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朝9時頃、 私は妻に叩き起こされた。隣のベッドを見ると息子がいない、ベッドの下を見ると、彼はベッドから墜落したまま爆睡していた。しかし眠い。足をはみ出したまま、しばらくベッドの上でボーッとしていた。だんだん頭が動き出して来た。そうだ、ここはグァムなのだ!。思い出した様にバルコニーの方へ目を向けると、強い日差しに目が眩んでクラクラした。それにしてもグァムは明るい、明るすぎる。目が慣れてくるとようやく絞りもピントも合う様になり、深夜に見たタモン湾の昼間バージョンが目の前に広がっていた。 おおおぅ!グァムだ、タモン湾だ!パンフレットの写真と同じだ!ベッドが小さくても景色はデカイ!海の色が綺麗だ、写真と同じ色である。ちなみにオーストラリアへ行った時にはこの海の色でガッカリしたのである。紫外線が強いせいなのか、写真には実際よりもブルー色が濃くなる様で、オーストラリアの海は写真で見て期待していたよりも、そんなに綺麗な色では無かったのである。しかしグァムの海の色はウソ偽りは無く、期待どうりの色であった。すかさずカメラのフィルムにバルコニーからの眺めを記憶させた。きっとここへ宿泊した日本人はみんなバルコニーから見たタモン湾を写真に収めたに違いない。するってーと、海に面した部屋数と宿泊した旅行者とホテルの営業日数を計算すると、それはそれはスゴイ枚数になるだろうなぁ〜と、くだらない事を考えるのであった。 眠気がなかなか取れないので シャワーを浴びて子供を起こしてから、隣の部屋の妻の両親と共にフロビーの下にあるレストラン「ISLANDER−TERRACE」の朝食バイキングへ向かった。ここは朝6時から深夜まで営業しているが、朝食のバイキングは15$である、日本円に換算するとサービス料込み2000円くらいする。さすがに品数は豊富で、和食・中華・洋食・韓国風と、いろいろ揃っている、素麺まで有るのだが、朝からそんなに沢山食べられないから、ちょっと高いなと感じた。 もしかするとグァムというところは、日本よりも物価が高いのではないのだろうかと、ふと思った。日本のホテルでも冷蔵庫のジュース一本で400円はしないだろう、ヒルトンの冷蔵庫のコーラは360ミリリットルの缶ジュースが3$50¢もするのである、これは日本円にして450円近い。これでは喫茶店と同じである、オシボリが出てくるワケでもなくウエイトレスのお姉さまが注文を聞きに来てくれる訳でもない、ただの備え付け冷蔵庫なのである。勿体ないので、飲み物は外出した時にコンビニで買い込む事にした。
朝食が済むと 子供達とのお約束、プールのお時間である。部屋で海水パンツに着替えてその上から半ズボンをはき、浮き輪と着替えだけ持って下へ降りた。実はグァムで一番人気があるプールはオンワード・アガニア・ビーチホテルの敷地内にあるオンワード・ウォーターパークというプールだそうなのだが、ダンスショーやジェットコースターの様なスライダーや巨大なジャグジーやボディーボードが出来る波のプールや流れるプールなどいっぱいあるらしいが、なんと大人50$子供25$もするらしいのである。つまり親子3人で100$、プールで一万三千円近くもするなんて・・・行きたいけど行けないや。きっとグァムはお金持ちしか来てはイケナイ島なのだ。ヒルトンは本館のエレベーターは故障しているが、プールは無料だし、小さいけどウォータースライダーもあるし、タオルも無料で貸してくれるのでお得である。 さっそくプールサイドで 服を脱いで入ろうとしたのだが、ベッドは小さいくせにプールはどれも結構水深が深い。結局、幼稚園児が安心して入れるのは水深40センチ程の水たまりの様なプールしか無かったが、それでも天気は良いし目前にタモン湾の広がる景色の中での水浴びは最高に楽しいのであった。海にも入ろうかと思ったが、現地の人の話しではグァムの日差しは思ったよりも強く、現地チャモロの人達なども午後になって日が傾いてからでないと子供を海へ入れないというし、遠浅と言えどもタモン湾には途中にサンゴがあったりストーン・フィッシュと呼ばれるサンゴと見間違う様な毒を持った魚が昼寝をしているので、海に入る時は必ずサンダルを履いた方が良いという事たったので、今回は見合わせた。というか、次回が未定なのでグァムの海では泳がないという事になる。 お昼前にはプールから出たのだが、日頃太陽にあたることが少ない日陰者の私は、さっそく肩から背中がヒリヒリしていた。午後の予定は親戚の人達との意見が分かれたので、それぞれに好きな観光をする事になった。ご婦人達と子供は半潜水艦に乗りたいと、さっそくツアーデスクで予約をとって「ノーチラス号海底クルーズ」へと向かった。 