未成年とタバコ

  私は普段のバイトは夕方からだが、休みの日などに欠員が出ると、朝からバイトに出ることがある。ちょっと前にもそういうことがあって、朝9時から働いていた。すると、制服を着た高校生カップルらしき二人が入ってきた。その日は私は休みでも、世間様は平日だったので、彼らも学校にいく途中なのだろう。と思っていたらだ、女の子の方がつかつかとカウンターまでやってきて一言。「マルメン」

  一瞬戸惑ってしまった。ここに来て伝えるということはこれはタバコの銘柄だ、ということは感じたのだが、マルメンなぞ今まで聞いたことがない言い方だ。何だこれは、何だこれはと1秒に20回くらいの速さで頭の中が回り始めたとき、彼女が「ボックス」と付け加えた。そこでマルメンが「マルボロメンソール」を指すのだと分かったのは、まったく奇跡としか言いようがない。

  心の中で「こんな奴に・・・」というなんとも言えない敗北感を抱きながら、忠告の一言もできぬままタバコを渡し、「ありがとうございましたー」

  違うんだ、そんなこと言いたいんじゃない。だいたいなんで平日の朝っぱらからタバコなんて買いに来るのだ?君たちは今から学校だろう?って言うか、もう始まっているんじゃないか?我が物顔でタバコを買いに来るのは、時間的にも年齢的にも間違っているんじゃないのか?そんなことを心の中で繰り返してみたが、こちらは警察ではないし、あんまり立ち入ったことまで注意しても、返り討ちにあうのが関の山だろう。最近の高校生は恐いし・・・。以前中学生が立ち読みをしながらタバコを吸っていたことがあったが、その時も注意したことといえば「すみません、店内は禁煙なので・・・」情けない。

  私は経験がないけれど、中学生や高校生がタバコを吸いたがる気持ちはなんとなく分かる。早く大人になりたいという気持ち、大人にだけ許された娯楽という限定の魅力、禁止されると余計にやってみたくなるものだ。しかし、最近の中高生にはそういう意識があまり感じられない。というのも、一昔前のようにトイレなどで隠れて吸うのではなく、堂々と吸っているからだ。制服を着ていようが、歩きながらだろうが、自転車に乗っていようが、タバコを手にした中高生をよく目にする。で、他人のことを考えないから、人とすれ違ってもよけようとしない。私はそんな時、いつもやけどをしないだろうかとか、服に穴が空かないだろうか、と不安になる。

  なぜタバコが大人になるまで許されないのか。それはマナーを要するものだからである。ポイ捨てはもちろん、他人を気遣う気持ち、節度を守った喫煙などなど。自販機は時間制限して売っているから、店員だって年齢制限して売ってもいいんだろうなぁ・・・。

  とある店では、タバコを買いにきた高校生に向かって、「ガムでも食っとけ。」と言い放った店員さんがいるらしい。あやかりたいものである。

 

 

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