i'll not say too good
ネコの瞳は
私を嘲笑う
あの人の瞳みたい
その内に
どこか
温もりを秘めて
「ゴールド×プラチナ×ゴールド」
その輝きは
未だ私を捕らえない
ごきげんな
母の胸には
父が贈ったネックレス
その輝きは
未だ私を捕らえない
なるほど父は
母のことを
よく分かっているみたい
その輝きは
未だ私を捕らえない
母でさえ
全て金とは
いかないのだから
その輝きは
未だ私を捕らえない
私の瞳に
羨望とは違う
何かを認めて父は言う
なぜなら
その輝きを
未だお前は受け止めきれない
「五感と病床」
きのうは
いちにちじゅう
ねていた
カーテンをしめきって
ひるもよるもなく
くすりのじかんの
すこしまえには
においのかんじないはなと
あじのかんじないくちとで
しょくじをとった
そして
いちにちじゅう
ねていた
だけど
このひとみは
きちんとあなたをみつめていた
このこまくは
きちんとあなたをとらえていた
それから
このからだは
きちんとあなたにだきしめられていた
きのうは
いちにちじゅう
ねていた
すべては
あなたにつながっていた
まぼろし
「半分」
何かが
足りなかったり
余計なものが
ついていたり
みんなどこか
不完全
一緒にいれば
プラスマイナスゼロ
だけど
それが
男と女という区別じゃ
広すぎる
せめて
あなたとあたしって
決まっていれば
いいのにね
「ジグソーパズル」
出っぱっているところ
へこんでいるところ
そこにぴったりはまる
隣り合ったピース
出っぱっている父
その隣りのへこんでいる母
その下には出っぱっている兄と
その隣りのへこんでいる義姉
そういう風に
その下のへこんでいるあたし
ただいま
隣りにはまる
出っぱったあなたを
捜索中
「不安―暴走の果てに―」
あなたが間違っている
あなたが間違っている
あなたが間違っている!
そう思う自信とモラルはあるけれど
奪う勇気もセオリーもなくて
あがく
もがく
寄せる波が恋ならば
返す波が失恋でしょう
そして私は
あなたを諦めるのではなくて
いずれ
他の誰かに恋をする
他の誰かに恋をする
他の誰かに恋をする?
「初対面」
どうせ
野暮な質問しか
できないわ
「狂信者の死」
悪夢ではなかった
しかしそれは
確固たる信仰を
間違いなく犯した
イチゴを与えた神に
感謝することも忘れ
ドーナツに満たされ
時は過ぎる
紫煙
レンズ越しの君は
軽蔑するだろう
その自信過剰を棚に上げ
寝室 眠る君
絶え間ない歌声
そのくちづけは裏切り
あるいは冒涜
種あかしの後の謎解き
赤い本
隣りに座るはずの君は
今はただ遠のいてゆく
君の腕 君のくちびる
水色の毛布ははぎ取られ
その横にすべり込む
あからさまな誘惑
眠りとともに消えたのは
かき集められた
一瞬の幸福
君の偶像
置きざりの恋人
罪悪感を乗せて車は行く
君は知らない
望まない卵を受け取る悲しみ
狂信者は死んだ!
音もなく降る雨の中で
忘れたはずの深く澱む毒
もしくは鈍器
侵食され
歪められ
そこに残るのは
もはや疑わしい 君への信仰
あたしは君を信仰する
まるで狂信者
魔女狩りなんて
クソくらえ
火あぶりでなんかじゃ
あたしは消せない
あたしの中は
君への信仰が
音をたてて燃えてる
にわか雨
どこかに虹を隠して
この空はあなた
「Love Pirate」
あたしは一人海へ出る
あなたという宝を求めて海へ出る
あたしの小舟は頼りなく
波に揺れる
穏やかな空
凪の海
風のにおい
雲のかたち
小さな変化に大きな海は
荒れくるう
あたしの小舟は頼りなく
波にもまれる
それでもあたしは一人海へ出る
あなたという宝を求めて海へ出る
あたしの小舟は頼りなく
波に揺れる
波の上の宝
蜃気楼
あなたの髪
あなたの耳
小さな光は大きな闇の
道しるべ
あたしの小舟は頼りなく
波を進む
あたしは一人海へ出る
あなたという宝を求めて海へ出る
「あたしを」
ネコを愛するみたいに
あなたを愛せたらいいのに
ネコが愛するみたいに
あなたが愛してくれたらいいのに
家族を愛するみたいに
あなたの家族を愛せたらいいのに
家族が愛するみたいに
あなたの家族が愛してくれたらいいのに
街を愛するみたいに
あなたの街を愛せたらいいのに
街が愛するみたいに
あなたの街が愛してくれたらいいのに
神サマを愛するみたいに
あなたを愛してる
神サマが愛するみたいに
あなたは愛してくれないけれど
あなたがあなたを愛するみたいに
あたしを愛して
なんて言わないから
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