工藤 茂 『L.C.C.の人々』                               

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平成十五年三月 檸檬新社発行 B6版 89ページ 1200円

 1989年の夏、私は初めてHawaiiへ行った。Hawaii大学の、Leeward CommunityCollegeで日本文化の講義をするためであった。6月、7月の2か月滞在した。Hawaiiは、もっと正確に言えば、Hawaii諸島のO'ahu島は、日本の夏とは違って日陰が涼しくて、たいそう過ごしやすかった。つねにさわやかな風が街を吹き通り、Waikikiの海も美しかった。水も旨かった。後になって知ったことであるが、Waikikiとは湧き水の意味で、O'ahu島はその水の殆どを地下水に頼っているのだという。
 私はHonoluluのWaikiki Beachの近くに建っているCANAL Houseの8階の801号室に居を構え、そこからPearl CityにあるLeeward Community Collegeに通った。CANAL Houseの右側にはDiamond Headが峙ち、前にはcanalが横たわっていた。Canalにはcanoeが浮かんでいた。
 Leeward Community Collegeで出会った人々は、みなWaikiki(湧き水)のように清らかで、さわやかだった。私の中でHawaiiの印象は、その人々のように素晴らしいものとなった。そして、詩のような以下の作品が次々に生まれてきた。
(「はじめに」より)


※ 著者は別府大学教授、著書に「挽歌の系譜−井上靖の世界−」などがある。
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渡辺栄司氏作の真ん中の絵が
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