世の中には例外というものもあるのだ

  コンビニは物を売るだけでなく、さまざまな役割を果たす。「迷い人たち」で述べたように、道案内をすることもあるし、最近ではトイレを貸すということにまで力を入れ出したようだ。コンビニエンスという意味が、買い物だけでなく、利用というところまで及んできたという証拠であろう。それに合わせて、コンビニの方も変化してきたようだ。今までトイレを貸していなかった店舗も、貸し出しできるように店を改装したところもあるようだ。

  しかし、全部の店が全部トイレを貸し出しているわけではない。現に私がバイトしているところではトイレの貸し出しを行っていない。トイレが店の奥の、事務所兼倉庫のような部屋にあるからだ。そこは客に触れられてはならない情報や、金銭の管理を行っているところだからである。店の造りがそうなっているのだから、決してサービスが悪いのではない。

  ところが、少し前に某コンビニが「全店トイレ貸し出ししています」というCMを全国的に放映した。テレビの力とは恐ろしいもので、それ以来「トイレを貸してくれ」と言ってくる客が激増した。    客が「トイレ貸して」と言ってくるたびに、「申し訳ありません・・・」と言うと「なんで?CMしてるじゃん。」といやみを言われる。オマエは例外というものを知らないのか? 元々は現状を確認せずに身勝手なCMを流したコンビニ本部が悪いのだが、その頼みを断るたびに客にいやみを言われたり、なんとなく罪悪感を抱いたりと、自分が悪いような気がしてきてしまう。そして何より、客にいやみを言われるのは気分が悪い。

  実を言うと、「トイレを貸しています」というCMが流れる前に、うちの店でもトイレを貸している時期があったのだが、店員に一言も言わず、勝手にトイレのある奥の部屋に入っていく客が多くいたので、貸し出すのをやめたのだ。そして何と、奥の部屋に置いてあったものを万引きした客がいたほどだ。貸し出すのをやめるのも当たり前である。それなのに、トイレを貸さないと文句を言う客がいる。たとえごく一部だとしても、トイレを貸せなくなった元凶はオマエ等にあるのだぞ。

  だいたい日本全国に何軒のコンビニがあると思っているのだ。その全部が全部トイレを貸しているなんて、まず不可能だ。「例外」という言葉は何のためにあると思っているのだ!?トイレを貸していないということが分かったら、おとなしく引き下がれ!だいたいオマエ等の目的は「この店でトイレを借りる」ではなく「用を足す」ということのはずだ。つまりトイレを借りるのは、うちではなくてもいいはずだ。それなのになぜ、うちでトイレを借りられないだけでそんなにむきになるのだ?

  トイレの使用を断られたら、ひとまず胸に手を当てて考えてみよう。あなたの本当の目的を、世の中にある「例外」という言葉を。そこでトイレを借りられない怒りは、店員にぶつけるものではないということを。

 

 

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