あなたがいらないものは私もいらない

  コンビニでは、電気やガス代、通信販売などの公共料金の支払いも済ませることができる。私は財布から直接お金が出ていくのがなんとなく嫌なので、光熱費は銀行引き落としにしてあるので、そんなに利用するものではない。しかし、最近ではそのシステムがかなり普及してきたようで、月末などはかなり多くの客が、振込用紙を片手に店にやってくる。一人で5枚以上、10枚近く持ってきたり、一度で20万近く支払う人もいる。10万以上の単位など、コンビニではめったにお目にかかれない金額である。一度私は、16万をとっさに読み取れず「1万6千円です。」と伝えてしまったことがある。公共料金の支払いに来る人は、たいていその金額を確認しているので、その時も客に笑われただけで事無きを得たが、ある時には50万近く受け取ったこともあり、今までに見たこともない金額に、受け取るのも確認するのもおっかなびっくりだった。コンビニにこんな大金を持ってくるな、と思う余裕も、なぜ銀行引き落としにしないのだろうという疑問も浮かばず、寛大にも人それぞれ事情があるのだなぁと思ってしまったのは、その大金のせいだろうか。

  さて、このようにコンビニで公共料金の支払いを済ませようとする客は結構いる。そのシステムが、これほどまでに普及してきたにもかかわらず、やはりまだ、どうもご存じない方もいる。バーコードのついていない振込用紙を持って来る者、「バーコードで処理するので、これは扱えないのですが・・・」と断っても「コンビニで払えるって書いてあるじゃん。」と納得してくれない者。支払期限が過ぎたものを平気で持ってくる者、少しくらいの超過なら扱えるものもあるのだが、やはり、これは扱えませんと、レジがけたたましくピィーと訴える。その由を伝えると「コンビニでも払えるって書いてあるじゃん。」と納得しない者。さらには「じゃぁどうすればいいの?」と聞いてくる者。この際言わせてもらうが、オマエの生活費のことなど、知ったことか!こっちは一介のコンビニ店員だ!しかもコンビニで行うのは支払いではなく、その代行に過ぎない。払うべきところに払うのが当然のことではないか!

  とまぁ、公共料金を払いに来る厄介な客をいくつか紹介したが、私が一番嫌なのは、振込用紙に余計なものを付けてくる者である。

  振込用紙というのは、たいてい明細書などと一緒になっている。ミシン線がついていて振込用紙だけ簡単に切り離すことができるようになっているのに、明細やら住所やらが印刷されたものを付けたまま、びろびろ持ってくる者!オマエが今月どれだけ電話をかけたか、私が知りたいとでも思っているのか!?そんなことを思いながら、ミシン線で切り取り、明細など必要ないものを「こちらはお返しします。」と笑顔で客に返す。それを黙って持って帰る者は、許すとしよう。「これは捨てといて。」と、こちらに捨てさせるのも、客のすぐ横にごみ箱があるにしても、まぁ、許そう。しかし、黙ってそれをそのまま置き去りにする奴!こいつだけは許さない。オマエがいらないものを、私が欲しがるとでも思っているのか!?そんな怒りを明細書にぶつけながらごみ箱に放り込む。その時、住所が書いてあるものを、こんな無防備な状態で捨ててしまって大丈夫だろうか、と心配にならないこともないが、こっちはまず悪くないだろう。黙って置いていった方が悪いのだ。だいたい明細などは、支払方法を決める時に付けるか付けないか選ぶことができるはずだ。いらないなら付けてもらうな!!

  ひどいのになると、郵送された封筒そのままで持ってくる者がいる。開封すらされておらず、レジの前でびりびりと封筒を開け、振込用紙を出してみたらバーコードがついていなかった、なんて事もある。 このようなことを繰返す不届き者たちに告ぐ、コンビニでの公共料金の支払いに必要なのは、バーコードのついた振込用紙だけです。その他のものを持ってこられても、コンビニでは全く始末に困ります。また、こちらがお返ししたものは、おそらくあなたには必要なものであると思われます。ご自分で持ち帰るか捨てるかしていただきたいと思います。あなたの住所が書かれたものを、こちらが捨てて、何らかの形で悪用されたりしても、当店では一切責任は負いません。

(2000.2.11)

 

 

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