ミュージカル ミス・サイゴンのストーリー紹介 

 今更ながら、ミス・サイゴンって何? 知らなーいって方のために、紹介ページなど作ってみることにしました。
 ミス・サイゴンとはずばり、ミュージカルです! ロンドン生まれの、オペラに近いタイプのミュージカル。台詞の殆どが歌、歌、歌。日本では1992〜3年に、1年半というロングランでもって、帝国劇場で上演されていました。かつてのキャストでは市村正親さん、故・本田美奈子さんあたりが有名どころ。そして長い月日を経て、2004年めでたく再演となったのでした。私がハマったのはこっちです。8/10〜11/23、東京は帝国劇場にて上演しておりました。こちらの有名どころの出演者は、続投の市村正親さんとヒロインの松たか子さんでしょうかね。

 ストーリーを簡単に言ってしまうと、ベトナム戦争を題材にした「蝶々婦人」。ストーリーについては、オール歌ミュージカルなので、→の1993年のライブ盤CD(ハイライト盤もいいけど、ミス・サイゴンの世界を聴くならこちらかと! 美奈子キム声だけでもか細くて強くて可憐、ほのかエレンも苦悩する妻って感じでいいv 超気に入ってます。2004年verも出して欲しいけどさー…東宝さーんっ)を聴いていただけば大体んとこは掴めます。が、まだそこまでの興味では〜という方のために、私なりに大筋をまとめてみましたのでよかったらどうぞ。因みにかなり私見入ってます。


 1975年4月末、北ベトナム軍&ベトコンによって、ホーチミンは陥落直前。駐留していたアメリカ大使やGIたちも国に引き上げる寸前。
 GIたちは最後だから何でもかんでも安いこの街で、財布空っぽにするまで遊んじゃうもんね〜、明日死ぬかも知れないしね〜とばかりに、フランス人との混血通称エンジニアが運営するバー「ドリームランド」で、くんずほぐれつの乱痴気騒ぎに明け暮れます。
 後述のミス・サイゴンにも選ばれるこの店のNO.1ジジをはじめとするここで働く女性たちは、生活のためであると同時に、アメリカに連れて行ってもらうことを夢見て、GIに抱かれます。
 ドリームランドの売りのイベントはミス・サイゴンコンテスト。これは、クジを買って当たったら皆の選んだミス・サイゴンをタダで抱けるよ〜♪ というイベントです。儲かったらしいですよ。
 サイゴンで色々いんちきして儲かったエンジニアも、アメリカを夢見る一人です。アメリカに行けば、もっと成功するはず! と思っています。彼は最初から最後まで、ビザを得るためにせこせこと動き回ります。

「このサイゴンは七日とは持つまい」
 っという台詞もあるのですが、そんな状況の、そんな場所に、エンジニアに連れられて、新入りの少女キムが現れます。この時まだ17歳です。家を焼かれ、親を失い、はじめて都会に出てきました。生きるために、どうにかありついた仕事がこれ。売春婦……。
 米兵に近い生活をしていた人の間では、
「ベトコン来たら撃たれる!」
 が合言葉のようになっていたらしいですよ。
 今更GI相手の商売なんて無謀すぎますよ、キムさん。ていうか、そんな街にどうして、どうやって入ってきたの、キムさん! と、それはさておき、彼女はまだ生娘なので高く売りつけられるとエンジニアはうはうはです。そして彼女の初のお客となったのが、アメリカ兵クリス。彼は無力感に苛まれ、かなり鬱入ってました。鬱ながらに、キムのことは気になる模様。ほお、そうかそうか、まかせとけ! と彼を元気づけたかった親友ジョンがエンジニアに交渉します。そうして、キムは奢られることになってしまいました。

