CANDY MOON
君の笑顔が
あんまり素敵で
この口は
「好き」としか言えない
この胸は
「きゅう」としか言わない
「冬の朝」
目覚めることができない
夢の中でさえ
見つからない君を
相も変わらず
探し続けるので
まるで
現と同じで
目覚めることができない
「なりそこないシンデレラ」
「12時までに帰ってきなさい」
母の言葉を無視して
「今夜は帰りたくない」
と言った途端に切り出された
別れ話
「CANDY MOON」
未だ暮れぬ
明るい空に
昇る月は
ソーダ味
しゅわしゅわ
ぷくぷく
はじける味は
はじまりかけた恋の予感
暮れかけた
低い空に
昇る月は
イチゴ味
甘くて
甘くて
とろける味は
生まれたばかりの恋の喜び
日が沈み
暗い空に
昇る月は
オレンジ味
甘くて
苦くて
ころがる味は
楽しむくらい余裕のある嫉妬
とっぷり暮れた
高い空に
昇る月は
レモン味
すっぱくて
すっぱくて
しびれる味は
きりのない疑い別れの予感
明けかけた
白んだ空に
昇る月は
ハッカ味
辛くて
スース―
貫く味は
きっぱり告げる別れの言葉
いろんな味の
満ちた月
三日月形にとけるまで
ゆっくり口であたためて
舌を突き刺す痛みも覚えて
心臓発作を起こすから
私の視界に入ってくるな
なんて言いながら
あなたのこと
目で追ったりしてる
そうやって
あなたが鼻で笑うたびに
私の淡い思いは
吹き飛ばされてしまうから
「好きです」なんて
言わないでおこう
ほんの一週間前まで
迷っていた発車直前
飛び乗った恋愛特急
置いてきた荷物は
忘れ物なんかじゃない
「ねこ」
あたしを誰だと
思っているのよ
ライオンと同じ血だって
流れているのよ
こんなどん底
すぐに這い上がって
みせるわ
「雑貨屋」
酒器
椅子
苔玉
ティーセット
ビーズクッション
ミリオンバンブー
モダンでも
サイバーでも
ナチュラルでも
思い描くライフスタイルの中には
必ず
あなたがいます
「帰りたくない」
と言ったら
君は
呆れた顔をするんだろう
そういうところが
好きだと思っていたけれど
「帰りたくない」
と言ったら
「帰したくない」
と言ったあなたに
恋は
疑いようもなく
あたしを
抱きしめている
あなたの
その腕の中でなら
もう
どうなっても
いいわ
あなたの呼吸が
こんなに近くに聞こえる夜は
あたしの
この手も
この唇も
この胸も
あなたのために
存在しているのよ