アトランティスサブマリンという本当の潜水艦もあるのだが、大人96$子供でも58$もするし、ノーチラス号の方は大人49$子供37$でもダイバーのお兄さんが、魚を餌付けしたりパフォーマンスをしてくれるらしいく、後で聞いたのだが、とても良かったという事であった。さて私と叔父さん達2名と従兄弟、それに潜水艦はハワイで乗ったわという叔母さん2名は「ガンシューティング・スポーツランド」に行くことにした。私にとって今回の便乗ツアーのメインはこれなのである。 ツアーデスクで 予約を取り無料送迎のワゴンに乗り込み、タモン湾から30分程の山の中に野外射撃場であるガンシューティングスポーツランドはあった。タモンのホテル街にも30$から50$も出せば撃てる室内射撃場はあるのだが、どうせならやっぱり本格的に野外で撃ちまくってみたい。叔母さん達は22口径36発コースで30$、叔父さん達は44口径24発コースの50$、私と新郎の従兄弟は少々値段は張るがリボルバー38口径オートマチック・45口径リボルバー・44口径マグナムを含むスペシャル50発コースにした。これは70$であるがツアーデスクの紹介なので65$になった。受付カウンターで実弾を貰い、別室でビデオの簡単な説明を受けると、さっそく野外のシューティングボックスへ向かった。部屋から出るとシューティングポーズの写真を撮ってくれたが、後で10$で売るためであった。
野外というと、 まったくの野外を想像していたのだが、安全ボックスや塀があるので、室内みたいな感じでちょっとガッカリ。考えてみれば何もない所でタマの込め方も知らない素人に銃を撃たせるなんて、それだけでもかなり危険な事なのだから、仕方が無いのだろう。本物の銃など生まれて初めて持つので、一発目はとても緊張した。 44マグナムはさすがに重く、掌に衝撃が来るのでとても興奮した。38口径のオートマチックになると、かなりリラックスしてきた事もあって映画の銃撃戦気分でアッという間にバンバン撃ってしまった。弾が無くなってから「う、もっと味わって撃つべきだった」と後悔した。隣の従兄弟はハズして手前の土盛りに撃ち込み派手な土煙をあげているので私も土に当ててみたい衝動に駆られたが、一応スポーツシューティングなので最後まで標的の真ん中を狙って撃つ事にした。 最後に撃ったのが45口径のリボルバー 、これにはさすがにシビレた。気分はクリント・イーストウッドである(古いか)。ここはスポーツシューティングというだけあって、認定書とターゲットのスコアをちゃんと計算して渡してくれる。結果はというと、叔母さん達がスコアー23と26、叔父さんがスコアー46、そして私達スペシャルコースは新郎の従兄弟がスコアー196、そして私は268であった、これは同じスペシャルコースの人達の中でもダントツのトップだ。みんなが羨望の眼差しで見てる、ああ、気持ちいい。しかし、もし弾が当たらなかったとしたら「高いお金を払って紙切れを撃つだけで、どこが面白いのだ」などと書いただろうな(笑)。ガンシューティングが終わって無料送迎ワゴンでホテルへ帰ると、半潜水艦ツアーへ行ったご婦人方はまだ帰ってきていなかった。新郎の従兄弟と私はホテルのレストランで遅い昼食をとることにした。 やはりグァムに来たからには 普段とは変わった食べ物をと、たぶん地元のチャモロの人達の食べ物であろうビーフ・チャモロという食べ物と、従兄弟はチキンカリー韓国風を注文した。ビーフチャモロとは、ビーフシチューの様ではあるが、まったりとして癖がなく、・・・おいしくない。チキンカリー韓国風は思ったほど辛くもなく、美味しくもなかった。しかし二つとも量だけはかなりであったので、一生懸命食べたのだが、ちょっと残してしまった・・・すまん。夕方からサンセット・ディナークルーズが控えているので、お残しを許してくれ。ビーフチャモロもチキンカリーも36$であった。 しかしこの物価の高さは別にヒルトンだけでは無い様である。グァムの観光地全体が高いみたいなのだ。きっと高くても日本人は気前よく払うものだから物価が上がってしまったに違いない。ちなみにセブンイレブンでジュースを買うと1$50¢くらいだが、かんがえれば日本円で200円近くするのであるから、日本よりも高い。航空運賃やホテルがいくら安くても、こうも物価が高いのでは、とても気楽には来られないなと感じるのであった。 さて夕方からは スター&ストライプス号のサンセット・ディナークルーズである。スター&ストライプス号というと、つまり星条旗の事ですな、帆が星条旗のカタマランタイプの船(双胴船)であります。お値段は大人80$子供50$くらいでしょうか。タモン湾の隣りのアガニア湾にある乗り場まで無料送迎バスで行き、さっそく乗船すると甲板で海をバックに記念撮影を勧められましたが、後から写真を買う事になるそうなので、丁重にノーサンキューして船内に入った。 