店内は禁煙です

  当たり前のことだが、コンビニ店内は禁煙である。最近大きな顔をし始めた、嫌煙家のためなどではなく、消防条例にしたがってのことである。 商品をタバコの火で破損させられてしまっては、店も、喫煙家も損をすることになるからである。それにたいてい、どんな店の中でタバコは吸えない。吸っていいのは、飲食店など限られたところである。もちろん店には「禁煙」なり、「喫煙所」などの張り紙などがしてあるが、人間にはそういう「タバコを吸っていいゾーン」のにおいを感じる器官が付いているかのように、張り紙を見なくても雰囲気でなんとなく分かる(ような気がする)。

  で、喫煙家はそういう感覚を、タバコを吸わない人よりも鋭くしていなければならないだろう。 コンビニに来る客でも、タバコを吸いながら店の前まで来たが、ドアの前の灰皿に、タバコを捨ててから店に入ってくる客がほとんどである。    本来ならば全員そうあるべきなのだが、「ほとんど」といったのは、やはりタバコを持ったまま店に入ってくる輩がいるからだ。

  タバコを持って入ってくる客は、店内が禁煙なのを分かっていないのではない。火をつけたばかりだから、ちょっとした買い物だから、すぐに店を出るから、そんな理由がほとんどだろう。中には本当に禁煙なのを知らない者もいるかもしれないので、ここでも一応「ほとんど」を使用しておこう。 そういう客は、入ってすぐのところにあるガムなどを買って、本当にすぐに店を出ていくので、当店ではまぁ厳しくは注意しないが、レジに来たときなどに「禁煙なので・・・」と一言は言っておく。やはり決まりは守ってもらわないと困るのだ。また、すぐに出るつもりだったが、ガムを選ぶのに予想外に時間がかかっってしまっているような客には、そこまで行って「禁煙です」と言う。そうすると、相手は慌てて謝ってガムを買って出ていくか、外に出てタバコを消してからまた入ってくる。この場合、後者はガムだけを買う予定ではなく他のものも買って帰ることがある。禁煙なのを知らなかった可能性は高い。

  このような人たちは、決まりを守っていないながらも、まだかわいいものである。彼らが出ていった後の残り香は、幼い頃に見たお父さんを思い出させるものだったりする(あぁ、詩的表現)。ところが、ひどいのになると、「禁煙です」と言っても「あぁ、すぐ出るから。」と、悠々と煙をくゆらせ、悠々とガムを選んで、悠々と店を出て行く者がいたりする。オマエの「すぐ」はそんなに悠々なのか!?そんな時店内に残ったタバコの匂いは、なんとなく嫌なものに感じられる。中途半端に許してしまうからこういうことになるのだろうか。やはり徹底的にやらないといけないのか?

  また、店内にタバコを持って入る者の中には非常に厄介なタイプがいる。葉巻くわえ型である。 ある日私が店内を徘徊していると、ちょうどドアの前を通りかかったときに、葉巻をくわえた男が入ってこようとしているところだった。男はドアの前で煙をひと吹きし、葉巻をくわえたまま店に入ってきた。直前に煙を吐いたのだから、まだ火が点いているのだろう、と思った私は、すかさず「申し訳ありません、店内は禁煙となっておりますので・・・」と声をかけた。すると、その男は「あ、これもう消えてるの、ほら。」と葉巻の先に触ってみせた。こんなことをされたらどうしようもない。その時は黙って引き下がったが、その男は、その後また同じことをやらかしたのだ。この際言わせてもらうが、オマエは確かに「禁煙」は守っている。しかし、葉巻をくわえているその姿を、他の客が見たら何と思うと思っているのだ?オマエにとっては煙を吸っていない=タバコを吸っていない、かもしれないが、他の客にとっては99パーセントの確率で、タバコをくわえている=タバコを吸っている、となるだろう。他の客に誤解されるような行為はやめろ!店に入るために火を消すのはいいが、いつまでもくわえているな!また後で吸うつもりだとしても、しまっておいても何の問題もないだろう。オマエはそんなことで成り金を気取りたいのか? 何を勘違いしているのだ。持ち物をさりげなく他の人に見せびらかすことで自分を誇示するなんて低脳のやることだ。そんなことより、店を出てから何気なく懐に手を入れ、タバコをふかす。店の外で悠々とタバコを吸って、きちんと吸い殻入れに捨ててから店に入ってくる方がよっぽどカッコイイ。(もちろんどちらもシブイ表情で)

  改めて言うほどでもないが、店内は禁煙です。みなさまが気持ちよく買い物ができるように、きちんとルールは守りましょう。また、守るなら守るで、徹底的に行いましょう。火は消えていても、くわえていては誤解を与えます。あなたも私も嫌な思いをしたくなかったら、タバコを捨ててから店に入ることを心がけましょう。

 

 

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