こんなにもある、寺院に関係する税金の種類

 

お寺には税金がかからない、お寺は無税だと思いこんでいる住職が意外に多いようです。檀家の人が税金に苦しんでいても、まるで他人ごとのように思っている住職にとっては、驚かれる話かも知れませんが、場合によってはお寺にも税金はかかります。

 宗教法人が宗教活動に関わりのない土地や建物を購入すれば、お寺といえども不動産取得税はかかりますし、当然のことながら、毎年、固定資産税もかかってきます。まして住職の個人的な立場となれば、一般の人々と何ら変わりなく、財産がある限り、課税を免れることはできません。

まずお布施ですが、これの一部は寺院を経て住職への給与として取り扱われ、所得税の対象となりますので、年末調整や確定申告をしなければなりません。また贈与税や相続税も宗教法人である寺院には原則としてかかりませんが、住職個人には当然かかってきます。さし当り、課税の対象となるのが宗教法人からの給与です。

 ところが税法の規定は実にわかりにくいもので、しかも国税庁の通達は法令なみの大きな影響力をもっています。ここで、宗教法人が納める税金をあげてみますと、次のようになります。

一. 法人税 宗教法人が法人本来の活動をしている限り、非課税とされています。しかし、宗教法人でも収益事業を行っていれば、その所得に対して、法人税が課税されます。これは国税です。

二. 所得税    宗教法人も、給与を支払っている場合には所得税の源泉徴収を行う義務が課せられています。代表役員である住職は、檀徒から受けたお布施などをすべて法人収入として扱い、改めて寺院から給与として支払いを受けることになっています。宗教法人である寺院は、このほかにも、役僧には給与を、外部からの講師には講演料を、また、出版に伴う執筆者には原稿料や印税を支払う場合がありますから、すべてに源泉徴収の義務があり、一般の法人と何ら変わりはありません。これも国税です。

三.道府県民税・市町村村民税・事業税   宗教法人が収益事業を行っていれば、道府県民税、市町村民税、事業税はすべて課税されます。これらは収益事業の所得を標準として、均等割と法人税割によって課せられます。これらは地方税です。

三. 土地建物等の資産に対する税金

1. 不動産取得税  宗教法人がその本来の目的・活動に関りのない土地、建物を取得すると課せられます。 取得といっても売買、贈与、新築といったいろいろのケースがあります。ただし、相続とか法人の合併といったようなときは別です。これは道府県民税の一種です。

2. 特別土地保有税 昭和四十四年以後取得した土地の面積が、一定面積以上である場合は、通常の不動産取得税と固定資産税のほかに、その取得価額を標準として課税されます。

3. 登録免許税・印紙税 土地、建物などの登記や登録を受けるときは登録免許税がかかり、契約書や領収書などの証書を作成したときは、その証書に印紙を貼りますから、印紙税も必要です。これは、いずれも国税です。およそ以上のような税金が課税される場合が想定されますが、宗教法人の活動を行っている限り、宗教法人の所得は非課税ですし、境内建物や境内地の固定資産税等も課税されません。