健康指向ですか?

  コンビニに商品が搬入される。お弁当にサンドイッチ、ヨーグルトや牛乳。私が勤務している時間に入ってくるのは、このようなものだ。私たちはそれらを棚に並べていくわけだが、同じ商品がまだそこにある時には、古いものを前に、つまり今入ってきたものを後ろに置くようにするのだ。 ちなみに、当店では搬入された商品を「敵」と言い、この品出し作業を「敵を倒す」と言う。本文とは関係ないが、おもしろいので紹介しておく。

さて、このように新しい商品が棚の奥の方にあるというのは、以前はスーパーを毎日のように利用するおばさん連中の間では常識であったが、おばさんのこのような特殊な行動を取り上げたマンガのブームがあったためか、今ではこの常識はおばさんだけが持っているものではないようである。コンビニを利用する若い世代、男性までもが、できるだけ新しい商品を求めて、棚の奥の方に手を伸ばすのを見かけることがある。

しかし、それをやられるのを目にするのは、なんとも残念と言うか、わざわざ手前の商品をどけて後ろに置いたこっちの苦労を踏みにじられるようで、やりきれない気持ちになる。それが1リットルの牛乳であったりしたら、あぁ、長く置いておくもんなぁ、家族のこともあるだろうし、なるべく新しいのが欲しいよなぁ・・・と、まだ納得できるが、180ミリや200ミリの牛乳を、必死になって奥から取ろうとしている人を見ると、それ、買ってすぐ飲むんでしょ?消費期限内だから手前にあるのを買っても中身には大差ないじゃん。と言ってやりたくなってしまう。 もちろんこのような行動をすべて目撃できるわけではない。店内巡回中に、手前の商品はそのままで、その後ろががら空きになった棚を見つけて、またやらかしたな・・・!という思いを抱いて、全陳をし直す。その際、そのようなことをされないように、少し工夫してみたりするのだが、防止法はやはり企業秘密ということで、どういうことをするのかここに書くのはやめておく。

  中には一番前に並んでいる商品の日付が、後ろのものと同じでも、一番前に一つ残されて、後ろから取られていることもある。こうなるともう、新しいからという理由がうやむやにされて、後ろから取るということだけが一人歩きを始め、それで安心している人が出てきているようである。目的もクソもあったものではない。    だいたい、コンビニで買っていくようなもは、買ってすぐに食べたり飲んだりするようなものだ。店に並んでいるのは、今食べるのには何の問題もない消費期限のものだ。それなのにわざわざ後ろから、ほんの少し新しいものを取るオマエ等の目的は何だ?そんなことで健康指向ぶられても、しょせんコンビニで弁当を買っているのだから、はた目には不精者に見られる可能性が高い。つまり、後ろから新しいものを取ったからって大したメリットなどないのだ。

  コンビニに並べられている商品は、常に食べたり飲んだりしても問題のない時間内のものである。店員がそれらをチェックすることも、きちんと仕事のマニュアルに組み込まれているのだから。また、後ろから取ろうとして、商品の並びをめちゃめちゃにする客がいる。このエセ健康指向主義者は、闇の棚割り人にもなりうるのだ。従って、新しいから、とかいう理由で前の商品を避けて後ろから取るのは、店員仕事を増やすということしか生み出さないと言っても過言ではない。はっきり言うが、コンビニで「新しいから」と後ろから商品を取るのは、ほとんど無駄な行為である。商品が後ろに退いているだけなら、店員も腹を立てることなく全陳をするだろう。しかし、前一列だけ残して、後ろががらがらだったり、めちゃめちゃだったりすると、腹を立てるということを通り越して、もうなんだか悲しくなってしまう。お願いだから、商品は前から順序正しく取って下さい。 しかしまぁ、「敵」と戦い続けるのが、正義の味方の使命だから、しかたないのかなぁ・・・。

 

 

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