〜長良川鉄道・北濃駅〜

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 北濃駅は、長良川鉄道下りの終点である。岐阜県郡上郡白鳥町の北部、高鷲村に近く、標高446mに位置する。
 かつて、旧国鉄に、岐阜から福井へと本州を縦断する路線の計画があった。越美線という。大正から昭和にかけて、岐阜・福井両側から工事が開始され、完成した部分が先行開業された。即ち、岐阜側の越美南線、福井側の越美北線である。しかし昭和55年、中間数十キロを残して、越美線の計画は中止となる(下の関連年表参照)。
 北濃駅は、越美南線最北の駅であった。郡上八幡を過ぎ、白鳥駅を越え、今は無人駅となっているこの駅に立つと、その彼方に鉄道の延伸を待ち望んでいた人々の思いが想像される。映画『萌の朱雀』が描いたように、思いは、或いは狂気にも至るものだったかも知れないのである。
 マスメディアにはしばしば、公共事業の無駄を声高に唱える進歩的な文化人達が登場する。彼らの主張が多く正鵠を射ることは確かであるが、彼らのほとんどがインフラの十分に整備された大都市の住人であることも、また事実である。
 現在、白鳥町、高鷲村を貫いて、東海北陸自動車道が延びている。

関連年表
大正12年10月5日
越美南線 美濃太田−美濃町(現美濃市)、開通
昭和9年8月16日
越美南線 北濃までの72.1キロ、開通
昭和9年
越美北線着工
昭和35年
越美北線 越前花堂―勝原、開通
昭和47年
越美北線 勝原―九頭竜湖、開通
昭和55年12月
国鉄再建法施行、これにより越美線の工事中止
昭和61年12月11日
越美南線、第三セクターの長良川鉄道として再発足
【参考HP】
「えつみリバーサイドくらぶ」越美線について
岐阜県市町村行政情報センター「がんばるゾーン」

※各枠最下段の数字は、左から二桁ずつ平成年・月・日


 ホームに停車中の列車。画面奥が白鳥駅方
向。右手に転車台が見える。
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 転車台側から、ホームを撮る。右下の黒い
部分は転車台のために掘られた穴。
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 ホームを下りた端にある北濃駅の標示板。
線路は、この少し先で終わっている。
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 左写真の線路の終端に留めてある列車。写
真奥は、高鷲村方向。
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 転車台。小型のもので、右手の黄黒まだら
のハンドルを押して回転する。

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 転車台。円筒形の穴の内周に沿って、回転
のためのレールが敷かれている。転車台の両
端にある車輪が、そのレールの上を滑る。
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 ホームを下りたところから見た駅舎。右が
白鳥方面。
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 駅舎、表側。右が高鷲村方面。右手にJR
バスを待つハイカーの姿が見える。
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 北濃駅前の国道156号線。画面奥が、高
鷲村・ひるがの高原方向。
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 駅舎内部。かつては駅員のいたことを偲ば
せる構造である。

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 駅舎内部。左写真の右手。待合室のベンチ
ちなみに、右側の窓の外は、長良川鉄道を利
用する通学生のための駐輪場である。
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 北濃駅を出発した列車(しばしば一両)は
白鳥・郡上八幡方面へ向かう。
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 建物や道路が少しずつ新しくなってはいる
が、まだまだ懐かしい風景が車窓に広がる。
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