ネットワーカーに贈るエスペラント語入門講座 第1課

第1課(1):文字と発音

1−0.はじめに

☆この課ではエスペラントの文字と発音について学びます。教材は3つに分割されています。

第1課(1):文字と発音
第1課(2):単語の発音練習
第1課(3):長文の発音練習

☆カセットテープのご購入をお勧めします。実費500円(カセット代+郵送料<HPJ24795:(沼津エスペラント会)>宛にメールでお申込下さい。ご住所など必要事項を「LERNEJO」に書込んでいただいても結構です。

1−1.エスペラントの文字と発音

1−1−1.アルファベート(alfabeto)

☆大文字 A,B,C,C^,D,E,F,G,G^,H,H^,I, J,J^, K,L,M,N, O,P,R,S,S^,T,U,U^,V,Z

☆小文字 a,b,c,c^,d,e,f,g,g^,h,h^,i, j,j^, k,l,m,n, o,p,r,s,s^,t,u,u^,v,z

☆文字の名前を仮名で表わせば、それぞれ順に:

(A)ア、(B)ボ、(C)ツォ、(C^)チョ、(D)ド、(E)エ、 (F)フォ、(G)ゴ、(G^)ヂョ、(H)ホ、(H^)ホ(喉の奥から 出す音)、(I)イ、(J)ヨ、(J^)ジョ、(K)コ、(L)ロ(舌が 上の顎につく)、(M)モ、(N)ノ、(O)オ、(P)ポ、(R)ロ、 (S)ソ、(S^)ショ、(T)ト、(U)ウ、(U^)ウォ、(V)ヴォ、 (Z)ゾ

注意点−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

(1)<C^,G^,H^,J^,S^>などの文字は、本来は、字の後の山印(^)が前の文字の上に乗っています。<U^>の文字は、山印(^)を逆さまにしたお腕の印が前の文字(U)の上に付きます。手書きや、デッドキー付きのタイプライターをお使いの時には、<C^, G^,H^,J^,S^>の文字には必ず山印(^)を前の文字の上に重ねて下さい。また、<U^>の文字には<^>を逆さまにした、おわんの印を、文字の上に重ねて下さい。

(2)<j^>の文字(jの上に^が乗った文字)には、本来(・)は付けません。手書きの時には、(・)を付けないようにご注意下さい。

(3)この講座では、技術的な都合で、字上符<^など>付きの文字を表示できないので、本来字上符の付くべき文字の後に字上符<^,~>を置いて表現します。<C^,G^,H^,J^,S^,U~>という形です。
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☆それぞれの文字のブロック体や筆記体は、中学校で習うものと同じ形でかまいませんから、特に筆記練習をする必要はありません。

☆英語のアルファベットとの違いに注意してください。エスペラントには字上符付きの文字があります。(c^, g^, h^, j^, s^, u~) また、英語にあって、エスペラントにない文字があります。(q,w,x,y)

☆エスペラントには28の文字があります。字上符のついたs^,g^,c^,h^,U~ なども独立した文字です。アクセント符号のように後から文字に付加えたものではありません。ちょうどアルファベットの<i>や、平仮名の<う>の上の点のようなものです。したがって、字上付のついたs^と普通のsは全く別の文字です。これは、1文字が1つの音を表すという原則に従うために作られたものです。エスペラントの発音は、1つの文字が1つの音を表わし、例外がありません。

1−1−2.アクセント

☆アクセントも必ず後ろから2番目の母音にあって、例外がありません。基本的なパターンを修得すれば、発音記号などの助けなしに、どんどん読み進めることができます。

☆アクセントのあるところを、強く、また少し長くのばして発音します。

parolas パローラス      <ロー>を強く、少しのばす

vjetnamio ヴィエトナミーオ   <ミー>を強く、少しのばす

☆アクセントのある母音の次に、子音字が二つ以上有る時は、のばしません。

esperanto エスペント  <a>の後に<nt>があるので、<ラー>とのばさない。強めるだけ

☆母音の数が日本語と同じく5つ<a, i, u, e, o>で、それぞれの発音が日本語の母音のと比較的似ているので、発音を身につけるのが楽です。注意すべきいくつかの点を除いて、ほぼローマ字読みと同じと考えてください。