 二人でダンスして、何だかいい感じ……を経て、二人は結ばれます。その後、蓮の花と例えるほどに彼女に惹かれたクリスは、一緒に暮らそうと言い出します。キムはこれをプロポーズだと思い、承諾します。そして結婚式。因みにクリスは途中まで結婚式だとは知りません。そこに乱入するベトコン2人。うち1人は、キムの従兄にして許婚のトゥイでした。彼はキムを助けに来たのです。「こんな暮らしもう終わりだ!」と花嫁姿のキムに言います。しかしキムは拒絶し、クリスに向けられた銃口の前に立ちます。「さあ、撃って、離れないわ!」。外の騒ぎを聞いて……かな、トゥイらは撤退します。
 そんなこんなで、一応クリスと結婚した? キムは、一緒にアメリカに行けるはずでした。しかし、大使館閉鎖の時間の関係やらなんやら、些細な行き違いがもとで、キムは置いてきぼりを食らってしまいました。君を連れて行くといったのにクリスだけがアメリカに帰っちゃったわけです。この時、キムのお腹にはすでに息子タムが宿っておりました。
 一人でタムを生み育てるキムは、クリスが迎えに来てくれることを信じて待ち続けます。
 しかし、サイゴン陥落からわずか一年後、クリスはアメリカ人の女性エレンと正式に結婚してしまいます。

 サイゴン陥落から三年後、1978年。サイゴンも名を変えてホーチミンとなります。
 洗脳教育を受けて変わった……ふりをしたエンジニアが、偉い役人さんから呼び出されます。
「キムを知っているだろう。今どうしている?」
 人民委員長(委員補? 公式のあらすじは補なんだけど…)になったトゥイでした。エンジニアはキムを2日で探し出すと約束をします。そして本当に見つけました。
「きっと会えると信じていた、三年」「戦いながら夢に見たよ、嫁いでくる夢を……二人でいこう妻よ、親の誓い果たそう」
 三年も探していたキムを見つけて嬉しさいっぱい。跪き、求婚するトゥイ。売春していた過去すら辛いながらも受け入れ、嫁にする言っています。しかし、キムはまたまた拒絶します。トゥイの仲間にエンジニアともどもリンチを受けても、頷きません。その様を見ることに耐えかねたトゥイは結局、仲間をキムから引き剥がします。そして再び一緒に行こうといいます。でもやっぱり拒絶。キムはその理由として、よせばいいのに(といいつつ、信頼している証だと思っている私)、息子タムを見せてしまいます。絶望に打ちひしがれたトゥイは、タムにナイフを向けます。キムはそのトゥイに、クリスが残していった銃を向けます。そして撃っちゃいます。トゥイはキムのほうに向かって倒れ、死んじゃいます。「嫌ぁぁぁぁぁぁっ!」とキム絶叫。彼女も絶望。しかし、ぽつんと立つタムを見て、我に返ります。キムは、かつてドリームランドがあった場所に行きます。そこにいたエンジニアに、トゥイを撃った、アメリカに逃げたいのっ! と訴えます。クリスの子であるタムの存在を知ったエンジニアは承諾します。アメリカ人の子はアメリカの保護を受けられる。この子となら、アメリカに入ることが出来るのだ! と、以降エンジニアは、キムの兄になりすまします。三人は、難民たちに紛れて、バンコクに逃れます。

 1978年アトランタでは、ジョンがアメリカ人とベトナム人の間に生まれた混血児ブイ・ドイをアメリカに引き取るための運動をしています。クリスに女奢ったり、ドリームランドでくんずほぐれつだった彼とはまるで別人。演説の後、現れるクリス。妻エレンに隠れて、こっそりジョンに尋ねます。「電話のことを教えてくれ、キム、キムのことだろ!?」
 ジョンはバンコクの友人から来た報告書を渡し、キムが生きていること、そして子供がいることを伝えます。ど、どうしよう、妻に話してないよ〜、二人が傷つくよ〜とうろたえるクリスに、ジョンは言います。エレンと二人でバンコクに行け、道はあるから……と。クリスはエレンにベトナムでのことを話します。そして、三人はバンコクに渡ります。

