いつかこの右手に……

 

考えてみるまでもなく、俺にとってバイクって本当に大きな存在なんだよな。

今、いきなりバイクに乗ることを奪われたとしたら。

何かの事情で「降りなきゃ」ならなくなったら。

はっきり言ってそんな事になったらどうなるのか想像もつかない。

間違いなく

「俺が俺で在る為に」

バイクは必要だから。

 

ずっとずっと乗り続けて行くつもりであるし、

寧ろ「乗り続ける!」とはっきり断言出来る。

間違いなく今、そう思っている。

 

ただ時々思うことは。

何時かどうしても降りなきゃならない時が来たら。

あるいは何時か降りる時が来るとしたら。

その時ってどうなってるんだろうね?

俺の好きな漫画の中に「荒くれKGHIT」ってのがあるんだけど、

その中の台詞でこういうのがある。

 

「何時かこの左手でクラッチを切り、

エンジンをおとし、

二度とプラグから火を飛ばさなくなる日が来るとしても。

この右手はしっかりと

お前を掴んでいるぜ」

 

さて、俺はどうなんだろう?

この左手でクラッチを切り、二度と繋ぐ事が無くなる日が来たとき。

この右手は誰かを、あるいは何かを掴んでいるんだろうか?

探し物は見つかっているんだろうか?

 

でも先の事だからなぁ。

そんなこといくら考えたってわかりっこない。

 

ただ俺は欲張りだからね。

この左手でクラッチ握って、

この右手で誰かを、あるいは何かを、

ずっとずっと掴んでいたいな。

よろめきながらでもさ。

大事な物は両方の手で

どちらかを棄てることなく掴んでいたいな。

 

でもこれも先の事ではあるよな。

なんせ今右手は空なんだから。

 

とりあえずはさ。

この右手に掴む物を探して

旅を続けて行こう。

そしてもし見つけたなら。

手放す事の無いように。

そうやって歩いて行きたいね。

それとも本当の旅ってヤツは、

右手に掴む物を見つけてからが

始まりなのかも知れないね。

 

いつかこの右手に掴む物……

俺は今、探してる。

 

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