劇団四季「ライオンキング」 新名古屋ミュージカル劇場 9/1 マチネ

プンバァ 北村がく   シンバ 宇都宮直高    ナラ 飛田万里   ラフィキ 康 理愛
ムファサ 内田 圭   ザズ 伊藤謙吉   スカー 栗原英雄  ティモン 羽根渕章洋

 四季のリピート、はじめてーっ。というワケで行ってきました。名古屋のライオンキング。行ってよかった、今回はよく出来た人形劇だなんてちらっとも思わなかったよ。すごーいっ。こんなに感動どころの多い舞台だったんだなぁ。さすが舞台間近。後ろから、左右から飛び出してくる役者さんたち、上空を飛ぶ鳥たち。一体感がありまくり。舞台は……ちょっと東京より狭い? ところ狭しで行き交う動物たちはど迫力。近くて難点があるとすれば、どっから出てくるかわからなくて、きょろきょろしちゃうことくらいかしら。あ、あとムファサが死んだ時胸が上下してるのがはっきり見えたのはちょっと残念かも(笑)。どう見ても生きてるよ、パパ!

 人形と連携した役者の表情。ちゃんと表情ありました。ああ、ハイエナ3匹はあくどーって顔してるし、 プンバァもティモンはいい兄ちゃん〜って感じで、見ていて釣られてにこにこしてします。バルコニーからだと、ほんっきで見えなかったんだもん。音も歌も胸に響いて、感動をいっぱい浴びて帰ってきました。特に感動したのは、前半、父の愛。もう息子溺愛ぶりがほほえましゅーと、ほほえましゅーて。特に好きなのは、ずっと一緒だよね、とシンバが言った時の反応。いつかはこの子と別れなくてはいけない、それがそう遠くない将来であることを悟っているように見えました。低めな声質なのに音自体は広く出てるし、歯切れがいい気がした。特に台詞。聞き取りやすい。歌はもうちょっと伸びがあるほうが好みだけど、演技がよーいっ。しゃべり方も声も好きーっ。ずしっとした存在感がいいなぁ。私がライオンキングで一番好きなのは、ムファサです。最近パパ役に惹かれる傾向にあるなー。

 栗原さんのスカーは苦悩系? 前半の悪役ぶりもよかったんですが、シンバの中盤の苦悩が印象に残った。一人だーって苦しむところ。声も渋くて、歌、いい感じだった。
 注目していたのは、ご当地の言葉でしゃべるティモン。おお、流暢な三河弁。だぎゃー。やはり江戸っ子ティモンに較べると聞き取りにくい&わかりにくいか。しかし江戸っ子より方言を聴いてるーーーって感じになれました。まわりも笑ってた。ていうか、他の芝居でも思ったんだけど、名古屋のお客って東京より笑う傾向ない? ……おちゃべりもそれにともなって多い〜。
  あと、今回ヤングナラがめちゃめちゃ可愛かった。ダンスも歌も巧いし、なにより華がある。つい目でおっちゃった。アダルトナラも可愛いさ残しつつも綺麗で凛としてて、容姿、声ともに、とっても素敵でした。シンバとの微妙な恋の駆け引き、このままこの人に溺れていいのかしら的な戸惑い、甘すぎなくて、でもしっかりと二人が通じ合ってる空気が伝わって、とってもよかった。今回ので、ナラ好き度がワンランク上がりました。

 しかし、ライオンキング、シンバ以外前回観たのと殆ど違うメンバーなはずなのに、皆役者と言われても信じてしまいそうなくらい雰囲気、演技、似せてますねぇ。いや勿論、四季舞台を何度も観てる人には違うんだろーけど、素人めは十分ごまかせます。スターシステムじゃないってこういうことなんだろうなぁ。役者の違いより席の違いのほうが断然大きいわ……っ。うーん、やっぱ前方席はいい。迫力、全然違うーっ。