注意点−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

(1)1音節の単語{母音が一つだけ:例えば mi, kaj, li, s^i,vi など}の単語には、(音節が1つだけなので)アクセントをおく必要がありません。

(2) u~ は、子音字<a, i, u, e, o 以外の文字>です。
例えば ankorau~ (アンコラウ)は、後から2番目の母音、すなわち真中の‘o’にアクセントをおきます。同様に、hodiau~,hierau~ など、末尾に(u~) のつく単語のアクセントの位置に注意して下さい。
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☆発音については、説明ではなかなかわかりません。カセットをお求めになるようお勧めします。講座の例文や長文も必ず音読して下さい。

1−1−3.仮名とエスペラント文字の対応
 
ア イ ウ エ オ
a  i  u  e  o
     
カ キ ク ケ コ
ka ki ku ke ko
キャ キュ キョ
kja  kju  kjo
ガ ギ グ ゲ ゴ
ga gi gu ge go
ギャ ギュ ギョ
gja  gju  gjo
サ シ ス セ ソ
sa s^i su se so
シャ シュ ショ
s^a  s^u  s^o
ザ ジ ズ ゼ ゾ
za j^i zu ze zo
ジャ ジュ ジョ
j^a  j^u  j^o
タ チ ツ テ ト
ta c^i cu te to
チャ チュ チョ
c^a  c^u  c^o
ダ ヂ ヅ デ ド
da g^i zu de do
 
ナ ニ ヌ ネ ノ
na ni nu ne no
ニャ ニュ ニョ
nja  nju  njo
   
ハ ヒ フ ヘ ホ
ha hi hu he ho
ヒャ ヒュ ヒョ
hja  hju  hjo
バ ビ ブ ベ ボ
ba bi bu be bo
ビャ ビュ ビョ
bja  bju  bjo
マ ミ ム メ モ
ma mi mu me mo
ミャ ミュ ミョ
mja  mju  mjo
パ ピ プ ペ ポ
pa pi pu pe po
ピャ ピュ ピョ
pja  pju  pjo
ヤ イ ユ エ ヨ
ja i  ju e  jo
     
ラ リ ル レ ロ
ra ri ru re ro
リャ リュ リョ
rja  rju  rjo
   
ワ ウ ヲ ン
u~a u~ u~o n
     
☆エスペラントの文字は、1つの文字が1つの音に、また1つの音が1つの文字に対応するので、日本語の音節文字「かな」と、上の表のように対応させる事ができます。

☆下線を引いたところ以外が、ほぼローマ字と対応する事に注意して下さい。


第1課(2):単語の発音練習

1−2.発音練習

1−2−1.それほど注意しなくともよいもの(ほぼローマ字読みと同じ)

☆アクセントに注意して下さい。アクセントのある母音の前に(’)の記号を付けてアクセントの位置を示しておきます。

☆カセットを聴きながら、ご自分でも発音してみてください。
 
p'ano
パーノ
s'upo
スーポ
h'omo
ホーモ
m'odo
モード
g'aso
ガーソ
bi'ero
ビエーロ
men'uo
メヌーオ
tom'ato
トマート
ban'ano
バナーノ
stud'ento
ストゥデント
rad'io
ラディーオ
taks'io
タクシーオ
g'asto
ガスト
demokrat'io
デモクラティーオ
parad'izo
パラディーゾ
po'emo
ポエーモ
kna'bo
クナーボ
knab'ino
クナビーノ
k'ato
カート
h'undo
フンド
1−2−2.慣れるまで注意を要するもの

(1)LoとRoの区別に注意。<Lo>は上あごに舌がつき、<Ro>はつきません。他の言語の場合同様、<L>は日本人の不得意とする点です)
 
 L  let'ero
レテーロ
l'umo
ルーモ
t'ablo
ターブロ
papil'io
パピリーオ
 R  ril'ato
リラート
lib'ero
リベーロ
   
(2)FoとVoの区別に注意 (Fは無音、Vは有声)
 
 F  k'afo
カーフォ
elef'anto
エレファント
 
 V  mov'ado
モヴァード
v'ento
ヴェント
vap'oro
ヴァポーロ
(3)JoとJ^oの違いは、‘ヨ’と‘ジョ’の違い。ziは‘ジ’ではなく‘ズィ’
 
 J  jes
イェス
majon'ezo
マヨネーゾ
jap'ano
ヤパーノ
j'aro
ヤーロ
 J^ j^urnal'isto
ジュルナリスト
j^urn'alo
ジュルナーロ
pij^'amo
ピジャーモ
j^al'uzo
ジャルーゾ
 zi zigz'age
ズィグザーゲ
az'io
アズィーオ
fiz'iko
フィズィーコ
 
