ないものはない!

  初めに断っておくが、このタイトルの最後の「ない」は打ち消しの「ない」ではなく、強調の「ない」です。つまり、何でもありますという意味の「ないものはない」ではなく、ないものは本当にないのだということが言いたいのである。 書いてて打ち消しと、強調の意味がちゃんと合っているか混乱してきたが、このタイトルの「ないものはない」は、読んでもらえば分かっていただけると思います。

  コンビニに来る客は、自分の欲しいものが確実にコンビニにあるのか分からない時もある。「もしかしたら売っているかもしれない。」という期待をわずかでも持って来る。店に入るなり、店員に「すみません○○は置いてますか?」と尋ねるのだが、その商品がある時は無事に買って帰ることができるが、なかった時は、店員の一言で、あえなく店を出てゆくことになる。 この場合、客の欲しいものが、たとえ店員が「それはさすがにないだろう」と思うようなものでも、客の立場からすれば、「もしかしたら」という気持ちで来ているのが理解できるので、腹が立つことはない。だからって、申し訳なく思うこともないが。(パソコンの部品など、パソコン専門店で買ってくれ。)

  このように、コンビニに置いていないものを欲しがる客はいる。上記のように、店員に尋ねてないのが分かると、たいていはおとなしく帰って行くのだが、中にはどうしても納得がいかないのか、店内を一回りして、本当にないことを確認して帰る者もいる。このタイプはもしかしたら店員の言うことを信用していないのかもしれない。もしそうなら、それはそれで腹が立つが、コンビニにはさらに腹が立つというか、もう呆れ果ててしまう客が来る。

  レジの横には、からあげやアメリカンドックの入ったホットケースが置かれている。この中に入っているコロッケやポテトなどは、店で作るものなので、店内に陳列されている商品よりもずっと数が限られている。多くの客が来る昼などは、それなりにたくさん用意しておくのだが、それでもやはり、それらの商品は、早い者勝ちになる。そして、ラッシュが過ぎると、ホットケースは売り切れた商品の名前だけを掲げ、がらがらといった様を呈することになる。ホット商品が皆無だと、さすがに補充するが、それでももうそんなにたくさんは作らない。 厄介なのはそんな時にやってくる客だ。

  少し遅めの昼食なのか、ラッシュ時を避けて食べるものを買いに来た客が、レジの前でホットケースをじっと見詰めている。やがて目線は、ホットケースの上のメニューが書かれたボードに移る。そして決心したように注文する。「ポテト一つ。」    しかし、ポテトは売り切れている。店員は「申し訳ありません、ポテトはもう売り切れてしまったのですが・・・」と断る。が、オマエがさっき見ていたのはホットケースの中の様子ではなかったのか!?ケースの中にポテトが入っていないことは明らかである。それでも「ポテト一つ」と、さも買えるものだとでも言うように注文するのは、どういう了見だ?オマエの目は何が見えるようにできているのだ!?名前が掲げられていれば、その商品があるとでも思っているのか?

  これが、ケースとメニューを見比べてから「ポテトはないんですか?」と聞いてくる客なら、何の問題もない。ケースにないのが明らかであっても、そこにはやはり「もしかしたら」の意識があるのだろう。中には断っても「作るのにどのくらい時間がかかりますか?」とまで聞いてくる者もいる。そんなにまでポテトが欲しいのには、何かわけがあるのだろうかと、気にならなくもないが、約20分という所用時間を聞くと、あきらめて帰るのがほとんどである。ところが、ポテトがなくても「ポテト一つ」とか「ポテト下さい」と言ってくる客がいるのである。そんな奴等に言わせてもらうが、ないものはない!ポテトやからあげなどは、ケースを見ればそれがあるのかないのか、一目瞭然ではないか!!それでも買おうとしているその注文のしかたは何だ!?ケースを見ろ!!ないものはないのだ!聞いてくるなら「ないんですか?」と言えるくらいの謙虚さを持って欲しいものである。分かったか。

(2000.3.1)

 

 

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