平成二十二年六月一日


【不思議】

 振り返ると誰もいないんだけど、後ろを付いてくる足音。


 怪談とかじゃ定番だけど、実際に自分が遭遇すると、かなり恐いわー……。


平成二十二年六月二十五日


【箱根】

 ちょっと前にですね、奥様のご生誕記念日のお祝いとして、箱根に行って来たんですよ。

 HAKONE。

 えぇ、『良好な夫婦関係を維持したいのなら、奥様の誕生日と結婚記念日のお祝い“だけ”は忘れるな』との言葉があったり無かったりしますし。

 は? 旦那の誕生日祝い?

 忘れても奥様の機嫌を損ねることないでしょ、それで充分じゃない。面倒だしお金もかかるし、無視していいよ、無視して。

 何より永遠の二十七歳だから関係ないし。

 そうそう、かっぱちゃん夫婦さん。ご結婚、おめでとうございます。

 経験上ね、これらの記念日を“間違える”は、“忘れる”よりも、もっともーっと根に持たれるから、下僕……じゃない、旦那様は心しておいた方がいいと思うの。


 さて、箱根。なんかエヴァ土産が山ほどありました。

 じき芦ノ湖に、足だけ突き出たオブジェが建つんじゃないでしょうか。


 というか、もう10回以上は足を運んでいるので、取り立ててお話しすることはないというか、御殿場のアウトレットでごだいばのチョコレートを見ると、もう普通のごだいばショップでは買えませんねぇ(それ、箱根じゃない)。


 でもですね、名目は奥様のご生誕記念でしたが、やっぱり“非日常を作る”ことは大切なのだと、あらためて感じました。

 実はこの小旅行に行く前は、かなり心がネガティブというか、病んだ方を向いていたんですよ。

 半ば本気で現実不可なことを考えたり、安易な棚ぼたを願ったりするくらい。

 けど1日でも日常や仕事を忘れてみれば、案外、心は晴れるものでして。

 かなり前向きな心が取り戻せたと思います。


 自分でいうのもなんですが、僕は自身の心はタフで、放っておいても平気だと自信があったんですよ。

 けど、それも年齢と共に徐々に弱くなるみたいです。

 そう気が付いた以上、これからは意識して“定期的に日常を考えなくていい日”を作らなければならないのでしょうね。


 そういうわけで今後はよりいっそう奥様に関わる記念日をお祝いすべく、積極的に行動したく思います。



(宮ノ下駅前にて)


平成二十二年七月十四日


【日常】

 先日、氷菓を求めてコンビニに赴きましてね。

 バニラとチョコレートの組み合わせた氷菓は、エ●キモーがダントツに美味しいと思うのですが、それはおいといて。

 目的の氷菓を手にしてレジに向かい、先に並んでいた(小学生の低学年と思われる)2人の少年の後につきます。

 すると目の前の少年、僕の存在に気付いていなかったらしく、フラッと列を離れてしまったんですね。

 僕も手に持っていた氷菓が溶けてしまうんじゃないかと気が気じゃありませんでしたし、何よりこの世は生き馬の目を抜く世紀始め。淀んだ街角で僕らは出会ってしまう世知辛い時代のまっただ中。

(列から離れた己の愚を呪うんだな)

 とばかりに、空いた間隔を詰め、さらに前の少年の後ろにつきます。

 列から離れた少年は僕に気付き、ちょっと悲しそうな表情をして、すぐに僕の後ろに並び直しました。

 その表情にちょっと心が痛まないでもありませんでしたが、この世は生き馬の目を《以下略》。

 そして会計中、何気なく後ろの少年に視線を向ければ、彼はお財布から小銭を取り出し、レジの手前にあった募金ボックスに寄付してましてね!


 ガンッ!


 おぉぉぉ! お兄さん、全てにおいてキミよりも下級な人間だよ!

 キミがグレーター人間なら、僕はレッサー人間だ!

 人間の器が小さいにも程があるっ!

 僕の下衆め! 僕の下衆め!!


 キミの姿が眩しくて、お兄さんは直視できないよ!


 こ、このパ●ムをキミにっ!!(涙)


 しかし気味悪がって受け取ってもらえず……。


平成二十二年七月十九日


【日常】



 出たな妖怪ホクロまだら丸(仮)!


平成二十二年九月二十七日


【日常】

 いっぱいいっぱいですが、生きています。(生存報告)


 先日、奥様とラーメン屋さんへと赴いた時、千葉の実家近くにあった“超能力ラーメン屋”を思い出しましてね。

「超能力?」

 そうです、超能力です。ああ、その可哀想な人を見る瞳。さては旦那様の言うことを信じていませんね?

「そりゃぁ、ねぇ……」

 このラーメン屋さんは凄いんですよ。地元の悪友たち5〜6人と行ったとするじゃないですか。その全員分もオーダーが、30秒くらいで出てくるんですよ!

