「いーなー。

にーさんには好きなものがあって。

……あたしそこまで好きなものないなーー」

「「いまはない」ってだけの話でしょう。

きょうまいたタネで あした花が咲くわけでなし」

(中略)

「……にーさんには星があるけど、

あたしにとっての”星”は見つかるかなーー」

「蓼子(りょうこ)ちゃんの”星”かどうかは

蓼子ちゃんにしかわからないよ。

でもぜったい見つかる」

「ぜったい?」

「(星空を仰ぎながら)あんなにいっぱいあるんだからさ。

あした見つからなくてもあさって。

でなけりゃそのさき。

見つけたいと思っていればかならず見つかるよ。

星はなくならないから。

……あ、ありゃ金星だ」

「もうそんな時間かぁ」

「じき夜が明ける……」

(ひとつ、

またひとつ、

薄明に とけていく。

でも なくなったわけじゃない。

星はいつも 空にある)

(中略)

(星はいつも 空にある。

いまも そこにある。

いつか あたしの星を手に入れる)

 

冬になると。

夜空を見上げる事が多くなる。

まぁ、冬じゃなくても、たとえばツーリング行けば星空見上げて

夜を過ごす事が多いんだけどね。

今まではね、星空見上げて何を思ってたかっていうと、ごく単純に

「綺麗だよなぁ……」

ってのと

「自分からすれば何の知識もなく見た場合、ただいくつもの光りが

光ってるだけにしか見えないのに、昔の人はいくつかの星を繋げて

ひとつの絵(つまり星座ね)として見て、そればかりか物語まで

作ってしまったんだから、その人達の想像力って凄いなぁ……」

って思ってたのよ。

でまぁ、最近はこれに加えて上記のシーンも思い浮かべるように

なったんだね。

なんでかっていうと私も”星”を探して旅してるから。

単純に”やりたいこと”っていうのとはちょっと違うかも知れない

けどね。

いつか必ず手に入れられると信じよう。

ひょっとしたら「手に入れたい」と思って旅してる事こそが「手に

入れたい」モノなのかも、ね。

あなたの”星”は何ですか?

 

さ〜てっと。

ちょっと固くなっちゃったけど、ここらで作品解説。

「昔から頭よくて、おとなしい子で、いい学校入って、いい会社入って」

とまぁ「近所でも有名ないい子ちゃん」だった「今泉さんちのにーさん」

ところがそのにーさん。

いきなり会社辞めて向こうでの仕事まで決めて山奥で一人暮らしを

始めちゃったとさ。

みんなびっくり。

蓼子ちゃんもびっくり。

そんな蓼子ちゃんの所ににーさんからお手紙が届きました。

「星を見て暮らすため下記住所に引っ越しました。

いちど星を見にいらしてください」

とね。

これを見た蓼子ちゃん。

「……あったまいーヒトの考える事はわっかんねー……」

とかいってますが、なんと片道9時間かかる其処まで訪ねに行きます。

おぉっと、ここで勘違いをなさいませんよう。

別に恋人って訳ではございません。

むかし家庭教師をしてもらった事があるだけでございます。

まぁ、そのときにお互い星が好きだって事がわかって、それなりにうち

とけてはいたようですが。

では何故訪ねていったか。

早い話が家出でございます。

「これといった特技もないし、アタマは十人並み。

やりたい事さえ見つからない」

と悩んでいるのに親は

「ちゃんと勉強しろ。進路をはっきりしろ」

とまぁ、せかすのでなんだか息詰まっていたようでございます。

そうして訪ねていった訳ですが、なんだかのほほんとしたにーさんに

八つ当たりしてしまって自己嫌悪に陥ったりする蓼子ちゃん。

まったくもって人とはなかなか素直になれないものでございます。

ところがある晩誘いに乗って星空を見に行くと、それはもう素晴らしい

星空が見えた訳です。

そんな時、ふいに口をついた言葉が上記の

「いーなー。にーさんには好きなものがあって……」

であった訳でございまする。

ってなんかヘンな口調だな(^^;;

う〜む、これはやはり某漫画の影響だろうなぁ……

ってのはおいといて。

これが第1話の大体のあらすじ。

のこり4話の全部で5話一巻で完結。

この二人の他にもなんとも魅力的なキャラクターが出てきます。

なんだかのほほ〜んとしてほんわかするいい漫画なんで古本屋ででも

見つけたらご一読をばしてみてくださいな。

 

参考資料   わかつき めぐみ  著     講談社刊 

「少女フレンド」及び増刊に不定期連載していたらしいデス。

 

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