よく知っている人

  街にはコンビニが林立し、まだまだ新店舗ができようとしたりしている。それに伴って、従業員の募集も行われる。学生のアルバイトの定番、かどうかは知らないが、私でさえ仕事が勤まるのだから、コンビニで働いた経験を持つ人というのは、結構多いのではないだろうか。 コンビニの仕事の経験者や、今働いている人も、もちろん客としてコンビニを利用することがあるはずである。 経験者なのか、そうでないのか定かではないが、コンビニの仕事をよく知っているような客が来ることがある。

  まだ寒い頃、肉まんを買いに来た客がいた。しかし、肉まんはさっきスチーマーに入れられたばかりで、まだ食べられる状態ではなかった。一応スチーマーには、客に分かるように「準備中」と張り紙がしてあったのだが、それにもかかわらず肉まんを注文した客には、この際突っ込まないでおく。私がその由を客に告げると、その客はどうしても肉まんが欲しかったのか、代わりの食べ物を探すこともせずに、しばしその場で考え込み、こう言い放った。「じゃ、あれ(スチーマーに入っている肉まんを指して)でいいですよ。きっともうできていると思うので。」これには、さすがの私も閉口してしまった。肉まんは普通スチーマーに入れてから、10分から15分くらい加熱しないと食べられる状態にならないのだが、その時の肉まんは、スチーマーに入れてまだ5分も経っていなかった。コンビニの仕事の経験者だとしても、この客に「もうできている」と判断させたものは何だったのだろうか。その客に、まだ冷たく固い肉まんを売ってもよかったのだが、やはりサービス業なので、できていないということを納得させ、おとなしく帰ってもらった。

  また、大きなペットボトルの飲み物や、雑誌、袋入りの菓子などと一緒に、弁当を買っていく客がいる。弁当以外のものを大きい袋に入れて、弁当を弁当用の袋に入れて渡そうとすると「一緒でいい」と言われることがある。全部一緒でも、弁当を平らに入れることができる場合はいいのだが、他の買い物があまりにも多すぎて、一番大きな袋でも、弁当を平らに入れることはおろか、一緒に入れるスペースすらないことがある。 ある時私は客のそんな注文にそうことができずに「入らないんですよ」と断ろうとしたら「入るって!」とどう見てもそれを入れるには小さすぎる袋に、弁当を無理矢理押し込んで帰っていった客がいた。客が自分でやったことだから、別にそのあとの客の行動に怯えることはなかったのだが、仕事としてやっているこちらの判断を無下にされたような気がして、なんとなく腹が立った。

  この際言わせてもらうが、コンビニの仕事を知っているのか知らないが、こちらの仕事に自己判断で余計な口を出すな!客として来ているオマエ等に、店の何が分かるというのだ!?世の中には、言わなければならないこともあるが、言わなくてもいいこともあるのだ。そこら辺、心しておくように。

(2000.5.14)

 

 

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