(4)CoとC^oの違いは、‘ツォ’と‘チョ’。tiは‘チ’ではなく‘ティ’
 
 C  sci'enco
スツィエンツォ
centim'etro
ツェンティメトロ
leci'ono
レツィオーノ
cigar'edo
ツィガレード
 C^ c^okol'ado
チョコラード
c^'ambro
チャムブロ
c^'ino
チーノ
c^ampi'ono
チャンピオーノ
 ti t'io
ティーオ
t'iu
ティーウ
t'ia
ティーア
t'iel
ティーエル
(5)GoとG^oの違いは、‘ゴ’‘ヂョ’
 
 G  galer'io
ガレリーオ
galaks'io
ガラクシーオ
g'aso
ガーソ
gaz'eto
ガゼート
 G^ mes'ag^o
メサージョ
g^'ojo
ジョーヨ
g^ang'alo
ジャンガーロ
g^ard'eno
ジャルデーノ
(6)SoとS^oの違いは、‘ソ’と‘ショ’
 
 S  s'abro
サブロ
s'ako
サーコ
sal'ono
サローノ
sav'ano
サヴァーノ
 S^ s^amp'uo
シャムプーオ
mas^'ino
マシーノ
pos^tk'arto
ポシュトカルト
s^t'ono
シュトーノ
(7)u~はuよりもぼんやりしたwに近い音。子音。u~ が単語の末尾にくる場合のアクセントの位置に注意して下さい。
 
 U~ au~tomob'ilo
アウトモビィーロ
s'au~co
サウツォ
hod'iau~
ホディーアウ
hi'erau~
ヒィエーラウ
    alm'enau~
アルメーナウ
ank'orau~
アンコーラウ
ap'enau~
アペーナウ
b'aldau~
バルダウ
    c^'irkau~
チルカウ
kv'azau~
クヴァーザウ
m'orgau~
モルガウ
 
(8)H^oはのどの奥から出すHo。呟払いの「ゴホン」の「ホ」。(発音が難しいので、koに変えられる傾向があります)
 
 H^  h^ol'era
ホレーラ
eh^o
エーホ
h^a'oso (ka'oso)
ハオーソ(カオーソ)
h^em'io (kem'io)
ヘミーオ(ケミーオ)
(9)子音字で終る単語。母音が1つしかない場合はアクセントを置きません。また、<sep, sed, ec^, jam>などを、間違って<sepu, sedo, ec^i, jamu>のように末尾に母音をつけた発音をすることが多いので注意が必要です。従って、下にあげた片仮名のルビは正確ではありません。
 
ses
セス
sep
セプ
sed 
セド
iom 
イオム
k'iel
キーエル
ec^
エチ
j^us
ジュス
al 
アル
en 
エン
jam
ヤム
   
(10)子音字が重なる単語。日本語の発音につられて、<profito,krajono>などを間違って<purofito, kurajono>のように、母音を付加えて言ってしまう事が多いので注意しましょう。下にあげた片仮名のルビも正確ではありません。
 
prof'ito
プロフィート
pl'ano
プラーノ
kraj'ono
クラヨーノ
psikolog'io
プシコロギーオ
fr'ato
フラート
skr'ibi
スクリービ
skl'avo
スクラーヴォ
kl'aso
クラーソ
str'ato
ストラート
spr'ito
スプリート
espr'imi
エスプリーミ
ekz'emplo
エクゼムプロ
kompr'eni
コムプレーニ
konstituc'io
コンスティトゥツィーオ
   
☆参考☆日本語の「は」が場合によって「ハ」や「ワ」の音になることを、また「お」と「を」が同じ音を持つことを思いだして下さい。さらに、日本語の場合、漢字に音読みと訓読みがあります。英語の場合も、文字と音が対応していません。発音の規則性は、エスペラントの学習を著しく容易にしています。


第1課(3):長文の発音練習

1−2−3.長文の発音練習

☆エスペラントも民族語同様、音読するにたる美しい響きを持った言語です。言葉は、文字の規則である以前に音の規則です。意味がよくわからなくても、教材のエスペラント文を音読することが重要です。カセットと較べながら、次の長文をの音読練習を繰返してください。

