラは持っているわー」と 叫びながら赤いバラ握りしめている姿が印象に残りました。

 次の登場はジャコモとの再会。ベル・ビューの舞踏会です。ここのシーンからジャンヌは ポンパドゥール夫人へと立場が変わりました。水の精オンディーヌにジャンヌは扮しているのですが、 水色の衣裳がとてもよく似合っていました。幻想のダンスでは大きい男役さんと組むとこうなのね、 と相手役さんがかわるととても雰囲気がかわることを改めて感じました。

 ポンパドゥール夫人としてのぐんちゃん。どちらかというと、花組時代はスーツものが多かったため、 こんな豪華なお衣裳のぐんちゃんは見たことがありませんでした。髪型なども衣裳に合わせてかえなければ なりませんが、すごく気を使っているのがよく分かりました。でも、国王の愛妾・ポンパドゥール夫人と しての威厳や大きさを考えると、まだまだ小さいものを感じてしまいました。威厳を必要とするシーンは そんなわけで、客席から観ていて歯がゆさを感じましたが、ジャコモとの二人のシーンなどで、 自分の気持ちを吐き出すように語るところなどは、やっぱりさすがぐんちゃんと思いました。 細かい心理描写を必要とするところは強いですね。

 組替え直後の公演で、東京から加わって、新公でヒロイン。重くのしかかったプレッシャーのなかで、 (大柄な星組の中で)小柄なぐんちゃんが頑張ったとてもいい公演でした。公演後のごあいさつで、 長のひーこちゃん(舞路はるか)と主役のワタルさんが挨拶している間も、まだずっと緊張を引きずっている 様子で、いつもの元気なぐんちゃんの姿が観られなかったことも、いろんな意味で印象に残っています。

 この公演、本公演も新人公演も"いつものぐんちゃん"の姿を観ることができず、"星組のぐんちゃん"の 苦しい時代 (?) の幕開けを感じました。でも今考えると、この公演が私がぐんちゃんに、完璧に はまった公演なのです。これから始まった3年間の"星組のぐんちゃん"。私にとっては本当に宝物の ような3年間になるのです。

1999.8

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