この歌の作者、一休禅師(一三九四 〜 一四八一)は室町時代の禅僧。大徳寺第四十
七世です。狂雲子と号し奇行が多く、当時の文化に大きな影響を与えた傑僧です。当時の
出家的、禁欲的、貴族的な禅風に対して、在家的、人間的、民衆的な禅風を挙揚。世評に
わずらわされず、独自の生き方をされました。この歌は多くの奇行とともに有名な歌です。
 一休禅師は元旦に人間の頭蓋骨を振りかざして街中歩きながら歌ったといわれています。正月
が来たからと人々はめでたいといっている。しかし禅師から見れば、皆は夢に酔いしれて
浮かれている。本当の人生の歌に早く気づかねばならぬぞ。それを一休は「骸骨(がいこつ)」のなか
で次のように示しています。
 およそ人生を考えてみるとき、はたして夢でない確かなひとときというものがあるとい
えるだろうか。人生はすべて夢まぼろしの連続である。どんな人間も五色の皮で包まれて
いる。この身もひと皮むけば骸骨でしかないではないか。どんな美人でも死ねば白骨だぞ。
早く目を覚ませと。
     年をとるほど あの世は近い
          骨になる前に 目を覚ませ

 

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