日本語の分からない人(その3)

  コンビニのレジの横には、たいていガラスのケースが置いてある。オレンジ色の光に満たされて、中は6,70度くらいに保たれているホットケースである。この中に入っている商品は、フライフーズ(略してFF)と呼ばれるもので、店で調理されたものであることが多い。FFはアメリカンドックやフランクフルトなどの定番を除けば、たいていがコンビニのオリジナル商品であり、同時に店の看板商品である。客の中には、それを食べたいがためにわざわざコンビニを選んで来る者もある(はずである)。

  ところが、このFFを求める客の中にも、日本語の分からない人がいるようである。ガラスケースの外から商品を指差し「これを下さい。」と言ってくる客がいるが、オマエ等に一言言いたい。オマエは商品の前に掲げられた商品名を示したプレートが見えないのか? コンビニがその看板商品の名前を隠すようなバカな真似をするわけがない。たとえホットケースの中だろうと、商品の前にはその商品の名前が書かれたプレートが置かれてある。もちろん日本に住むたいていの人が分かるはずの日本語で書かれたものだ。それなのに、その名前を店員に告げずに、ケースの外から商品を指差して「これを下さい。」とはどういう訳だ!?オマエ等はそんな日本語も読めないとでも言うのか!?だいたい、客に分かりやすいように商品が置いてあるケースの外から指を差されても、店員がいるカウンターの内側からでは、どの商品を指しているのか分かりにくい。その場合店員から「からあげですか?」とか「コロッケですか?」と確認を取ることになる。 某有名ドーナツのチェーン店では、そのようにされた場合のマニュアルとして「お名前でお願いします。」というのがあり、そう言われた客が自分の名前を答えたという笑い話があるが、私もいつか「お名前でお願いします。」と言ってやりたくて仕方がない。

  この様な客の態度は、分からなくもない。自分の欲しいものを自分で手に取って、会計を済ますコンビニのシステムにおいて、店員とのコミュニケーションは例外的なものかもしれない。私も客としてコンビニを利用した時、ホットケースの中の商品を買うのに、少し恥ずかしいような思いを抱いたことがある。しかし、そこで自分の欲しい商品の名前をはっきり言えないようでは、本当にその商品が欲しいとは言えないのではないだろうか。

  コンビニが看板商品として、(おそらく)一生懸命考えた商品名を、覚えろとまでは言わないが、買おうとしたその時くらいはきちんと呼んで欲しいものである。 今度ケースの外から指を差して買おうとする客が来た時は、絶対に「お名前でお願いします。」と言ってやる。商品名が書かれたプレートが読めないわけがなかろう。

 

 

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