[基本例文集から]
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(1) Patro kaj filo. Leono estas besto. Rozo estas floro, kaj kolombo estas birdo. La rozo apartenas al Teodoro. La suno brilas. La patro estas sana. La patro estas tajloro.
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<意味>父と子。ライオンは動物だ。ばらは花で、鳩は鳥だ。そのばらはテオドーロのものだ。太陽が輝いている。父親は健康だ。父親は仕立屋だ。

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(2) Infano ne estas matura homo. La infano jam ne ploras. La c^ielo estas blua. Kie estas la libro kaj la krajono? La libro estas sur la tablo kaj la krajono kus^as sur la fenestro. Sur la fenestro kus^as krajono kaj plumo. Jen estas pomo, kiun mi trovis. Sur la tero kus^as s^tono.
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<意味>子供は成人ではない。子供はもう泣かない。空は青い。本と鉛筆はどこにあるのか。本はテーブルの上に、鉛筆は窓の所にある。窓の所には鉛筆とペンがある。ここに私の見つけたりんごがある。地面の上には石がある。

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(3) Leono estas forta. La dentoj de leono estas akraj. Al leono ne donu la manon. Mi vidas leonon. Resti kun leono estas dang^ere. Kiu kurag^as rajdi sur leono? Mi parolas pri leono.
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<意味>ライオンは強い。ライオンの歯は鋭い。ライオンには手を出すな。私はライオンをみている。ライオンの所にいるのは危険だ。誰がライオンにまたがることができるか。私はライオンについて話している。

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(4) La patro estas bona. Jen kus^as la c^apelo de la patro. Diru al la patro, ke mi estas diligenta. Mi amas la patron. La mano de Johano estas pura. Mi konas Johanon. Ludoviko, donu al mi panon. Mi mang^as per la bus^o kaj flaras per la nazo. Antau~ la domo staras la arbo. La patro estas en la c^ambro.
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<意味>父親は気立てがよい。ここに父親の帽子がある。父親に私が勤勉であると伝えろ。私は父親を愛している。ヨハーノの手は清潔だ。私はヨハーノを知っている。ルドビーコ、パンを取ってくれ。私は口で食べ、鼻で嗅ぐ。家の前に木がある。父親は部屋にいる。

[アンデルセン“裸の王様”より]
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(5) Antau~ multaj jaroj vivis unu reg^o, kiu tiel amis belajn vestojn, ke li elspezadis sian tutan monon, por nur esti c^iam bele ornamita. Li ne zorgis pri siaj soldatoj, nek pri teatro kaj c^aso, esceptinte nur se ili donadis al li okazon montri siajn novajn vestojn. Por c^iu horo de la tago li havis apartan surtuton, kaj kiel pri c^iu alia reg^o oni ordinare diras: "li estas en la konsilanejo", oni tie c^i c^iam diradis: "la reg^o estas en la vestejo".
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<意味>書き出しの1節です。想像してください。

[1887年にエスペラントが初めて発表された時の小冊子から]
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(6) La nun proponatan bros^uron la leganto kredeble prenos en la manojn kun malkonfido, kun antau~e preta penso, ke al li estos proponita ia ne-efektivigebla utopio; mi devas tial antau~ c^io peti la leganton, ke li formetu tiun c^i antau~-jug^on kaj ke li pripensu serioze kaj kritike la proponatan aferon. Mi ne parolos tie c^i vaste pri tio, kian grandegan signifon havus por la homaro la enkonduko de unu komune akceptita lingvo internacia......
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<意味>たぶん、読者はこの本を内容のない空想に満ちたものと思っているのではなかろうか。だから、私はまず読者に、先入観を捨て、この本で私が提案することを真面目に考えてくれるよう望みたい。人類が共通の言葉を持てたらどれほど素晴らしいかということについては、言うまでもない...

<問題1>**********************************************************

 他の民族語と同じように、エスペラントも朗読するにたる美しい響きを持った言葉です。学習の際、音読練習を欠かさないようにして下さい。カセットテープを用いて、発音練習のエスペラント文を、少なくとも3回は大きな声で音読してください。発音についてご質問があれば、日中も専従者がいますから、沼津エスペラント会まで、電話で問い合せてください。
 エスペラントについて、何かご感想がありましたら、LERNEJOに書込んで下さい。
(沼津エスペラント会:電話:0559-22-3783:ID HPJ24795) *******************************************************************


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