黙ってる人
今回は広島奮闘編「日本語の分からない人」シリーズや「客の仕事」で述べたことの繰り返しになる。おんなじことを何度も書くのは、本意ではないのだが、最近黙っている客があまりにも多く目に余るので、新たになってきた怒りを、新たなエッセイで晴らそうと思う。
ある日私ともう一人の店員が、レジから離れたところで、さらにレジに背中を向けた状態で仕事をしていた。このとき行っていたのは検品という作業で、発注した商品が正しく搬入されているかチェックする仕事である。これを行うときはレジが空になりやすいので、作業の合間にレジの方を気にして見るようにはしている。が、やはりそう常に気を張っていられるものではない。
するとスタッフルームにいたオーナーが出てきて一言「レジ並んでます。」見るとレジの前に6、7人もの客が黙って立っているではないか!これにはさすがにキレた。
あのなぁ、レジに店員が一人もいなくて、そんなにたくさんの人を待たせているんだったら、少しはおかしいと思え!!それだけの人数がいて、誰一人として店員に声をかけようとは思わなかったのか!?オマエ等はこっちの仕事が終わるまで待つつもりでいたのか?それともすぐに気づいてもらえるとでも思っていたのか?レジだけが店員の仕事ではないと思ってくれるのはありがたいが、もう少し頭を働かせてこっちだって人間だと思ってもらえればもっとありがたい。
当たり前のことだが店員だって人間だ。レジに客が来たら知らせるセンサーがついてるわけではない。レジだって立派な仕事の一つなのだから、一声かけてくれさえすれば、嫌な顔一つせずに済ませるに決まっているだろう。だいたいなんで今更「当たり前のこと」を言わなければならないのだ。
余談だが、このときレジの状況を知らせに来たオーナーは、そのあと混雑したレジを手伝うでもなく、またスタッフルームに消えていきました。あるのかないのか分からないけれど、一応オーナーの威厳を守るために、このときオーナーが何をしていたのかは書かないでおきますが、声をかけない客より、こちらの行動の方が理解できず腹が立ったというのは、ここだけの話。
また、店に搬入された商品を棚に並べてる仕事なども、店員総出で行うのでレジが空になりやすい。商品を並べる棚は、レジの近くのあるので、このときは検品作業ほど気を張ってレジを気にしなくてもいいのだが、やはり黙ってる客には迅速に対応できないことがままある。
弁当を並べていると、背後でドン とレジカウンターにペットボトルを置くような音が聞こえた。振り向くとレジの前に客が立っている。しかもものすごく高圧的な目で見ている。まるで「何で客が来てんのに、レジにいないんだよ。」と言っているようだ。
お前はバカか!?こっちが仕事をしているのは明らかじゃないか!!店員の仕事はレジだけではない。しかも店員だって人間だ。オマエ等は私に何度これを言わせたら気が済むのだ!?それとも何か、カウンターにペットボトルを置くドンという音で意思表示をしたとでも思っているのか?
私から見たら、オマエ等の方が人間ではないようだ。その気配を消してレジに近づく動作、その眼力、もしかして、オマエ等忍者か!?その高圧的な目は、もしかして店員に気づかれずにレジまで来たぜという勝ち誇った気持ちを表していたのか!?
今の店に来る客は、前の店に比べて、いらないレシートを返すときや、レジに店員がいないときに一言言ってくれるケースがはるかに少ない。他の店がどうなのか分からないが、これは県民性かもしれないなどと思い始めている。
しかし、県民性だからといって片付くわけではない。県民、コンビニ客、コンビニ店員という見方ではなく、「人間」を相手にしているという考え方ができるのなら、自然にできる行為だと思うのだが。
(2001.10.21)
◆Back◆