「コーラスライン」名古屋 06/4/8 ソワレ

すごーく面白かったです、しかし世知辛かった!
コメディかと思いきや、かなり重い内容だったっす。光と影の物語、二面性のある作品だと感じた。上手く言えないけど根本的にレミゼに通じるところあると思う。
役者と役の境界線が薄いところが、この舞台の最大の魅力なのかなと感じた。ラストのほうで、踊れなくなったらどうするのか語り合うんですが、こういう気持ちは役者自身も大なり小なり抱えているはずだよなぁ、と想像すると、切なさも倍増です。
んでもってラストがご都合主義にならないところが、この作品を引き締めてると思うわ。人生そんなもんだわ。

印象に残った場面は、増本シーラのラストの微笑みと鏡の前で踊るキャシー、かな。男性では羽根渕アルの奥さん励ます姿が可愛くて好きでしたわ。台詞では、誰が言ったかは忘れたけど、何になりたいかって問いに対して、「幸せになりたい」って答えたこと。ああ、わかる! って頷いてしまったわ。役ではディアナが好きです。カーク先生のこと聞いて、その後涙を流したというエピソードがねえ、ずしっと心に響きました。

見た目も煌びやかだし、ダンスは華やかだし、コメディ要素もしっかりあって、そのうえしんみりできて、あれこれ考えさせられて……って、なんかすごい欲張りな作品ですねぇ。ナンバーもいいし、機会があったらまた観たいな。


「ミュージカル李香蘭」 06/5/7

李香蘭/沼尾みゆき 川島芳子/濱田めぐみ 愛蓮/五東由衣 杉本/芝 清道 王玉林/芹沢秀明

初昭和三部作です。日本人として、観ておきたい作品だな、って思いました。
普段、ツボミュージカルを観てるときに感じる心が高揚したような感覚とは、ちと違う感じ。
意外にダンスが華やかだったり、ナンバーも衣装も綺麗なのから切ないのまで揃ってて、ミュージカルとしても良作だと思うのですが、どちらかといえば歌ありのストプレを観た感じです。
昔世界史でやったよなー、覚えたよなー……具体的には、えーと、えーと?
というような用語がリズムに乗って流れます。2/26事件、満州事変……。
でもまあ、細かい出来事は理解しなくても、日本がしてしまったことはわかった。
李香蘭というと、 野村玲子さんのイメージが強いのですが、今回は沼尾さんという方。
歌も演技も安定していて、堅実に李香蘭の物語を魅せてくれたと思います。少女時代はさすがーに無理があったけど、別の役者使うとかじゃ駄目なんかね。
華やかさという点では、濱田さんの芳子に目がいったかな。男装の麗人ってなんとなく私好きだしね。李香蘭とは同じであり、対照的でもある運命を背負って、舞台と観客を繋ぐ位置づけ。死に際まで綺麗でかっこよかった。
女性の印象が強い舞台ですが、地味に玉林がかっこいいと思ったわ。
許しあい、終わらせるって難しいことなのよね。未だに続く日本と中国の確執の根本を、綺麗な作品にして見せてもらった。そんな風に思います。
特に、高校生以上の戦争を知らない世代にお勧めしたい作品です。


オペラ「ノルマ」 浜松アクトシティ 06/7/6

なんとなーく行っては観たものの、後ろ〜の席で予習もしてなかったので字幕と話追うのでせいいっぱいだったせいか、素晴らしい歌声ねー、とは思いつつも世界にいま一つのめり込めんかったです。ただ、来日公演のアンサンブルによる群集はリアリティがある! というのを改めて感じたな。この本物っぽさは、日本のミュージカルにはないものだと思う。その代わりっちゃーなんだけど、舞台装置がいまいちなんだけど。
お話自体はかなりどろどろで、私の理解の範疇超えるものだったのよね。
敵国の将軍と情を通じたシャーマンがこっそり子供まで育てるけど、男が他の女に心変わりして、最期は二人で火に飛び込む。
内容のわりに単調で、正直冗長すぎではあった。ただエンターテイメント寄りのミュージカルと、芸術寄りのオペラの違いでもあるかも。音楽としてはほんとーーーに声のご馳走ってくらいすごいから! 自分と同じ人間の声だと思えませんわ。そしとその音楽を聞かせるために、物語や世界があるんだな。だからその世界が好みでなくても、じっくり音楽を楽しめばいいのです、きっと。正直にいいます、世界があまり好みではありませんでした、はい。



