臨済禅師は、「無事是貴人(ぶじこれきにん)」と臨済録のなかで説かれています。
これは「今日は、お元気ですか」と何気なく使っている毎日の挨拶語です。平凡である
生き方が最もすばらしいとの教えです。あれこれと思案をめぐらすなと禅師は説いています。
ふつう無事といえば無事故であるとの意ですが、消極的に何もしないのではなくて、むしろ
積極的に「造作(ぞうさ)」をせよと教えています。外に向かってではなく自分のなかにある
もう一人の自分の真実を求める人を「貴人(きにん)」と呼んでいるのです。無になる心、
これが禅の心です。
 これからあげる歴代の祖師方の説かれている教え、禅語は難しい言葉で書かれています
が、禅の教えはごくありふれた毎日の生活のなかで、何気なく用いられているものです。
禅の心はこのようなあたり前の平凡な生活のなかにあるのです。
             何も求めず  無心に過(すご)せ
               平凡な人  是れ非凡

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