『スピードの向こう側』 |
って言ってもいきなりこれだけじゃなんのことか分からないですよね(^^;;
んじゃ登場人物に説明してもらいましょうか(笑) |
『スピードも死も同じだ それを越える事などできねーだろーよ だがよ……それは在る スピードと死の狭間にある一瞬のひらめき!! そいつがスピードの向こう側だとしたら……』 |
と、まぁ作品中でもはっきりされてないんですが(爆)
感覚的にはなんとなく分かるような気がしません? バイクに乗った事がないと分かりづらいかな。 え?単車乗りだけど分からない? ……スイマセン、実は私もいまいちよく分からないです(爆) ま、それはともかく。 私にとってこの漫画はけっこー重要な意味を持ちます。 それはなに故かというと。 これ読んだ事がバイクに乗るきっかけだったんですね。 そう、こんな単純な理由で乗りたくなったんですよ(笑) そのころ丁度なんやかんやあった時期で、けっこーいろんな事悩んでたりしてたんですね。 まぁ、くだらないことばっかだったんですが。 何がしたいのか自分でわからなくなってたんですな。 その時にこの漫画を読んで「あぁ、バイクっていいなぁ」とか思ったんですね。 違うな「私もスピードの向こう側を見てみたい」とか思ったのか。 バイクのシーンが多いわけじゃないしね(^^;; (なんせいわゆる”ヤンキー物”だし) 「スピードの向こう側」は結局今もって見れないままなんですが。 今はそれよっか「バイクに乗ること」そのものが好きですな。 だからツーリングも「何処か行きたい所があるから」じゃなくて、ほとんど「乗りたいから行く」 んだね。 もっとも、某車のCMのように「知らない日本を走ってみたい」てな思いも強く あるんですが。 って話しがずれてる(^^;; まぁそんな訳でこの漫画&台詞は大切なんですが、実はもう一個あります。 それは…… |
「耳ごうど鳴つてさっぱり聞けなぐなったんちやい
すべてあるがごとくにありかがやくごとくにかがやくもの おまへの武器やあらゆるものは おまへにくらくおそろしく まことはたのしくあかるいのだ みんなむかしからのきやうだいなのだから 決して一人をいのつてはいけない ああ わたくしはけつしてさうしませんでした」
「みんなのほんたうの幸福を求めてなら 私たちはこのまゝこのまっくらな 海に封ぜられても悔いてはいけない 永久におまへたちは地を這ふがいい さあ 海と陰湿の夜のそらとの鬼神たち 私は試みを受けよう」
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まあ、この二つの詩なんですけど。 誰の詩か分かった人いるでしょうか。 実は宮沢賢治さんです。 それまでは”銀河鉄道の夜”の名前くらいしか知らない程度だったんですが、この漫画で 「詩人 宮沢賢治」に興味を持ちました。 で、現在詩集を2冊ほど持ってるんですが、実はあまり読んでません(核爆) 宮沢賢治さんのことについては機会があれば別に書きますが、この詩が出てくるシーンを読んだときは なんかこう震えがはしりましたよ。 とくに上のほうのは昔の自分に重ねてたのかな? ま、今も大して変わっちゃいませんが。 ただこの詩を思い出す時はある登場人物も同時に思い出すんです。 その名は天羽”セロニアス”時貞。 簡単に紹介するとギター弾きでバイク乗り。 ずっと一人で。 いろんな事で苦しんで。 到達できない場所にたどりつこうと悩みぬいて。 ようやく到達して開放された直後に事故死してしまうんです。 これだけじゃなんのことかさっぱりだとも思うんですが、これ以上の説明はどうかご容赦を。 言葉にならない想いと共に心に刻み込まれたキャラクターなもので、うまく言葉に出来ないんです。 読んだ事がある人となら天羽について話せるとも思うんですが。 とりあえず気が向いたら読んでみて下さい、としか言えないかな。 コミックスでは九巻〜十五巻に登場しますので。 ちなみに一時期仲間内でなぜかミドルネームを名乗る事がはやった事があるんですが、 ”セロニアス”だけは名乗れなかったし、誰にも名乗らせませんでした(笑) んで、私が何と名乗ってたかというと「ザ・ド外道」だったりするんですが(自爆) では最後に彼が亡くなる直前の台詞を紹介しますね。 |
「解き放たれた!オレは解き放たれた!!
そーだよ?……オレは もう…オレにはわかってる… オレが欲しかったのは… オレ自身が生きることの意味だったんだ そしてオレは手に入れたよ それを…… 誰だってそーやって生きていく…… 自分が望んだ今日を手に入れるために…… 問う事すら拒絶するこの街で…… 奇形の翼を震わせる… 恐れや蔑み喜びや憐れみ…… 人と違うとゆーことは… 決して間違いなんかじゃない……!」 |
この直後彼は猫を避ける為に単独事故を起こし亡くなります。
彼は漫画のキャラクターです。 そんな事はわかってます。 それでも彼が亡くなってしまったことが悲しく、寂しかった。 それでも。 それでも、最後の最後とはいえ”自分の生きる意味”を見つける事が出来た彼は幸せだったんじゃない かな、なんて思います。 もっとも、その人にとっての幸不幸は他人がとやかく言う事じゃ無いですが。 いつか私も”生きる意味”を見いだしたいなぁ。 ……いや、見いだそう!! 補足:「特攻の拓」は抽象的な表現及び言葉が非常に多く、「なんだかなぁ、これ」っていう場面も やっぱり多く、さらにはヤンキー物にありがちな大げさな暴力シーンも多数出てきます。 人によってはまったく面白くないであろう事も書き添えておきますね(笑) |
参考資料 講談社 週間マガジン連載作品 全24巻 原作 佐々木 飛朗斗 漫画 所 十三 |