先手と後手、碁ではたいへん重要な意味を持つことばです。一般に “先んずれば人を制す”とか“後手を踏む”といわれて、先手が万能のように思われますが、碁の場合、先手必ずしも万能とはいえません。むしろ、決まりきったところ、”先手の利かし”は保留しておく方がよい、打つ時機を見てからでないと悪い結果になることがあります。 「どうしても先手を取りたいのなら、最初から手を抜いたらよいでしょう。」 ある高名な棋士のことばです。“先手、先手、どこも先手で打ちたい”というアマチュアの人に呈した苦言ですが、これは名言といってよいでしょう。 先手だから、と思って、つい打ってしまう手、“無用の交換”を知らないでいることがあります。そんな人が、どこで負けたかわからない、と考えるのではないでしょうか。 |