船内のテーブルへつくと飲み物を聞いてくれます、もちろんフリードリンク飲み放題。出港するとみんな甲板へ集まり、思い思いに海をバックに記念写真を撮っています。港から岬の方へと移動する内に太陽が沈んで行くというニクイ演出に、みんな感動している様である。カタマランタイプ(双胴船)であったため、お陰で私も船酔いする事無くサンセットを楽しむ事が出来た。そして船内に戻ると食事の用意が調っていた。 なるほど、夕日を見るためにみんな甲板に出ているそのすきに、ディナーの用意をするとは、なかなか段取りが良いではないか。席に着くと、自分は絶対トムクルーズに似ていると思っているに違いないと思われるお兄さんが、各テーブルを巡ってマジックを披露しはじめた。私達のテーブルにも来てトランプマジックや、細長い風船で犬や剣を作ってくれたので子供は大喜びである。これくらいならテレビの笑点で昔見たものばかりであるが、その後のコイン隠しの手品や、拝借した指輪をぱっと消してズボンのポケットのジッパータイプのキーホルダーの中から出し、オマケにフックに付いているというマジックは、とても上手であった、私の目の前でやったにも関わらず、全然わからなかった(だからマジックというのだろうが)。これには私も感心して、思わずチップを渡してしまった程である。1$だけど。 しばらくディナーのサラダとシーフードとパンを食べていると、前の方でさっきテーブルを巡っていた「自分は絶対トムクルーズに似ていると思っているに違いないと思われるマジシャン」のショーが始まった。今度はハトである。あらゆるところからハトを出している、スゴイ、いったい何羽ハトを飼っているのだろう。しかしシーフード料理の、名前も知らない魚のソテーはイマイチ、ニィ・サン・シィ・ゴォだった。そしてチャモロ人の両耳にピアスをしたオカマっぽいウエイターが、切り方の雑な刺身を皿に盛って「サシミー、イカガデスカァー10$デ〜ス」と売り歩いていたが、誰一人その刺身を買う人はいなかった。 それでもパンフレットによるとグァムのトップレコーディングスターであるデビッド・エバンスという人の歌が始まると、かなり盛り上がって来た。まあ考えてみればグァムのトップレコーディングスターといっても、グァムは淡路島と同じくらいだから、淡路島のトップスターが誰だか知らないが、そのくらいなのかも知れないのだが、トップスターはトップスターである。彼のCDのレパートリー(だそうだ)から始まって、ステンドバイミーやブルーグラス調の曲になり、最後はサンバである。気がつくと我が一族の古参であるスキンヘッドの叔父さんがチチ(トロピカル・カクテル)に酔って後ろで一人で踊っているではないか。 チャモロ人の ピアスをしたオカマっぽいウエイターもそれを見て叔父さんと一緒に踊りだし、淡路島、もとい、グァムのトップレコーディングスターであるデビッド・エバンスが「さぁあ!ミナサンモオドッテクダサ〜イ!」と、かけ声と手拍子を始めると皆ゾロゾロと通路に並んで時計とは逆回りで踊りながら回りだした。いつのまにか空き缶で作ったサンバ用の楽器が配られて、一気に船内はブラジルのカーニバルと化した。もうすごい盛り上がり様である。私もつられて息子を抱いたまま列に加わって回ってしまった。 息子も興奮を通り越して半トランス状態になりヨダレを流している。さすがに息子を抱いたままでは疲れたので、ひとまず席に座らせて一人で甲板に出てみた。外はすっかり夜である。船は波の無い入り江をゆっくりと回っている様であった。船内ではいよいよ盛り上がって悲鳴ともつかぬ声が続いている。その騒ぎとは対照的な暗く静かな夜の海を一人で楽しみながら、タバコに火を付けた。潮の香りが心地よい「う〜ん、これなら80$でも高くないなぁ〜」と、自分でムードを壊す私であった。 スター&ストライプス号 が港に入ったので、船内に戻ると、淡路島、もとい、グァムのトップレコーディングスターであるデビッド・エバンスが「ワタシノCD1枚20$デスガ、15$デス!。センジツ出したニューアルバムとアワセテ20$デ〜ス!サインシマ〜ス!イカガデスカ!」と、自分のCDを売っていた。しかしあまり売れ行きは芳しくない様であった。あれだけ盛り上げて貰い、とても楽しいサンセット・ディナークルーズであったので、息子を連れてデビッドのところへ行き2枚とも買ってあげる事にした。 サインをしてもらい握手をして頂いて船から降り、無料送迎バスに乗り込んだ。バスが出発して見えなくなるまで、あのチャモロ人のピアスをしたオカマっぽいウエイターは踊りながら手を振ってくれたので、最後まで気分良く楽しめた。バスの中で、グァムのトップレコーディングスターであるデビッド・エバンスのCDのジャケットの裏を見ると、一枚目が1992年で、「センジツ」と言っていたニューアルバムの日付は1995年であった。・・・「やられた」。
つづく |