「はうぅぅ〜ベタベタするよ――!!」

二人だけでやって来た、月峰神社の夏祭り。
賑やかな屋台を見回ったあと、その喧騒から少し離れた所で休憩中。

全体的には淡い紺色、所々花火を思わせる模様の入った浴衣にその身を包んでいる少女は…

…赤い物体と格闘していた…。

「家に帰ってから食べれば良かったのに」
「だって見てたらとても美味しそうだったんだもん。それに、家に持って帰ったら全部ケロちゃんに食べられちゃうし」
「…確かにそうだな。」
くっくっ、と。少女同様に浴衣を身につけた少年が苦笑する。色合いは落ち着いた灰色に青いライン。
因みに、少年の浴衣は毎年少女のお手製。

(毎年、無理して作ってくれなくても良いんだけどな…)

指に針を刺してしまったり、寝不足になったり…と、その製作過程が大変な事を知っている少年は思うが…
そんな少女の心がこもった贈り物を、素直に嬉しいとも感じている…そして、とても愛しいと…

「はうぅぅぅ〜指までベタベタだよぅ―――」

その声に、はっと少年は現実に引き戻された。
…かの少女は、まだ赤い物体と格闘している…。
「まったく…」
その物体は少女の小さい口には大きすぎるし無理もない。しかも、全体が飴で覆われているのだから。
食べにくい事、この上ないだろう。
それでも少女は何とかしてその味を堪能しようと頑張っている。

「……そんなに美味しいのか?」

つい思っている事が口に出た。

少女は格闘を一時中断し、にっこり少年に向かって微笑む。
「うん!とっても美味しいよ。」
「ふーん…」
「…食べてみる…?」

そう言って少女はソレを少年の前に差し出す。飴特有の甘い香りが少年の鼻腔をくすぐった…
…目の前には赤い物体と…少々べトついてしまっている指先。

「………………………………………」


…………………ペロ…………。


…………………………。
…一拍の沈黙後。

「……ほぇぇぇ―――――!!」

少女の声が木霊した…その顔は赤い赤い林檎飴のようだ。

「…確かに甘いな…。」

―それは林檎飴の感想?…それとも…?―


>おわれ。

***
…とまぁ、そんな訳なんですよ(はっ?
最近(別ジャンルで)切な系ばかりだったので、少し砂吐く位の甘い系イラストが描きたくなりまして。
まぁこれが甘いかどうかは、見る人の判断に委ねますが。私的には甘いのです(断言)(笑

浴衣…また最大最悪の間違いをする所だったよ……(遠い目

***
■鉛筆下書きを取り込んでそのまま主線として使用。微妙な主線修正&着色はペインター6■
(2004.08.11 UP)

》ブラウザの『戻る』で戻って下さい。