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 江戸時代の禅僧、白隠禅師(一五八五 〜 一七六七)の歌で、「主心(しゅしん)
お婆々(ばば)粉引歌」の中にある一句です。この歌の主人公は、主心お婆々です。
これは、私たちみんながもともと持っている清浄無垢(しょうじょうむく)の清らかな
心です。禅の修業の目標とするところは、本来の自己に目覚めるところにあり、見性と
いい、悟りともいいます。これをやさしく一般の人に説くために通俗的な歌であらわし
たのです。

主心お婆々はどちらにござる
気海丹田の裏店借りて
気海丹田はどこらの程ぞ
臍(へそ)の辻から二町下
つねに気海に気をおけ
虚空界(こくうかい)より長寿のものは
気海丹田に住む心
気海丹田に主心が住めば
四百四病も皆きゆる

この気海丹田の気海は、元気を収め養う源泉です。丹田は神薬を精錬して寿命を保つ中心
地です。この気海は臍(へそ)の下三寸、丹田は臍の下一寸半の所にあり、ここが主心お
婆々の住んでいる家だというのです。
 白隠禅師は、主心お婆々にたとえられる佛の真実の心であり佛性が自分たちの中にもと
もと宿っているのだと説いています。それにもかかわらず人間は他を探し求めて迷ってい
ると禅師は歌っておられます。

     
主人公は 何処におられる
       何処へも行かぬ ここにいる