音楽座「21c:マドモアゼル・モーツァルト」 富士ロゼシアター 10/6 
ヴォルフガング(エリーザ)/新妻聖子 サリエリ/広田勇ニ 

 なんつーか、ほとんど新妻さん感想です。
 新妻さん、男装の少女役、似合うねっ! 声からして少年で通している少女って感じがばっちりでした。見た目もぐっど。少年のかっこすると、ちびっちゃいのと顔が丸いのが引き立つわ。歌は勿論だけど、普通の演技パートも意外とよかったです。結構早い台詞も流暢に、聞き取りやすくしゃべってました。コンスタンツェ相手に嬉しさいっぱいで下ネタ交えて左へ右へと一人芝居するところとか、こういうコミカルなのもいけるんだーとかなり意外でした。音楽家してるとこもいいけど、ドレスでふんふんって感じで歩くのも何かずっと男の子していた感じがそれらしくて可愛かった。サリエリがちっちゃい手とか、ましょまろのような頬とか、ヴォルフのことを讃えるのですが、すごい新妻さんにぴったりですよね。ハマり役かと。楽しそうに、ちょっとイッちゃった感じにピアノ弾くところもそれらし……あ、でもこれはモーツァルト! の影響をちらりと感じたかな。つーか、新妻さん云々でなく、全体的にモーツァルト! の影を感じたんだよなぁ。正直、モーツァルト! のがよくまとめてあったとは思うんだけど、ネタのためかどうにもパロディって感じがした。
 印象に残ったシーンはパパが死んだことに対して悲しむかわりに、もう女の子に戻っていいんだーってところ。現実逃避と本当は女の子でいたかったヴォルフの気持ちの心情がよく出ていたと思います。ピアノ弾くシーンとか、つい作曲までしちゃうところもなんですが、ああ、この子は音楽が好きなんだなぁというのは伝わってきました。サリエリのことは、結婚しちゃおっかなーとかいって、満更でもなかったっぽいし、コンスタンツェのことも口にしていた通り大好きだったと思う。でも、人も好きだけどやっぱ、音楽! 大して関心なさそうで、それでいて根本的部分で音楽第一って感じのモーツァルトでした。そういう部分が最期に呟く「楽しかった……」に集約された感じ。呟いて倒れるシーンはかなりほろりときました。それならよかったねぇ、気づけてよかったねぇって。パパのことは男に育てたことで怨んではいたけど、好きだったし、感謝もしていたんだろうなぁ。音楽にどっぷり使った生涯送って、永遠にその作品を残せることになったんだもん。その生き方に、満足していたと思う。でなければあんなに気に入った男性にパパ、パパ言って懐かないと思う。
 他のキャラクターで印象に残ったのは……サリエリの顔がおっきかった……(ご、ごめんなさい)。
 歌の伸びはもう一歩だったけど、演技がよかった! 翻弄されまくりな普通のおじさんって感じで。あとはコンスタンツェ。普通に優しいお姉さんコンスタンツェはモーツァルト! の悪妻ぶりにすっかり見慣れた私には新鮮でございました。声も新妻さんとの相性いい感じの高すぎないソプラノだったし。
 ただ音楽座って、全体的にどこも悪くないのに、いまいちパンチ不足って気はしたんだよなぁ。実力はあれど、オーラが足りない……? いや単に衣装が地味って話かも。あとアンサンブルが皆身長あるので見栄えはいいんだけど、そのせいで動きが緩慢に見えてしまった。役者の年齢層が高めなせいか、全体的に地味に実力あるって印象を受けた。

 構成は……一部????? 漫画のほうも、空襲がどうのって場面あったんでしょうか。仮にあったとしても、失くしてもよかったんじゃないかと。一回じゃ意味がわからないよ。あ、でも最後に球形の中でヴォルフがすくっと立っているところはよかった。あれは未来永劫、地球に残るモーツァルトって表現なんだと思う。空襲シーンは21世紀の象徴で、ラストへの伏線なのかなぁ。でもなぁ。あと、クライマックス、ヴォルフの死が近づいて話が盛り上ったところで、劇中劇「魔笛」を長々入れるのは個人的にはパス。華やかだし、ダンスたっぷりだし、一座としては観て欲しい場なんだろうけど、死が近づいて→長々魔笛の場面→その後あっさり死んじゃうので、緊張感が無駄に途切れちゃうんだー。死の場面があっけなく見えちゃうよー。そこは残念。
楽曲はわりとよかったけど、こちらもややパンチ不足かなぁ。小室さんの影響がどのくらい残ってたかわからないけど、芝居から歌へのシフトが自然だったのがポイント高かった。モーツァルト! の曲や場面もちょこちょこ使ってた。あと、舞台装置が何気に好き。背景の樹木っぽい陰も素敵ですが、鉄パイプの球体のようなものを家に見立てたり船に見立てたりして、ユニークかつ雰囲気出ていたと思う。
 実は客の入りが非常に悪く、半分くらいしか入ってなかった。もっと小さいホールでやればいいのになぁ。ミュージカルデビューから東宝の大作大役な新妻さんには色んな意味でいい経験値になったかもね。カテコ何度も出てきて丁寧にお辞儀してて好感持てた。けど、ありがとうございましたって口を動かしてたけど、最前列の真ん中辺にいたのに、全く聴こえなかった。もしかして、口パクだったのかしら。カテコってそういうもの……?
 と、まあ色々書きましたが、総合してなかなか面白い作品でしたよん。