「へーっ、作り置きしていたんじゃなくて?」

 全員、麺類から炒飯から定食ものまで、もう行く度にバラバラにオーダーするけど、手のかかる料理でも1〜2分ほどで出てきましたね。それでいて麺がのびていたり、料理が冷めていたことはないんですよ。
 時にオーダーを聞いた店員さんが厨房へと戻るのと、運ばれてくる料理がすれ違うってこともありました。
 何度も検証した結果、「客が店内に入った瞬間にオーダーを予知されるのか、それとも心を見透かされるのか、とにかく超能力の店員がいる!」と、僕らの間では結論付けられましたねー。

「超能力かどうかはともかく、それは凄いねー」

 そのラーメン屋さんは出前もやっていて、出前だとすごく時間がかかるんですよ。つまり店員の超能力は、客を直に見ないと使えない。電話じゃダメ。
 この能力が限定的なあたりと、せっかくの超能力の無駄遣いっぽさに信憑性を感じませんか! 感じますよね!!

「それじゃあ機会があったら連れて行ってよ」

 うーん、もう20年も前の話だから店員さんも入れ替わっているだろうし。今はどうかなー。


 どうよ地元の悪友たち? まだ超能力はさび付いてない?


平成二十二年十月二十六日


【日常】

「三十代最後の昼食だね」

「三十代最後の夕食だね」

「三十代最後の洗い物だね」

「三十代最後の……」


 奥様、ちょっと黙っていて下さいませんか。


平成二十二年十月二十八日


【日常】

「四十代最初の昼食だね」

「四十代最初の夕食だね」

「四十代最初の洗い物だね」

「四十代最初の……」


 奥様、いい加減にしないとプティころころしますわよ。


 人間、年齢を重ねると、誕生日が“祝われる日”から、自分に関わってくれている人たちに「一緒にいてくれてありがとう」と、“感謝する日”へ認識が変わってきます。

 まずは僕に関わってくれている皆さん。この年齢までお付き合いくださり、ありがとうございました。どうぞ今後もよろしくお付き合い下さい。


 そんなわけでこの秋(既に陽気は初冬)、戸籍上の年齢の十の桁に変化がありました。

 ぶっちゃけて言うと四十路ですのよYOSOJI!

 名実共に人生の折り返し地点を回っちゃったわけです。

 子供の頃に描いた人生の青写真上では、未だ20歳のレベルにすら到達していないのに(主に収入的な面で)……。


 さて、現実問題。これからはアンケート用紙とかの記入欄も『30歳代』から『40歳代』の所にチェックを入れねばなりません。

 具体的には

Q1:あなたの年齢は?
○20歳代
●30歳代
○40歳代
○50歳代

 から、

Q1:あなたの年齢は?
○20歳代
○30歳代
●40歳代
○50歳代

 に、です。

 これ、なにげにすっごい大きな変化じゃね!?

 もっとも本人の希望的には、

Q1:あなたの年齢は?
●20歳代
○30歳代
○40歳代
○50歳代

 なのですが、これを口にすると奥様の言葉の暴力が精神的に致死するレベルへと強化されます。DVですDV。
 そうDVしたくなる気持ちが分かる、というのが、本人的には一番心に響くわけですが……。

 また実際問題、気力、体力に限定すれば

Q1:あなたの気力、体力の年齢は?
○20歳代
○30歳代
○40歳代
●50歳代

 のレベルにまで達しているかも知れません。

 そろそろ本気で27歳を自称するのが心苦しくなってきました。

 ねぇ神様、そろそろ十字架を降ろしていいでしょうか?


『その時、奇跡が起きた!(ナレーション:小林清志)


「貴方の心の渇望、しかと聞きました」

 あぁ神様、僕、もう疲れました。
「27歳です」と口にする度に、周囲の人の目が“痛々しいものを見る目”から、“優しい目”に変わってきましてね。むしろその方が心に刺さるのに!

「それでは貴方に不老を与えましょう」

 本当ですか神様!?

「貴方の心と身体は年相応に老います。ですが貴方が望む限り、貴方の魂は27歳のままです」

 本当だね?
 本当に27歳なんだね?

「えぇ、貴方が老いて死ぬその瞬間まで、貴方の魂は27歳であることを許しましょう」

 やったぁ!
 神様のお墨付きで魂が27歳だ!

 これからは(自称27歳)じゃなくて、(魂27歳)だね!

 永遠にHIMOI27だ!!


 いやいや神様、それって今までと何も変わってねえッスよ!!


平成二十二年十月二十九日


【猫】

 朝方、酷い吐き気と共に飛び起きる。


 見れば枕元にほくろ様(仮)がおわし、僕の顔を舐めていらっしゃった。





 おまえ、なんでそんな真夏に放置された生ゴミみたいな、強烈な臭いをさせているんだ……?


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