Hitomi Tsukikage
STAGE HISTORY
  
  
  

ミュージカル・ロマン  二人だけが悪 −男には秘密があった そして女には…−

作・演出/正塚晴彦
1996年5月10日〜6月17日/宝塚大劇場
8月3日〜29日/東京宝塚劇場
ぐんちゃんの役/ジョアン・マクガイヤ
新人公演/ブエノスアイレスの女
 物語の流れに大きく関わっていました。 今回の役どころはブエノスアイレスのアメリカ大使館の二等書記官。というよりは、 マリコさん(麻路さき)演じるジェイを陥れようとしている、ヒロさん(一樹千尋)演じるヒュームの部下 というべきでしょうか。(部下でなくて愛人という噂あり)しかも何食わぬ顔でジェイを見張り、 協力しているふりをして、実ははめようとしていた悪い人なのです。 要するにジョアンがこけると物語全体がこけてしまう役どころなのです。

 まず最初のシーン。ブエノスアイレスに着いたばかりの同僚ジェイとのシーン。 このお姉さんは、仕事も恋もバリバリやるんだろうなという雰囲気でした。

 中詰め、大使館員としての本当の仕事からそれて'レーザーサイト'のことに首を突っ込んでいるジェイに 仕方なくつき合う、ふりでしっかり監視するお姉さん。フェイドアウトの時に「そのイケズ顔を残せ!」という 正塚先生の演出でさりげなくも、これでもかというイケズ顔を残していくぐんちゃん。 うぁ、やっぱあんたが悪い人でしょ、と、観ていて確信しました。

 ジェイが撃たれたと知らせに来たアリシアとの場面。トップ娘役のあやちゃん(白城あやか)との 二人のシーンですか゛、お互いきっちり役どころをおさえた演技であやちゃんと並んでも ぐんちゃんの"やり手のお姉さん"ぶりは立派でした。ジョアンにとっては計画のゴール目前。 ジェイ&アリシアにはめられていることにも気が付かないのよね。

 そして、ラスト。盗まれた'レーザーサイト'を取り返そうとジェイのところへ行くのだが、 罠にはめてるつもりが、自分がはめられているのです。このシーンのキーワードは「裏の車ね。」 怪我をしている(実は嘘)ジェイを気遣うふりをしつつ、'レーザーサイト'の場所を聞き出すことに 成功した喜びに、少しだけにやりとしたのもつかの間、立場が逆転。テロリストのリカさん(紫吹淳)に 銃を向けられ、命乞いをする羽目に。「'レーザーサイト'の場所をいえば助けてやる」といわれ、 しゃべっていまい、あげくの果ての捨てゼリフ。「助けてくれるっていったじゃない!」 なんだか女のいやらしさを感じました。このお姉さんはどんなことでも手を抜かないのです。 自分の命がかかったときには特に…。

 所々の登場でそんなに台詞も多いわけではないけれど、そのひとつひとつの登場シーン・台詞をきっちり、 ジョアンとしての役どころを明白にして、物語のラストのどんでん返しまで持っていかなければならない役を、 本当に細かい心の動きまで計算して演じていたのだと思います。 物語の途中で、客席が「実はジョアンが怪しいんじゃないのかなぁ」と、思ってくれなければならないし。 かといって、それがはっきり分かるようではいけないし。

 かわいい役どころが似合うぐんちゃんの、計算されたヤリ手のお姉さんぶりも、また、計算だったのかなぁ。

  新人公演 ブエノスアイレスの女ということで、通行人、そして踊るの繰り返しでした。
       本公演で大きな役が付いているので、新人公演では役がつきませんでしたが、
       長の学年として、同期のみんなと頑張ってカンパニーを支える役に徹している姿が印象的でした。        

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