劇団四季『アスペクツ・オブ・ラブ』 10/28 マチネ 自由劇場

ローズ・ビベール 保坂知寿  アレックス・ディリンガム 石丸幹二  ジョージ・ディリンガム 村 俊英
ジュリエッタ・トラパーニ 大平敦子  マルセル・リチャード 寺田真実  ジェニー・ディリンガム 紗乃めぐみ


 韓ドラ大好き!  ロイド・ウェバーのサウンドも好きな私です。これは予想通りに好みでした。
まったり綺麗な音楽に、皆さんずしっとくる綺麗な声。うっとりしまくり。ストーリーは韓ドラというか、昼ドロというか、逆砂の城的な内容で、しかも話が急展開。突っ込みどころ満載でよくできたストーリーとはいいがたいんですが、単純で陳腐に見えて含みがあるんじゃないかと思わされてしまう、そんな不思議な作品でした。音楽が、旋律に繰り返しが多いこともあって、すごく耳に残ってる。多分「Love Changes Everything」だと思うメインテーマが観終わってからも、頭んなかをぐるぐるしてます。そーいや、石丸さんの歌をあんなに聴いたのはじめてな気がする。歌少な目orないやつしかみたことなかったから。ひゃー、甘ーいタイプの美声ですねー。見た目も鼻高くて、背高くてかっこいいし。石丸さんラウルがすごい見てみたいよ。序盤の若々しさはローズがうっかりなびいちゃったのもわかる生き生きした可愛いさで(まあ17歳は無理があるけど)、終盤はジェニーがうっとり〜と惹かれるのもわかる素敵なおじさまぶり。ジョージも素敵。終盤の苦悩がずしっと来たよ。つーか、今回歌めちゃめちゃ美声揃いだった気がするんだけど! ずっぷりと世界に浸からせていただきました。

 キャラクターで好きなのはジェニー。紗乃さんジェニー、めちゃかわいかった。人魚姫。アレックスをはじめて会って、じーっと見ているとこと、抱き上げられて伸びをするシーンが印象的でした。少年みたいな子供っぽい格好も可愛かったけど、義母(になるのか…? 一応)の紫のドレスも背伸びした大人っぽさがあってよかった。
ローズも素敵。なんかね、こういう人はわかるけど、わからない。 序盤でアレックスの頬に手を当てた時の赤い長い爪が印象に残った。ジョージとお似合いだったと思うし、生活支える彼女は強かったと思う。アレックスとはね、ホントは彼と恋したかったのかなーなんて思いました。うんと綺麗な恋。ジョージとのほうが共通項が多いけど、アレックスには自分にないものを求めて惹かれたのかもね。ラストアレックスに縋るのは弱いととるか、したたかととるか。唐突に ジュリエッタと結ばれたアレックスだけど、いずれジェニーに戻りそうって気はするんだよなー。

 あおり文句の、シャンパンのような〜っていうのはなんかわかるよ。やっぱ音楽の力って偉大。冷静に考えれば唐突で詰め込みすぎで突っ込みどころありまくりなんですが、説明たりなーいとはそれほど思わなく、適度にお腹いっぱいになりました。それってミュージカルってジャンルならではだと思う。韓国ドラマなら全20話くらいはひっぱってくれそうだわ。公演時間以上に楽しませてもらった気がします♪

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