贅沢な恋心

やっぱり
自然をうたおうなんて
私には無理
だって
何を見ても
君を思い出すんだもの

 

 

行き場のない悲しみ
まるでそれは
行き場のない私に
生き写し

行き場もなく
街を彷徨えど
生きた心地もなく
生き長らえる

生き字引
生き仏
生き恥さらし

行きつ戻りつ
意気消沈
行きし帰りし
息絶え絶え

行き場のない悲しみ
今日もそれは
行き場のない私の中で
生き生きと
息づいている

 

 

誰も誰も誰も
邪魔をしないで
ずっとずっとずっと
君だけを
好きだと言わせて

 

 

「恋する化け猫」

暗闇なんて恐くない
だって私は猫だもの
他より体が大きくて
ほんの少し欲深いだけのこと

行燈の油を舐めに
なんてウソ
夜ごと君の枕元に現れるのは
君の姿を見たいから

時には猫なで声で近づいて
君が私に触れたなら
もうもう
天にも昇る気持ちだわ

だからずっと可愛がってね
私以外の誰かを
私以上に可愛がるなんて嫌よ

君に恋人がいるのなら
このとがって爪で
ひっかいてやろうか
この鋭いキバで
かみついてやろうか

否否
いっそ
呪い殺してしまおうか

暗闇なんて恐くない
だって私は猫だもの
先が見えないなんて
慣れっこなのよ

暗闇なんて恐くない
だって私は猫だもの
九つの命を使い果たしても
君を手に入れてやるから

 

 

ねこ ねこ
小春日和の
楽天主義者よ
私もお前みたいになりたいな
昨日言われたあの人のキツイ一言
三歩歩いて忘れてしまいたいから

ねこ ねこ
日だまりの
刹那主義者よ
私もお前みたいになれるかな
悲しみのどん底に突き落とされても
背中で着地なんてしたくないから

ねこ ねこ
超がつく程の
物質主義者よ
おいしいごはんをあげるから
その秘訣
どうか私に教えておくれ

 

 

「M」

君をまるごと包み込む
大自然の大地のようになりたいんだ
だから
ねぇ
この僕を思い切り
踏みつけてくれないか

 

 

女海賊タバコをぷかり
大海原のまんなかで
遠くのお城を眺めては
憧れてるよお姫様

お姫様はケーキをぱくり
大きなお城の窓越しに
大海原を眺めては
憧れてるよ海賊業

びんぼう詩人はタバコをぷかり
人であふれる街のなか
はかない夢を求めては
憧れてるよ海賊業

びんぼう詩人はケーキをぱくり
大きな孤独のまんなかで
大きな自由を求めては
憧れてるよお姫様

 

 

君のくちびるが
私のくちびるを
探り当てる夜
君の舌は
私の扉を開く
やわらかな鍵

 

 

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