坐る方法は、昔から色々な祖師方が説かれておりますし、住職から直接、指導を受けら
れるとよいと思います。そのよりどころとなる教えは「禅苑清規」という書のなかにある
「坐禅儀」が有名です。これから述べる坐禅のしかたはこの書をもとにしています。
 まず坐禅をするにあたっては坐禅への心構えが大切であると次のように述べています。
「そもそも、聖なる智慧を学ぼうとする修行者(坐禅をしようとする者)は、大悲心
(だいひしん)(衆生を救おうとする大悲心の心)を起こしなさい。迷いの人々を救おう
という遠大な誓いを立てなさい。決して自分だけのために悟りを得ようなどという心構え
で坐禅などするではないぞ。」(坐禅儀)
このような大きな誓願を立てることを「発心(はつしん)といいます。これは、坐禅専一
の修行僧に対して激しく戒められている教えです。
 一般社会人にとってもこのような発心を持つことはもとより大切ですが、余り多くを求
めずに、少しでも坐ってみることが大切です。たしかに人生において誰もが体験するさま
ざまな苦しみを乗りこえて生きていくうえで、前章で述べましたように多くの功徳があり
ます。ただ、坐禅をする方は、このような大誓願を抱いて修行をするのが本来の目的であ
ることだけは自覚していて頂きたいのです。


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