コンビニの限界

  コンビニ、コンビニエンスストア、その名の通り何でも買える、そろうといった便利なお店である。しかし、それはごくごく日常の生活におけるものであって、突発的な、特殊な場合においては、その名の通りにいかないこともある。

  ある日私がカウンターに立っていると、黒い服を着た男性が二人、慌てた様子で店に入ってきた。彼等はよほど急いでいるのか、歩きながら私に聞いてきた。「数珠は置いてないですか?」私は一瞬絶句してしまったが、「・・・ちょ、っと置いてないですね・・・」と答えた。「あ、そうですか・・・」男性二人は、さっと向きを変え店を出ていった。

  このエピソードを他の店員に話したところ、数珠を売っている店もあるらしいのだが、私にとってはコンビニに数珠なんて、さすがに置いてないだろう。という気持ちの方が強かった。「似て非なるもの」でも話したように、コンビニとキオスクには決定的な違いがある。突発的な状況における対応能力もそこには含まれるであろう。キオスクは駅にあるだけあって、コンビニよりも様々な状況に対応できる品揃えである。電車に乗ってどこかへ行く人々の目的は、コンビニに来る人と比べて千差万別である。コンビニに来る目的は、90パーセントの割合で買い物であろう。その他の目的としては、コピー、トイレの使用、道を聞く、などである。ところが、駅にいる人の目的は、旅行から、仕事、観光、冠婚葬祭のための遠出など、まさにバラエティに富んでいる。

  つまり、キオスクは駅にいる人の車内での、行く先での様々な状況、目的を見越して驚くようなものもで置いてあったりする。例えば、お菓子や雑誌、新聞の他に老眼鏡やネクタイまでも扱っているのだ。日常生活において便利であろうとするコンビニが到底かなう相手ではない。そりゃぁコンビニだって、多少名特殊なケースに備えた商品を扱ってはいるが、限界はある。その深さは、キオスクとは比べ物にならないほど浅いのだ。

  わずかな期待だったにしろ、近くのコンビニに数珠を買いに来るほど突発的な出来事だったのなら、持っていなくても許してもらえるだろう。もしかしたらそれが使われる場所で売っている可能性もある。数珠なんてコンビニに買いに来るものではない。残念ながら数珠はコンビニの限界より外にあったのだ。しかし、そういう店内のことはやはり来てみないと分からないことが多い。だから今回は怒っているというわけではなくて、びっくりしたという話をしたかったのである。

  ところで、店だけでなく店員にも限界はあります。女性用下着の付けごこちなどを男性店員に聞かれても答えられないことは、初めから分かるのではないでしょうか・・・?

 

 

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