「高橋の数」(タイプ1)の2,3の性質について                               2000.08.25 □用語の定義 ・min(N)  ある自然数Nに対して、桁数を維持して範囲の最小数(タイプ1)  ある自然数Nに対して、各桁を大きい順に並べ替えた数(タイプ2)  ex. min(324) = 234     min(8702) = 2078 タイプ1     min(8702) = 0278 タイプ2(参考) ・max(N)  ある自然数Nに対して、各桁を大きい順に並べ替えた数  ex. max(324) = 432 ・T変換、T(N)   ある自然数Nに対して、max(N)−min(N)でえられる数  ex. T(324) = max(324) - min(324) = 198 ・「高橋の数」  N=T(N)が成り立つ自然数Nを「高橋の数」と呼ぶ  つまり、「高橋の数」とはT変換に不変な自然数ということです。 ・スペクトル、S(N)  自然数Nの構成要素(10進表現でどの数字が何個あるか)をスペクトルと  呼ぶことにする。  <スペクトルの表現>   2334のスペクトルは、2が1つ、3が2つ、4が1つであるがこれを   S(2334)=(2,3x2,4)と記述する   S(223344)=(2x2,3x2,4x2)            =(2,3,4)x2 とも記述する  また、S(2334)=S(3324)のようにスペクトルが同じになる数  は複数あることに注意 ・L点,S点,U点,x点  max(N),タイプ2のmin(N)との対応関係に基づき、  L点,S点,U点を以下のように定義する。        -----L部----- ---S部-- ---U部--    max(N) B1B2 ...Bl Bs...Bs BL...Bn   min(N) BnBn-1...BL Bs...Bs Bl...B1  (タイプ2)             ↑  ↑        ↑                         L点 S点       U点   L点:Bk−Bn-k+1>0かつ最小値となる位置   S点:Bk−Bn-k+1=0となるもので最初に現れる位置     U点:最終位置   また、L部、S部、U部を上記のように定める   X点:タイプ2のmin(N)で最初に0でない数字が現れる位置   Bn(=0)とBXを入れ換えたものがタイプ1のmin(N)である。 □性質1:高橋の数は9の倍数である    自然数mを9で割った剰余を m mod 9 で表す。  「高橋の数」Nの10進表示をA1A2...Anとする。  N mod 9 = A1A2...An mod 9 = A1+A2+ +An mod 9 (よく使われる9の倍数のテスト方法)  min(N)は、A1,A2,...Anの順序が入れ代わっただけなので  min(N) mod 9 = a1+a2+ +An mod 9 となる。同様に、max(N)も  max(N) mod 9 = a1+a2+ +An mod 9 となる。 「高橋の数」の定義により、  N mon 9 = { max(N) - min(N) } mod 9 = max(N) mod 9 - min(N) mod9 = 0 よって、「高橋の数」は9の倍数である。 □性質2:スペクトル特性 (1)「高橋の数」のスペクトルはT変換後もかわらない (2)自然数をスペクトルにより分類した場合、     (i)T変換に対して不変なクラスと     (v)T変換で変わってしまうクラス    に分けることができる。「高橋の数」は当然(i)に含まれる。 (3)T変換不変なスペクトルには、「高橋の数」が1つ含まれる。 □性質3:  (1)(0,a)の2色から構成されるスペクトルには「高橋の数」     は存在しない。     max(N) aaaaa000000 又は aaaaaaa000     min(N) a000000aaaa     a000aaaaaa             ↑     ↑        ↑     ↑             L点    U点       L点    U点     L点の結果a−1は、0またはaのいずれかにならなければな     らない。この場合、aにはなれないので、a−1=0であること     が必要である。     U点の結果10−aも、0またはaのいずれかにならなければな     らない。この場合、0にはなれないので、10−a=aであるこ     とが必要であり、a=5となるが、L点の要請はA=1であるの     でこれらを同時に満たすことはできない。     よって、「高橋の数」とはなり得ない。  (2)0を含む3色以上から構成されるスペクトルで、X点>=L点     となるものは、「高橋の数」とはなりえない。     a)X点=L点の場合            -----L部----- ---S部-- ---U部--        max(N) B1B2 ...Bl Bs...Bs BX0...0       min(N) BX0  ...0  Bs...Bs Bl ...B1               ↑  ↑         ↑                          L点 S点        U点 変換前の0の数は、l−1個       変換後に0となりうるのは、        L点   :Bl−1        Bl-1〜B2:9−Bk  (k=2〜l-1)       しかし、L点の定義よりBl−BX>0かつBX>=1であるから       Bl−1>0となり、0にはならない。       Bl-1〜B2は、Bk=9(k=2〜l-1)とすることにより0と       なるが、その個数はl−2個である。       従って、変換後の0の数はl−1にならないので「高橋の数」は       存在しない。     b)X点=S点の場合            -----L部----- ---S部-- ---U部--        max(N) B1B2 ...Bl Bs...Bs 0 ...0       min(N) Bs0  ...0  0Bs.Bs Bl ...B1               ↑  ↑        ↑                          L点 S点        U点 変換前の0の数は、l個       変換後に0となりうるのは、        S点  :Bs−1        Bl〜B2:9−Bk  (k=2〜l)       変換後も、0の個数が変わらないためには、Bs=1、Bk=9       (k=2〜l)であることが必要である。この条件で上記を書き       なおすと            -----L部----- ---S部-- ---U部--        max(N) 99... 9 11..1 0...0       min(N) 10....0 01..1 9...9                ↑ ↑         ↑                          L点 S点        U点       最初の桁を計算すると8になるが、この数は変換前には存在しな       いものである。よって、この場合も「高橋の数」は存在しない。     c)X点>S点の場合       X点はS部の途中には存在できないのでU部の先頭となる。                  -----L部----- ---S部-- ---U部-----        max(N) B1B2 ...BX 0... 0 0   ...0       min(N) BX0  ...0  0... 0 0BX-1...B1               ↑  ↑        ↑                          L点 S点         U点 変換前の0の数は、(n−x)個(n−x>=x:0が過半数)       変換後に0となりうるのは、        L点   :BX−1        BX-1〜B2:9−Bk  (k=2〜X-1)       変換後の0の個数は、高々1+(X−2)=(X−1)個       明らかに変換前の個数を下回る。       従って、この場合も「高橋の数」は存在しない。 以上により、X点>=L点の場合「高橋の数」は存在しない。