「OUR HOUSE」 愛知厚生年金会館ソワレ 06/7/8

荒削りなとこもあるけど、いい作品だなーと思いました。
曲も好きだし(メインテーマが頭の中ぐるぐるしてるー)、ダンスもいっぱいだし、アドリブとかコミカルな部分も楽しめる。テーマも好き。歌もあっきーの魅力満載でよかった。欲を言えば、せっかく歌える人揃ってるんだから他の人ももっと歌って欲しかったかな。
サカケンとか、せっかくいるのにソロほとんどないし!
バク転パフォーマンスといい体躯晒しだけが記憶に残ってるんですけど! お友達としては新納さんのほうが印象に強く残ったな。新納さん、ひょろかっこいーお兄さんっぽい悪友ぶりでよかった。はじけっぷりもよくて、締めるとこは締めて。しかもメガネ似合うし(弱いんです、メガネ)、サカケンの肉体晒しに対抗してズボン降ろすし。

まあ、役の印象といえばあれです。
小鈴さんに敵う者なし! なんですけども。
なんですか、あの女子高生ルックにパンツ丸出しは!
終盤のサラに出てってといわれた時のどういうつもり、そういうことー? みたいな顔とか、台詞は多くないのに間の取り方とか服装とか、笑えました。
後は今井さんパパかね。
最初は、あ、今井さんがいるって感じだったけど、
車が壊れた時にサカケン&にーろさんが「力持ちを呼ぼう」「誰呼ぶ? ジャン・バルジャン?」「バルジャンならその辺にいたけど」「それは言っちゃいけないネタだ」
みたいなやりとりがあって、それ以降はジャン・バルジャンに観えてしまいました(笑)。
色々小ネタあったけど、これが一番受けていたような。やっぱ普段東宝ミュ観る人が客層なのね。 出番も多いしストーリーテラー的役回りだし、香寿さんとの社交ダンスとか、アッキーとのデュエットとか(声の相性はいい気がした。高い&低い、美声同士で。他のミュージカルで聴きたい…)で、見所もあったって一つ一つはよかったのですが、総合すると舞台の雰囲気にはいま一つ馴染んでなかった気がする。今井さんは古典的な作品のほうが似合う気がします。 女性陣ではサラ役の池田さんがよかったと思う。存在感あって! 終盤のしっかりした弁護士ぶり、苦悩する奥さんぶりが好き。
あと香寿さんのママはほんわか可愛かった(香寿さん好き)。
お友だち二人は、どっちがどっちだか。入江さんは初演キム! と思うと結構好きな気がする(気がするって何)、お友だち二人はお友だち二人のまま終わってしまいました。
肝心のアッキーについてあんま書いてないや。
アッキーは、アッキーだなあー…。
一番印象に残ったのはカテコの似非外人っぽい「NAGO〜YA」×2なんですが(おい)
高校生と言ってもなんでこんなに違和感ないのでしょ。
悪がきっぷりも妙な叫びもアッキーぽくて可愛い。
歌は勿論だけど、かーなーり走り回ったり(終盤なのにアレができるだけの体力ってすごいよ)、ダンスしたり、演技もよいジョーも悪いジョーも根本は同じだけど違う道を歩んでしまった人ぶりが出ているなあー、なんて関心してました。
アッキーに合ってる役だよね、ジョー。
ところで、悪のジョーの黒衣装を観て、案外マリウスも行けるかもしれん、なんて思ったのは私だけでしょうか。
……たぶんきっと、私だけです。
お話としては、わかりやすかったと思う。テーマもシンプルだし。ついでにレミゼなおぼんが回る(笑)舞台装置もシンプルだし。
良いジョーと悪いジョー、二人のジョーがいる、ってことで、ジキハイみたく二重人格で苦しむ話だとばっか思ってましたわ。
大作ではないけど、良作ではあるなーと思いました。

 

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