第78回公演「ザ・キャラクター」
2012年9月22日(土)23日(日)コミュニティ長泉3Fホールにて
弟の俤(おもかげ)を追う一人の女が、街はずれのとある書道教室に入る。やがて、ギリシア神話の世界と交錯しながら舞台は展開していく。
そして物語は思わぬ方向に進んでいく…
   
ごあいさつ開演までのあなたの暇つぶしのために 

やおやの三浦です。今回上演する戯曲は野田秀樹氏の作品です。野田氏の作品は若い時から知っていて、上演したいという欲はあったのですが、アマチュアが上演して大丈夫なのか?独りよがりの芝居になってしまうんじゃないかと考えてしまい、今まで候補にあがっても上演する勇気がありませんでした。まあ、なんだかんだ言っても、私が野田氏の作品から訴えかけてくるテーマであったり、イメージであったりが、私の想像を遥か彼方に超えていて理解できなかったというのが、上演できなかった最大の理由ですね。こりゃあ上演するのは永遠に無理かも・・と勝手に自滅しておったわけです。お恥ずかしい限りです (>_<) 

ところが、人生は摩訶不思議なものです。野田秀樹作品を上演しちゃうんですね、これが・・。劇団員たちに押されてというのもあります。友人が「今までやったことがないジャンルの芝居に挑戦してみたら」とアドバイスしてくれたのもあります。それでも二の足踏んでいたのです。失敗を恐れていたのです。その時、いかに自分は弱い人間なんだろうと感じたのです。自分の精神的な幼さに気付いたのです。そして、今回上演する≪ザ・キャラクター≫を読み返してみたのです。だったら、今私が感じている心の弱さ、精神的な幼さに焦点を当ててやってみようと思い、清水の舞台から飛び降りたつもりで挑戦してしまいました。

私の心の隙間を何でもいいから埋めてほしい。恋愛、宗教、仕事、遊び、趣味、その他もろもろ、自分では埋められない私の心の承認のコップを埋めてくれる何かが見つかり、承認のコップが満たされるとその何かに依存し、執着してしまう。失いたくないから、必死に死守しようとする。さらに依存していく・・・。やがて、前後の見境、善悪の区別もつかなくなっていく。ある人はそれを利用して成功するかもしれない。ある人は取り返しのつかないことをしてしまうかもしれない。

今回の≪ザ・キャラクター≫では、そんな取り返しのつかないことをしてしまった人達の人間模様、心の葛藤を表現してみようと思います。私はこの芝居を通して、もし私も同じ境遇にいたら、同じことをしていたかもしれない、彼らを他人事のように見られなくなりました。だからといって許されることではありません。

皆様はどう感じられるでしょうか。

それではまもなく開演です。 

演出 三浦祐一