日本語の分からない人(その2)

  コンビニでコピーができるのは、もう当たり前のことになっている。最近ではカラーコピーまでもが、当然のこととなりつつある。店や紙の大きさによって、多少違いはあるかもしれないが、白黒なら1枚10円、カラーなら1枚50円というのが相場だろう。 そんなコンビニのお手軽コピーを利用する客は、学生から習い事をする主婦、会社勤めをする人など、どこの店にもたくさんいるだろう。

  うちの店は、結構なビル街にあるので、会社勤めをする人の利用がかなり多い。そして彼らがコピーをしていくものは、会社で使うものであることが多く、彼らのほとんどはコピーをした後で、レジまで領収書をもらいに来る。 コンビニのコピーは、レジを通さなくても自由に使えるシステムになっているのがほとんどだと思う。うちの店も例外にもれず、コピー機の横に設置されたコピー専用の料金箱にお金を入れれば、コピーが使えるというものである。このようにコピーに関しては、レジでお金のやり取りをしないので、領収書が欲しい場合は、コピー終了後の自己申告制となっている。今日もコピーの領収書を求める客がやってきた。

  「すみません、コピーの領収を切ってもらいたいのですが・・・」「はい、おいくら分でしょうか。」「5枚。」    この会話が成立していないのがお分かりだろうか。私が領収金額を表す「いくら」かとを聞いたのに対し、相手はコピー枚数を表す「5枚」と答えている。白黒であれカラーであれ、コピー5枚分がいくらかがすぐに分からないわけではない。「白黒ですか、カラーですか?」「カラーです。」「250円ですね。」こんなやり取りの後、ようやく領収書が発行される。 俺は仕事中で忙しいのだと言わんばかりに、少しのことをやたらと急かす客がいると思えば、1度で済むことを、2回3回と段階を踏ませる客もいるというのは、全く不思議なことである。

  カラーコピー5枚は、簡単すぎる例である。これが14枚とか32枚とか言われると、普段計算はレジに頼りっきりの店員としては、一瞬パニックに陥りかねない。また、うちのカラーコピーはA3サイズは80円となり、「A3が8枚とあと12枚」とか言われてしまうと、金額の計算が掛け算だけでは済まない。まさにパニックである。あたふたと電卓を取り出し、計算し、確認を取る。しかし思う、オマエが初めからいくらかと言っていれば、こんな手間もかからず、恥もかかずに済むのではないか?私は「おいくら分ですか?」と聞いたのだ。それに対する正しい答えがなぜ言えないのだ!?オマエは日本語が分からないとでもいうのか?

  ひどいのになると「おいくら分ですか?」に対して、コピーしたものの束を指して「これだけ分。」と答えるのが出てくる。金額の計算だけでなく、コピーの枚数までこちらに数えさせようというのだ。「18枚ですから、900円でよろしいですか?」と確認を取ると「あぁ、そう。」という答え。オマエは何枚コピーしたのか、いくら使ったのか、たったさっきのことすら分からないというのか!?

  どうせ会社から金が出るんだ、と無頓着でいてもらってはこっちが困る。あなたには領収書をもらうという仕事があるのですから、コピーの最中でも、何枚コピーをしたのか、いくら使ったのか気にかけて下さい。何事もスムースに行えれば、気持ちがよいのではないでしょうか。

(2000.6.11)

 

 

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