 バンコクでは、エンジニアはキャバレーの客引き。キムはホステスとして働いています。
 相変わらずアメリカを夢見て、安い金で働くエンジニア。生きるためにホステスをするキム。二人のもとに、ジョンが現れます。ジョンはクリスがバンコクに来ていると伝えると同時に、結婚していることも伝えるはずが、あまりにもキムが喜び浮かれるものだから、ついに言えない。クリスと会わせることだけを約束して、彼は去ります。クリスに会えるわ〜とうきうきしているキムの夢に、トゥイの亡霊が登場します。そして、アメリカ兵は皆同じだ、奴は裏切ったんだ……と囁きます。キムは置き去りにされた日のことを、回想します。最後の贈り物だった銃のこと。大使館の前、無常に飛んだ最後のヘリコプターのこと。
 翌日。エンジニアがクリスの泊まっているホテルを突き止めます。ジョンやクリスが来るとは信じられないから、自分から会いにいけと言います。早くクリスに会いたいキムは、ホテルに向かいます。一方クリスとジョンは、キムに会うために街へ……。
 ホテルに着いたキムが会ったのは、一人部屋に残っていたエレンでした。
「クリスの妻、名はエレン……」
 がーーーんっ、それじゃわたしは? 引き取られて惨めじゃない暮らしをするという、キムの夢が砕けた瞬間でした。キムは言います。
「タム引き取って! 望み、叶えて欲しい」
 自分は無理でも、息子だけでもいい暮らしをさせたいと願います。しかし、エレンは無理だと断ります。
「親と子は引き離せないわ、キム。クリスと私の子供が欲しい」
 キムは、本当の妻がいて、タムに未来がないというのなら、クリスが自分で言うべきだと叫び、ホテルを走り去ります。

 ホテルに戻ったクリスとジョン。エレンは、クリスを詰ります。
 一緒に暮らしたけど、愛したとは言わなかったじゃないの! と。
 暮らしたのは昔だとか、君を愛しているとか、今とは違うとか、クリスは言い訳します。
 貴方の子を生んだ人なのに、そんなこと言うの!? 彼女は子供寄こすつもりなのよ! と、言い合い。
「どっちをとるの? あの子、それとも私?」
「妻は一人、君だ。帰ってきた男の生きがい……」
 結局、今、クリスにはエレンなのです。心が広く、そしてクリスを愛しているエレンは、クリスを許します。新しい人生を生きるの〜と見つめあう二人。キムとタムについては、バンコクに残して援助することに決めました。ジョンは甘すぎると頭を抱えます。

 ぼーぜんとキャバレーに戻ったキムに、エンジニアは首尾を尋ねます。アメリカ行きを約束してくれたか? と。
 キムはあの人は迎えにくるから荷造りしていてね、と言います。
 エンジニアはアメリカ行きという夢が叶うと浮かれ、アメリカンドリーム〜♪ 何でも叶うさ〜♪♪などと歌いつつ、幻のキャディラックやお姉ちゃんたちと戯れます。
  キムは、タムと最期のお別れ。
「ママのこと、覚えていてね。ママは行かないけど、遠いところからずっと見るから……」
 そして、トゥイを撃ったクリスの銃でキムは自害します。

 駆けつけたクリスの腕の中で、「タム引き取って……」。頷くクリス。
「抱いていて……一夜で遠くなる……」(ぽて)
「キムーーーーーっ!」 (クリス号泣)

 クリスの腕の中で息を引き取るキム。タムはエレンに引き寄せられて、幕。
 ……と、まあこんなお話です。リーフレットのあおり文句は、「究極の愛」。

 因みに主役はエンジニアで、ヒロインはキムです。
 あらすじだと、キムのほうが主役にみえるよねぇ。もしくはクリス主役のキムヒロイン。
 あらすじどころか、本編見てもそう思えるんだけどさ。

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